皆さんは、「部下からナメられているんじゃないか」と思ったことはありませんか?
・指示を出しても言うことをきかない
・自分の話を聴く態度がふてぶてしい
・不満に思っていることを表情に出す
・他の人の言うことは聴く
・他の上司のことを自分の前でうらやましがる
仕事を任せ、部下と一緒に仕事をしていると、うまくいかないことも出てきます。
そんなとき、部下があからさまに不満を顔に出し、上司の指示を聞き流したり、ふてぶてしい態度で話を聴き、「あなたのことは認めていません」と言っているかのようなスタンスで上司と接することがありますよね。
もしかして、自分は部下にナメられているのかと思うと、怒りも湧いてきますが、言い換えれば「部下が自分を評価していない」「自分を尊敬していない」ということです。
部下から上司として認められていないこの状況では、仕事を任せることは非常に難しくなりますし、上司としての自信もなくしてしまいます。
部下に評価されないのは、上司の「仕事の能力」の問題なのでしょうか?
部下の方が能力があり、優秀であるためにナメられてしまうならまだ諦めがつきますが、ほとんどの場合、仕事の能力は上司の方が優れています。部下と比較すれば、上司の方が仕事がデキる。にもかかわらず、部下が上司を評価しない。
むしろ、仕事の能力が自分より明らかに低い上司でも、なぜか部下から尊敬を集めているケースさえあります。
つまり、部下から評価されるかどうかは、上司の仕事の能力は関係ないのです。
ナメられない上司というのは、実は「ポジショニングがうまい」のです。
ポジショニングというのは「位置決め」のことです。
部下から見てどの「位置」に自分がいるかを決め、その位置を取る行為を「上司のポジショニング」といいます。
部下が上司をナメているのか評価しているのかは、その「位置」が大きく影響します。
位置が上がるほどに評価され、下がるほどに敬意がなくなります。
具体的には、以下のようなポジショニングランクがあります。
ランク① 「無害な人」……いてもいなくても同じ職場の同僚
ランク② 「話し相手」……仲よくおしゃべりできる相手
ランク③ 「情報屋」……役立つ情報をくれる人
ランク④ 「相談相手」……悩みを打ち明けることができ、相談に乗ってくれる人
ランク⑤ 「同志」……同じ目標を目指し、頼れる存在
ランク⑥ 「憧れ」……生き方・在り方・存在そのものが目標
では、1つずつ見てみましょう。
ランク① 「無害な人」……いてもいなくても同じ職場の同僚
一番下のランクは、いてもいなくても同じ、上司に対して関心が低く、ただ仕事を一緒にする作業仲間の位置です。
ランク② 「話し相手」…仲よくおしゃべりできる相手
休憩室であったら楽しくお話するし、挨拶もきちんと交わす。関係性はよさそうに見えて、ただの話し相手。上司として評価される位置ではありません。
ランク③ 「情報屋」……役立つ情報をくれる人
情報屋で止まってしまう上司は意外に多いです。うんちくが好きで、訊いてもないのにあれこれ教えてくれる役に立つ人。部下が本当に知りたいことや、悩んでいること、目指したい目標を引き出していないので、ただ情報をくれるだけの位置で収まってしまいます。
ランク④ 「相談相手」……悩みを打ち明けることができ、相談に乗ってくれる人
ここまでくると、上司に対して一定のリスペクトがある状態です。仕事の悩み、プライベートの悩みを打ち明け、どうしたらいいかを相談できる相手であれば、関係性は好ましい状態と言えるでしょう。しかし、悩みを相談するだけで終わっては、仕事は前に進みません。悩みから目標へと視点を昇華させる必要があります。
ランク⑤ 「同志」……同じ目標を目指し、頼れる存在
あなたは、部下の目標を把握しているでしょうか? 仕事をしている中で、部下が何を目指し、どんな力を身に付け、どんな状態を獲得したいと考えているのか、目標を引き出し、一緒に目指す「同志」。同志とは、同じ志を持つ人のことです。自分の上司が同じ志を持って頼ったり、頼られたりする関係性になれば、大変好ましい状況だと言えます。
ランク⑥ 「憧れ」……生き方・在り方・存在そのものが目標
最後は「憧れ」です。自分よりもはるかに上の存在であり、心から尊敬し、こんな人になりたい、こんな人でありたい、この人とずっと一緒に仕事をしたいと思えるような位置。
もはや、ナメる・ナメないの話ではありません。
<次ページ:部下のポジショニングの変え方 ~ポジションを高めるための具体的方法~>