テレビからパソコン、そしてスマートフォンと、ユーザーが利用するメディアは変化し続けており、マーケティングではこれを理解することが欠かせません。インテージでは、生活者のメディア利用動向について調査や研究を行っています。
今回はメディア環境とSNSの活用について考えてみたいと思います。まずはメディアを視聴するデバイスの変化を見てみましょう。ここでは、テレビ、スマホ、PCの利用率を2017年から示しました。
利用率が減少しているのはテレビとPCです。2017年にはテレビの利用率は100%に近い数値でしたが、直近2023年では90%以下まで10ポイント程度低下しています。また、PCの利用率もテレビと同様に10ポイント程度低下しています。
対照的に利用率が増加しているのがスマホです。2017年の70%から2023年の83%へと増加し続けています。
年代別の分析からは60代のスマホ利用率が同じ期間で30%から2倍の60%に増加していることもわかっています。このような高齢層へのスマホの普及が、全体でのスマホ利用率の上昇に寄与したと言えます。
次に、1人あたりの利用時間の変化はどうなっているのか。年代別にデータを見てみましょう。
テレビ、スマホ、パソコンのログデータを用いて、年代別に各デバイスの1日あたりの平均利用時間を示しました。
差が大きいのはテレビです。15-29歳のテレビ視聴時間が1日平均1時間40分程度なのに対し、50-69歳では4時間近くになっています。15-29歳はテレビに代わってスマホの利用時間が長く、1日5時間近くにも及んでいます。若年層ほどテレビからスマホへと利用デバイスが移っていることを表しているデータだと言えます。
15-29歳では1日5時間近くも使っているスマホですが、その中でYouTubeに次いで長い時間使われているのが、X(旧Twitter)やInstagramといったSNSです。Meta社が新たに開発したテキスト型のSNSであるThreadsのリリースによっても改めて注目されています。性年代別の各SNSの利用率を見てみましょう。
全体としては、モバイル利用時間の長い若年層ほどSNSを多く利用していること、女性はInstagramを好み、男性はXを好んでいることがわかります。ただし、男性では30代のXの利用率が約5割、女性では40代でもInstagramの利用率が5割近くにまでなっており、特に人気が高いXとInstagramは若年層に限定されず30~40代にも広く利用されていると言えます。
また各SNSの利用率が最も高い年代に着目すると、世代ごとに人気のSNSが異なることがうかがえます。
日本版が2008年にリリースされたFacebookの利用率は30代で最も高く、同年リリースのXは20代の利用率が最も高くなっています。しかし、2010年にリリースされたInstagram、2017年にリリースされたTikTokの利用率が最も高いのは10代です。
このような各SNSが使われやすい年代の推移からは、テキストから画像、画像から動画へとSNSのフォーマットが遷移していることが読み取れます。SNSを使ったマーケティングにおいては、このようなフォーマットの遷移にも対応していく必要があるでしょう。
フォーマットが多様化するSNSにおいて、ユーザーはどのように「使い分け」を行っているのでしょうか。