やはり上司には気に入られるべきですか？

「諸行無常」という仏教の考え方をぜひ覚えてください

お悩みを拝見すると、上司の方との人間関係というよりは、上司が変わって、これまでの環境が変化し、それに順応できず怒り、焦り、不安を感じて悩まれているご様子ですね。ちょっと胸が苦しくなってしまいますよね。まずはちょっと、ひと呼吸しましょう。

商社の営業職に勤務されているということなので、きっと職場ではフロアに島がいくつも並び、その中にある１つの島の組織の中で働かれているのだと思います。組織で働く以上、大小関わらずその集団をハンドリングするリーダーが変わると、仕事のスタイルややり方はどうしても変わってしまいます。

実は、これは仕事だけではなく、さまざまな場面でもよくあることですよね。たとえば、何か運動したり遊んだりするクラブやグループなどでも同じです。その集団を取りまとめる人物が変わってしまうと、どうしても新しい代表者の個性が反映され、これまでの方針が変わってしまったり、ちょっとした人間関係のぎくしゃくなど、さまざまな変化や問題が集団内に生じてしまうのはよくお分かりなのではないでしょうか。

この世は常に移り変わります。これを仏教用語では「諸行無常」（しょぎょうむじょう）と言います。これは「諸々の行（現象の意味）は常では無い」、つまり物事は常に移り変わるという意味です。しかし、覚えておいて頂きたいのは、移り変わるのは悪い方向へだけではないということです。物事は悪くも「良くも」変化します。しかし、実は、もともと物事に善し悪しはないのです。なぜならば、物事の善し悪しを決めているのはあなた自身だからです。ということは、あなたの「心」の捉え方次第で物事は悪いことにも良いことにもなるということです。

今の状況を有難いものだと捉えると心が良い方向に向かいます

あなたの今の状況を考えてみますと、上司が変わって職場の環境が悪くなったと思い、その変化を受け入れられず、自分のやりたい仕事ができなくなってしまうと苦しまれています。しかし、この環境もこのような考え方をしてみてはいかがでしょうか。

まず、この悪いと思っている環境はずっとは続かないと考えてみて下さい。上司もまたいつか変わります。そして、もし「自分のやりたい仕事ができなくなってしまう」という不安があるのであれば、「このような機会がなければ取り組むこともなかった仕事ができる有難いチャンスがもらえる」と捉えてみて下さい。

この過程の中に、「苦手だと思っていた仕事は実は得意だった」ですとか、「意外とやってみると楽しい仕事だった」など、新たな自分の発見があるかもしれません。結果的には、さらに自分を飛躍させる糧となったりすることもあります。物事の捉え方を変えた「心」を持って生活することで、あなたが悪いと思っていた環境は少しずつ良い環境へと変化していくのではないでしょうか。

簡単なことではないと思いますが、できるだけ周りの同僚や風潮に目を向けず、今のあなたがまさに直面している環境と仕事は有難い（めったにない）ものだと捉えて仕事に取り組んでみて下さい。きっと「心」を良い方向への変化に繋げてくれると思いますよ。

しかし、やっぱりダメだというときは、またご相談下さいね。いつでもお待ちしています。

協力：寺子屋ブッダ