2017シーズンまさかの「96敗」から、昨シーズンセリーグ2位という快進撃を見せたヤクルトスワローズ。ドン底のチームを見事立て直した小川監督は今年、「KEEP ON RISING~躍進~」をスローガンに掲げ、さらなる飛躍を目指す。本連載では2018年シーズンに続き、インタビュアーにスポーツライター長谷川晶一氏を迎え、「躍進」を成せる強いチームをつくるにはどのような采配と決断が必要なのか――小川監督へのタイムリーなインタビューを通じて組織づくりの裏側に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――前回も少しだけ伺いましたが、7月11日に開催されたヤクルト球団誕生50周年を記念した「ドリームゲーム」について、卒直な感想をお聞かせください。
小川 僕にとっても、懐かしい顔ぶれが勢ぞろいしたので、すごく楽しい時間となりました。ユニフォームを脱いで、かなりの時間が経過しているにもかかわらず、先輩も後輩も、昔の姿のままでプレーしている姿を見て、改めて野球選手としての本能を感じましたね。若松(勉)さんなどは、試合前のバッティング練習をほとんどしていないのに、いきなり打席に入って、いきなりタイムリーヒットを打つんですから、驚きました(笑)。
――当日は、あいにくの雨にもかかわらず、多くのヤクルトファンが詰めかけ、選手たちも実に生き生きと楽しそうでしたね。
小川 そうですね。特に池山(隆寛)は生き生きしていましたね。この日のためにトレーニングをしてきたようですけど、バッティングにしても、守備のときのダイビングキャッチにしても、「華があるというのはこういうことなんだな」と実感しました。宮本(慎也)ヘッドも、今でも選手と一緒に汗を流しているからまだまだ身体は動くし、守っていても球際に強いし、足の運びも健在だし、「さすがだな」と思いました。ただ、翌日には「身体がバキバキです」と笑っていましたけど(笑)。
――先ほどの若松さんもそうですけど、投手では松岡弘さん、安田猛さん、野手では杉浦享さん、八重樫幸雄さん、大矢明彦さんなどなど、大ベテランも往時の雰囲気をそのまま身にまとっていましたね。
小川 僕がヤクルトに入団したとき、口もきけないような大先輩もたくさんいらっしゃっていましたけど、みなさん楽しそうだったし、野球選手としての本能も健在だったし、いい時間をみなさんと過ごさせていただきました。
――試合後のセレモニーでは、野村克也元監督から、「これだけ多くのファンのためにも、小川監督、しっかりせい」と激励の言葉も飛び出しました。
小川 あのセレモニーのとき、若松さんや古田(敦也)と一緒に野村さんの身体を支えていました。僕は後ろから野村さんのベルトを持って支えていました。最初はしっかり立っていらしたけど、話している間に少しずつ身体の重みを感じるようになりました。立っているだけでも辛い中で、ああいう現場に来ていただいて、さらに今のチーム状況についても気にかけていただき、「もっともっと頑張らなければいけないな」という気になりました。