仕事を任せた部下が、あなたの想定外の手順で、全く見当違いの動き方をすることはないでしょうか。
・なんでその順番でやるの?
・なんで今それやるの?
・その仕事の進め方、おかしくない?
・大事なこと見落としている! 仕事の抜けがひどいよ……
このようなケース、その原因は、部下の「段取り力」にあります。
段取り力のない部下は、段取りを組まずに仕事に取り掛かります。
どのような手順で仕事を進めるかを決めず、誰にも相談せず、自分の勝手な判断で仕事を進めてしまうので、抜け、漏れや不適切な手順で仕事を進めようとしてしまうのです。
デキるビジネスマンほど、段取りを組むのは「仕事に取り掛かる前」です。
若い人からは、デキる先輩ビジネスマンが段取りを組んでいるようには見えないかもしれません。しかしそれは、長い経験と習慣によって一瞬で適切な段取りが組めているだけのことなのです。
特に大人数で仕事を進める時ほど、仕事の段取りを紙に書き出して「見える化」し、メンバーに共有することで、全員がストレスなく仕事を進めることができます。
若いうちに「段取りの見える化」に取り組んでいるかどうかで、仕事の効率も生産性も飛躍的に向上するのです。
部下に段取り力がないと、上司は全てのプロセスで指示出ししなければならず、任せる上司の手間は何倍にも膨れ上がります。したがって、仕事を任せる上司は、部下の段取り力を「育成する」というスキルが重要になるのです。
では、どうすれば部下の段取り力を育てることができるのでしょうか。
私がコンサルタントとして部下を育成する時に、必ず使っていたのが「よーい・どん法」です。
任せる仕事について、「段取りの書き出し」を、よーい・どんで一緒に行うのです。
箇条書きで、まずこれをやり、次にこれをやりと、具体的なアクションを書き出していきます。
始めのうちは、部下は段取りをあまり書き出せません。何を書いていいかわからないということもあります。ですが、上司であるあなたがよーい・どんで一緒に書き出すことで、これを繰り返すうちに精密な段取りが書けるようになり、仕事に取り掛かる前にどのくらいの時間をかけて、どこまで設計するべきなのかが理解できていきます。
また、報告がほしいタイミングで報告するアクションを入れることによって、進捗を管理することもできます。
つまり、こんな簡単なことで、以下のようなことが手に入ってしまうのです。
① 仕事に取り掛かる前に段取りを組む「習慣」ができる
② 仕事の「ゴール」と「優先順位」のすり合わせができる
③ 「無駄な作業」がなくなる
④ 仕事の「進捗報告」が適切なタイミングで行われるので、随時「軌道修正」ができる
いかがでしょうか?
あなたは、部下に仕事の段取りを書き出させていますでしょうか?
段取りを書き出させることで、部下の段取りのよい点、悪い点はすぐにわかります。
ほとんどの場合、段取り力の育成ができていないために、部下が仕事で失敗して、後から「この段取りはダメだ」と指摘することになります。それだと部下は上司から「ダメ出し」ばかりされる印象になり、より相談しなくなるという悪循環に陥ってしまいがちです。
これを「よーい・どん法」で一緒に設計することで、指摘するというよりも「一緒に考える」というスタンスを作り出せます。
やがて、部下の方が段取り上手になる、というケースも出てくるでしょう。
そうなれば、あなたの指示出しが多少曖昧でも、段取りを組み、ゴリゴリ進めてくれる頼もしい部下に成長します。
段取りをよくするには、仕事に取り掛かる前に段取りを書き出すこと、段取り力を育てるためには「よーい・どん法」で一緒に段取りを書き出すこと。
これによって部下の段取りは飛躍的によくなり、仕事を任せるのが各段に楽になるでしょう。
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~部下の段取りを劇的に変える具体的な方法~ケーススタディで考えよう~