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2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――さて、ペナントレースもいよいよ大詰め。残り20試合にさしかかりました。一時は2位の横浜DeNAベイスターズに4ゲーム差まで追い詰められたものの、8月26~28日の直接対決で3連勝。現在も熾烈な戦いが続いています。昨年はペナント終盤まで3位につけていて、最終盤で逆転優勝を決めました。昨年と今年とでは心境は違うものですか?
髙津 心境としては、もちろん同じではないですね。昨年のように追い上げていく状態と、今年のように、ずっと首位としてペナントレースを戦ってきている状態とでは、具体的にどうとは言えないけど、もちろん違います。
――しばしば、「追う者より、追われる者の方が辛い」とか、「追いかける方が気がラクだ」という意見もありますが、この点はいかがですか?
髙津 僕は、現役時代にぶっちぎりで優勝したことも、去年のように競って、競って、ようやく勝ち抜いた経験もあります。その両者を比べて、どっちがラクだとか大変だというよりは、目の前の試合を勝てない悔しさはいつも一緒でした。ペナントレースの状況がどうであれ、毎日「今日は勝ちたい」「今日だけは負けたくない」というのは、現役時代も監督になってからも変わらないですね。
――現役時代も、相手チームの動向よりは、「今日は勝ちたい」の思いが強かった?
髙津 現役時代は「今日だけは抑えたい」「今日だけはチームに勝利をもたらしたい」という思いでマウンドに立っていました。今はベンチにいるけど、思いはまったく一緒です。もちろん、監督としては目の前の試合だけを見るのではなくて、全143試合をトータルに考えることができなくちゃ監督失格かもしれないですけど、正直言えば現役時代の気持ちは変わっていないですね。だから、「ゲーム差がどうだ」とか、「去年は追っていたけど、今年は追われる立場だ」とかいうのは、頭に入ってはいるけどあまりピンとこないです。
――トータルに見ることも大切だけれど、「まずは目の前の一戦を」という意識ですか?
髙津 もちろん、トータルでは考えていますよ。たとえば、「来週の巨人戦は誰が先発なのかな?」とか、残りの試合日程を見ながら「ローテーションをどうやって回そうか?」というのはもちろん考えているけど、「まずは今日をどう過ごすか?」の方が意識は強いです。