はじめまして、感情コミュニケ―ション術専門家の沖本るり子です。これから「頑張らないで“やる気”を出すコツ」について、24回のテーマでお伝えしていきます。
日々の中で、うまくいかないことが重なったり、やる気が空回りしてしまうようなことが続くことがないでしょうか? 例えば「やりたい気持ちはあるのに行動できない」「やらなきゃいけないのに動き出せない」といった状況に陥ることです。学生でいうと、長い夏休みが明けた9月1日のような状態でしょうか。そういう時、無理やり“やる気”を出そうとしても、なかなか出せるものではありません。“やる気”とは、“やるつもりの気持ち”のことです。この連載では、その“やる気”を出すためのコツをお伝えしていきます。
第1回は、「頑張ります」という言葉について解説します。何気なく使ってしまいがちなこの言葉は、実は自分自身の“やる気”に大きくマイナスな影響を及ぼすことを覚えておいて下さい。
私が行っているコミュニケーションやキャリアアップなどの研修では、最後に参加者の方々に「行動宣言」をしてもらうことがあります。その時に必ず一定数「頑張ります」と言う人がいます。自分のこれからの行動について宣言するのに、「頑張ります」としか言えないのは、実際に何をすればいいのかが分かっていない証拠です。
何かしようと思った時は「5W1H」で、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうする」を具体的にするのが望ましいのですが、その「5W1H」がはっきりしていない状態です。それを「頑張ります」のひと言で終わらせてしまうと、やる気はあっても、行動に移せないままということになってしまいます。
同じように、やる気があってもなかなか気持ちのエンジンがかからない時の「頑張ります」は、男性でいえば「筋トレ」、女性でいえば「ダイエット」を始められない時の「明日から頑張ります」に似ています。そう言っている時点でただ行動を先延ばしにしているだけで、明日からどう頑張るのか、自分の中で具体的な行動を描けていない状態といえるでしょう。
人間が口にする言葉は、そのまま自分に向けたメッセージにもなります。ですから、「頑張ります」という言葉は何の具体性もないものを自分に投げかけている状態であって、この言葉は、余計に自分のやる気を削ぐことになります。
覚えておいて下さい。やる気が出ない時に、とりあえず「頑張ります」と口にするのは悪い習慣です。そうやって自分が具体的に動き出すことを後回しにしているうちに、本当にやる気が奪われてしまうことにもなりかねません。