◆新型うつ
「うつ病」は脳の病気ですが、「新型うつ」は病気と言えるか微妙だそうです。状態はいろいろありますが、多くは「会社に行きたくない病」のようです。
病院で「うつ状態」「適応障害」などの診断書をもらってきて会社を休んでいるのに、海外旅行に出かけて、その様子をSNSに投稿したりしている、まさにモンスター社員の代表格です。
新型うつに困っている会社は、とても多いです。会社には来ないけれど、土日は遊べている。仕事はできないけれど、旅行はできる。そんな都合のいい病気があるでしょうか。
いろいろな事例があるので一概には言えませんが、多くの場合、新型うつは単なる「サボり病」と考えられてしまうような事例が多くあります
うつ病は薬物療法による治療で回復を期待できますが、新型うつの治療は難しいとされています。
しかし、適切な対処方法はあります。主治医の診断書、特に心療内科などではすぐに診断書を出してくれますから、それをそのまま真に受けず、会社が契約している産業医や信頼できるメンタル疾患に詳しいお医者さんで一回きちんと診断し直してもらいましょう。
休職している場合でも、遊びに行っている事実が確認できれば、虚偽の申告ということになります。「遊ぶことができるなら、復職してください。復職できないのなら、お辞めになりますか、それとも雇用契約を変えますか」と伝えて、ただちに休職取り消しや退職勧奨などの処置を行うことも検討します。
◆被害妄想型
「職場のみんなが私の悪口を言っています」「セクハラやパワハラをされました」。そうした告発を受けて事実を確認しても、その事実が出てこない。本人はますます怒り、名指しされた社員は戸惑い、みんなが気を使い、職場の雰囲気がどんどん悪くなっていく。
こうした困った問題もあります。
ただ、こうした場合は、統合失調症の可能性があります。統合失調性とは、幻覚や妄想といった実際にはないものをあるように感じる精神疾患です。私も何人か接したことがありますが、周囲の人には見えない、聞こえないことも統合失調性の人には実際に見えたり、聞こえたりしています。客観的な事実を伝えても、信じてくれません。
統合失調症を見極めるのは、非常に難しいです。精神科の先生に診てもらうしかないのですが、本人がなかなか病院に行きたがりません。ですから、こういう問題の場合は、人事のほうから積極的に介入していきます。
「以前の会社の人が私を追いかけて1階のカフェにいる」「あそこに監視カメラがある」などと言ったときに、一緒にその場に行って「ほら、ないよね。ないものをあると言ってしまうと会社にも迷惑がかかるから病院に行こう」といって説得するしかありません。
統合失調症は、適切な治療によりよくなる病気だそうですので、診断を受ける方向にもっていくことが大事です。家族と協力して綿密な対応をすべきです。
自分はいつも責められている、怒られている、といった妄想にとらわれて、仕事ができなくなってしまっている事例は少なくありません。被害妄想が極端な場合は、病気の可能性を考えたほうがいいでしょう。
次回は「遅刻の常習犯」や「当日休みます型」「仕事をしないモンスター社員」「自信過剰型」「他責型」「反抗型」「不安定型」などの対処法についてお伝えします。
次回に続く