――さて、今回の日本シリーズは全6試合、すべてが僅差の白熱した展開となりました。以前監督は「大舞台の緊張と興奮は嫌いではない」とおっしゃっていましたが、今回もその思いは変わらなかったのですか?
高津 結果的に勝ったから言えるのかもしれないけど、今回も多少の緊張と大きな興奮と、毎試合のハラハラドキドキがすべて重なった心境でゲームを見守っていましたね。
――選手たちも、ファンの人たちも「絶対大丈夫」という言葉を信じて戦っていたように思います。これだけ胃が痛くなるような激戦の中で、監督自身は「絶対大丈夫」と信じていたんですか? ある種の自己暗示のような意味合いもあったのでは?
高津 うーん、僕自身「絶対大丈夫」と思っていましたね。今言ったように、少しの緊張と大きな興奮の中で、やるべきことはやって不安はなかったですし、「我々が勝つものだ」と思っていましたから。
――この日本シリーズや、巨人とのクライマックスシリーズ(CS)もそうですし、ペナントレースでの大一番もそうでしたが、今季は「ここぞ」という場面での粘り強さ、勝負強さが目立ちました。この点について監督自身はどのようにとらえていますか?
高津 シーズン中の10連戦を7勝3分で無敗で乗り切ったり、10月の巨人、阪神との6連戦を5勝1敗で切り抜けたり、CSを2勝1分で通過したり、「はたしてどうかな?」というプレッシャーのかかる場面で、自分たちの力を発揮できたのは立派だったと思います。今年はベンチ内が常に「まだまだいけるぞ」という雰囲気でしたね。この雰囲気作りは狙ってできるものではないけれど、こうしたムードはこれからも大切にしていきたいと思っていますね。
――短期決戦において、「よそ行きではなく普段通りの野球をする」という考え方と、反対に「従来のやり方にこだわらずに臨機応変に対応する」という考え方もあります。この点について、監督はどのように考えていますか?
高津 日本シリーズのような短期決戦は、本当にあっという間に決着がついてしまうので、注意が必要ですね。基本的には「今までやってきたことを崩さない」というスタンスで、その上で「状態のいい選手を使っていく」というのが定石なのかな? ただ、その際にはこれまでの信頼度、貢献度、期待度、選手たちのプライドを注意して起用する必要があると思います。