「クオリティ上げて」上司の曖昧指示への超対処法

全体像を見ながら、「分解してみたら、こっちの方向もありますね。実はこっちに取り組んだほうがお互いにラクに結果を出せるからハッピーですよね」という話し合いができるので、不要な対立も回避できます。みんなにとってハッピーな解決策を選択できるようになるのです。

細かく分けすぎない

僕は過去に「データマーケター養成講座」という講師をしていて、データ分析に強みを持つマーケターを目指す受講生に分析の仕方を教えていた経験があります。

分析には「分けて比べる」という意味があるのですが、分析が下手な人はとにかく細かく分けてしまいがちです。

例えば会社の売り上げ構成を100個に分けて、1つの部分だけを見て、「1つの部分を200%(2倍)に伸ばしました!」などと言います。200%というと、いかにもすごい実績に聞こえますが、実はトータルで見ると100が101になっているだけです。

実際に「私の部署では200%の改善を達成しました!」などとアピールしている割に、会社全体で見ると大した効果につながっていないようなケースが結構あります。

一方、分析が上手な人は、「会社の売り上げ構成を2個(70と30)に分けて、その70を150%(1.5倍)に伸ばす」といったことをします。

伸び率だけで見ると、前者は200%で後者は150%ですが、後者は70が105になっているわけですから、トータルで100から135に伸びていることになります。どちらが成果を出したのかは一目瞭然でしょう。

分解が上手な人は、「全体で見ると何%なの?」という視点を持っています。だから、分解したうえで、効果が大きくてすぐにできることから手をつけます。逆に、効果が小さいことには見切りをつけて手を出しません。

やはり重要なのは、最も効果が大きい取り組みを見つけて実行するために分解することなのです。

アイデアを出したい時、抜け漏れをなくしたい時は…

分解して適切な選択肢を選ぶためには、枠を広げて考えたほうがよいと思います。

考えの漏れをなくし、広い視点で自由に選べるようにすることで、成功の確率を上げられるという利点もあります。

そのためには、「思い込み」をなくして思考を広げ、選択肢を増やすことが必要です。そのために一番簡単な方法は「反対をとる」ことです。僕は、考える時にこの方法を習慣づけています。

例えば、

数字 ←→ 感情
短期 ←→ 長期
面白い ←→ 堅実

など。

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こんなふうに数字に対しては感情、短期的な取り組みに対しては長期的な取り組みのように、物事には必ず反対の要素があります。

ずっと数字の話をしている人には「感情的な部分ではどうですか?」と尋ねてみたり、短期的な取り組みにフォーカスして考えていたら「長期的にはどうだろう?」と促してみます。

反対、反対の反対、反対の反対の反対……という具合に考えていくと、思考の面積がどんどん広がっていきます。

例えば、東京在住で独身の人の視点で考えたあとに、地方在住の独身の視点や、東京在住で子育て中の人の視点で考えてみる。そしてさらに、地方在住の子育て中の人の視点を考えてみる。反対をとっていくと、思考の面積は倍々で増えていきます。

そうやっていったん可能性を広げたうえで、「自由に選べるのであれば、どれが一番効果的だろう」と考えていくと、最適解が得られるようになります。