記念すべきお薬第一発目は、【自分を遠くから冷めた目でミツメール】だ。
「お薬」と言っても何か飲んだり塗ったりするわけではない。お薬的行動を指している。
仮に、自分が今かなり怒りっぽいメンタルになってしまいコントロールできていないと認識したとする。そこで、このお薬的行動の出番である。
名前の通り、メチャメチャ冷めた目で、遠くから自分を第三者的に見つめるのである。
「あ、今日はメンタルコントロールできない日ね。OK、OK。りょうかーい」と、ほぼ投げやりとも思える態度で冷めた感じで自分に接するのだ。
このお薬の機能は「メンタルと自我を切り離せる」という点だろう。
暴れ回るメンタルを、冷めた自我で慈愛に満ちた親のように微笑ましく見つめてあげるのである。
暴れ回る我が子(メンタル)を見つけてしまった親のやることは一つだ。
我が子が他人に八つ当たりする前に早々に、我が子を抱きかかえダッシュする。そして自分一人しかいない環境(自宅や休憩所)などに移動し、暴れる我が子が落ち着くのを、やんわりと待つ。
結局は先ほど説明した「自動コントロール」をひたすらに待つ。
つまり、メンタルの異常を感知した時点で、すぐに冷めた目で自分をミツメール。そして、精神的な自我とメンタルを切り離す。文字にすると、随分と簡単なものだ。
ちなみに、たまに「アンガーマネジメント」などの難しい言葉を使って自分のメンタルをコントロールしようとする人々もいる。あれも、感情の高ぶりを否定するのではなく、あくまでそれは認めた上で向き合い方を変えることに重きが置かれている。
要は、今伝えた「メンタルと自我を切り離す」ことを機能とした、【自分を遠くから冷めた目でミツメール】と似たようなものである。
二つ目の「お薬」は、名前のごとく、解脱するんじゃないかというぐらい精神を解き放つ離れ技である。
これは私も週2で使っている、仏教の開祖・釈迦を真似して編み出したジェネリック仏教医薬品である。
これもやり方は簡単。
空を見上げて「空は……青いなあ……とても」。
海を見て「海は……広いなあ……本当に」。
マッチョを見て「筋肉でかいなあ……無駄に」。
など、通称「全てを悟り解脱する釈迦モード」に切り替え、達観してから自分のメンタルに向き合うようにするのだ。
このモードに入ると、自分の荒んだメンタルを目の前にしても、全てを悟った釈迦のような柔らかかつ温かい目で自動コントロールを待つことができるのである。
皆さんにお勧めしたい。Let's、釈迦。Yes、ジェネリック。Go、解脱。
ここからは、実際に「お薬」を使ったことのある相談者の例を紹介しよう。
ある30代の主婦は、日々2歳児の子育てに翻弄され、家事に育児に毎日忙殺され、仕事から帰宅した旦那さんに荒れたメンタルでゴジラのように大暴れする毎日が続いていたそうだ。
そこで私から処方された【スーパー解脱ジェネリック】を使った。
するとどういうことだろう。次の日から、あれだけツラく感じた子供のワガママも「ああ……今日もワガママ言っているなあ……。我が息子は……順調」と、謎の広大な精神で受け止めた自分が、逆に面白くなったとのことだった。
その後も自分の不定期なメンタルの浮き沈みに遭遇しても「人間感じるわぁ……。私、人間だなあ。人間やってるわあ」と、ついに「ギリギリ精神性が人類のレベルで踏みとどまれた人」の解脱っぷりで、自分のメンタルに向き合えているそうだ。
ここまで来ればもう怖くない。
既に浮き沈みする自分のメンタルを受け止め、むしろ肯定的に見れているのだから。
メンタルの浮き沈みは人間として当然のことなので、決して恥ずべきことではない。それをむやみに抑えようとした結果、それすらも出来ずへこむことのほうが人間は多い。それをするぐらいなら、自分のメンタルを浮き沈みのある存在として認めよう。
日々のメンタルを尊重してあげるほうがよっぽど建設的で人間らしく、賢くおすすめなのである。