新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。その中でライフイベントの1つである結婚、それを実現するための手段である「婚活」には、どんな変化が生まれたのでしょうか。リクルートブライダル総研の「婚活実態調査2021」を中心に婚活サービスの現状や将来展望について考えていきたいと思います。
かつて日本では、結婚相手と出会う方法としてお見合いが主流だった時代がありましたが、時代の移り変わりとともに「恋愛結婚」が主流になり、自身で結婚相手を見つける時代に変遷してきました。さらに、近年、新たな出会い方が広がり、大きな変化の波が広がりつつあります。それが「婚活サービス」です。
婚活サービスには、アドバイザーがいてふさわしい相手を紹介してくれる「結婚相談所」や、インターネットで自分の条件や相手の希望を登録し、相手を探す「ネット系婚活サービス」、結婚につながる出会いを目的としたパーティやイベントに参加する「婚活パーティ・イベント」などがありますが、こうした婚活サービスを利用する割合は年々増えてきています。
2020年に結婚した人のうち婚活サービスを利用していた人の割合は33.1%に上り、2000年では15%だったことを踏まえると、この20年で大きく伸長し、婚活サービスの市場が大きく広がっていると言えます。
次に、婚活サービスを通じて結婚した人の割合を見ると、2020年では婚姻者の16.5%、およそ6人に1人が婚活サービスを通じて結婚している結果となり、1.4%だった2000年と比べると、大きく伸長しています。
とくに2013年を境に変化し、2016年に10%を超え、2018年からは3年連続で過去最高を更新するなど、ここ数年で婚活サービスの浸透スピードがぐっと高まっています。
■婚活サービスを通じて結婚した人の割合
また、独身者の利用に焦点を当てても、恋愛や結婚をしたいと考えていて、かつ恋人がいない独身者の27.2%が婚活サービスを利用したことがあり、利用経験割合は4年連続で増加しています。これらの数字を見ると、ここに来て婚活サービスは結婚の出会いの1つの手法として確立されたとみていいでしょう。
■独身者の婚活サービスの利用経験
とくにネット系婚活サービスは大きな広がりを見せています。結婚相談所、ネット系婚活サービス、婚活パーティ・イベント、それぞれの利用経験割合をみてみると、男女ともにすべての年代でネット系婚活サービスの利用経験率が増加しています。
いわば市民権を得たといえる婚活サービス。その要因を改めて考察していきます。1つはその合理性や効率の良さです。
例えば、合コンなど飲み会で結婚相手を探そうとした場合は、相手に結婚願望があるかどうかもわからず、手探りの状態でコミュニケーションが始まります。ですから、結婚まで到達するには時間がかかることが多く、当然のように結婚に至らないというケースもあります。
しかし婚活サービスではサービスを利用する人に「結婚相手を探す」という共通の目的があることが前提となります。そのために、結婚という目的達成のために、お互いがふさわしい人物なのかどうか、出会いの最初から真摯に見極めようとします。つまり、結婚に至るまでのコミュニケーションがごくシンプルで早いのです。