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先日、大学生を対象に「大学生Café」という会を催しました。そこでは、大学生から現在直面しているさまざまな悩みについて聞きました。そこでも菊池さんのお子さんと共通するような状況が見られました。
そんな大学生たちに対して、大人である私たちがどんな話をすれば、役に立てるでしょうか。親があれこれ心配して言っても、煙たがられるだけになってしまうことも多いでしょう。
筆者の場合、ちょうど大学生の親と同じ年齢にあたりますが、これだけの年齢差がある中で何かアドバイスをしようとすると、うっかり上から目線の話を一方的にすることにもなりかねません。ひどい場合、説教じみた話になる可能性すらあります。ですから、大学生に対して話をするときには、次のようなことを意識して話をするようにしています。
それは「20歳の自分に伝えるつもりで話をする」ということです。
いざ20歳の人に話をしようとすると、自分が20歳だったころの経験談を自然にしそうになりますが、つい話が美化されたり、現代とは異なる時代背景だったりと、今の大学生にはまったく響かない話にもなりかねません。
そこで、20歳の自分に伝えたいこと、ということをぜひ念頭に置いていただきたいのです。
この方法には、3つのメリットがあります。
例えば、自分が20歳のときにやっていた話をした場合、当時の風潮である「気合・根性・努力が大切だ」という話になりがちだとします。しかし、現在の自分からのメッセージにすると「楽しい、面白い、ワクワクを大切してほしい」というメッセージに変わることがあります。
このように単に過去の基準で語る昔話よりも、現代基準の視点で語られるほうが響くことでしょう。
20歳の自分へのアドバイスであるため、目の前の大学生に対する直接メッセージにはなりません。直接のメッセージにすると、つい「ああしろ、こうしろ、こうすべき」という内容になりかねないでしょう。
また直接、子どもへのメッセージでなくても、一般化した話も注意が必要です。例えば、「今の若者はやる気が足りない。だからすぐに辞める」と「若者」という言葉を使った場合、その言葉の中に自分(子ども)も入っているため、説教の一種と受けとられ、拒絶される可能性もあります。
「20歳の自分へのメッセージを出してください」と言われたら、自分の20歳のころを思い出すことでしょう。さらにその過去の自分へのメッセージであれば、足りなかったこと、欠けていたことに意識がフォーカスされ、自分の至らない過去を見つめることで、目の前の子どもの気持ちが理解できることでしょう。
以上のように、自分の子どもと同じ年齢のときの自分へのメッセージを作ることは、とても有意義なことだと考えています。