最近、私は毎日、帰宅してから楽しみにしていることがあります。それは1歳4ヶ月になる娘の寝顔を見ることです。毎日できる限り早く仕事を切り上げて帰宅を試みるのですが、娘の就寝時間に間に合わず、平日はなかなか一緒に起きて時間を過ごすことはできません。
しかし、帰宅して手洗いとうがいを済ませた後、娘のところに向かい、寝顔を見ては頭をなでて「ただいま」「おやすみ」とささやき、しばらく穏やかな顔で眠る娘を見つめます。気持ちよさそうに、また心配事など何もないかのようにぐっすり眠る娘を見ながら、大きな安心感を得ています。これを毎日の楽しみにしています。
不思議なことに、スヤスヤと眠っている娘の寝顔をずっと見ていると、こちらまで眠くなってしまい、気が付いたら夕飯も食べずに一緒に寝ていることもあります。
仕事帰りの電車の中や、駅から家に着くまでの道程では、その日の出来事や仕事を振り返り、明日の仕事の予定、週末の予定など、いろいろなことを考えています。たまに電車に乗っていて、窓に反射して自分の姿が映ることがありますが、そこには眉間にシワを寄せ、何かに追われるような険しい顔をした自分がいます。しかし面白いことに、娘の寝顔を見ると、それまで考えていたことを全部忘れて力がフッと抜けます。
日頃、私は仕事の関係で国内外を移動することが多く、頻繁にバス、電車、新幹線、飛行機を利用します。その度に座席で頭を下に向けて眠っている人を目にしますが、ほとんどが疲労で眠っていらっしゃる方々です。頭がぐらついて、隣の人の肩に寄りかかってぶつかる寸前で一瞬目を開けて真っ直ぐ座った体勢に戻しますが、また頭がぐらつく、ということを繰り返している方など、本当にお疲れなのが一目瞭然で頭に手を添えてあげたくなる方もおられます。
しかし、正直に言うと、あまり「気持ちよく眠っている人」を見かけることはありません。たいていの方は、疲弊しきった顔や眉間にシワを寄せた状態で眠っています。そう言っている当の私も、その一人です。もちろん、電車の中では自宅とは違い、人目を気にせざるを得ないこともあり、リラックスして眠れないということもあります。しかし今日では、「自宅でも穏やかに眠るということができない」という方も多いのではないでしょうか。
不眠症という病、眠りが浅い、眠っていても考えごとをしている、いくら寝ても疲れが取れないなど、さまざまな声を聞きます。
しかし、ふと思うことは、私たちは一体いつから穏やかに眠ることができなくなったのでしょうか。私たちは皆、昔は穏やかな顔でぐっすりと安心して眠れていたはずです。それこそ私の娘のようにスヤスヤと気持ちよく、何も心配などせずにぐっすり眠れていたはずです。一体、何が原因なのでしょうか。