最後に、③やわらかな話し方。
声のトーン、話すペース、言葉の選び方、会話の内容など、あらゆる面でゆるふわ感を出していきましょう。
生まれ持った声の質はなかなか変えることはできませんが、自分比でかまいませんので、やや低めの落ち着いた声で話すこと。
すこしゆっくりめのペースで話すこと。
話のペースについては、第5回、第7回あたりに書いた内容も参考にしてみてください。
会話の冒頭だけでも、この二つを心がけることで、相手の緊張はかなりほぐれるのではないかと思います。
そのうえで、できれば、以下の三つに気をつけるといいでしょう。
・相手の発言などを否定せず、基本的には共感モードを貫く。
・相手の発言をせかさない。
・やわらかな言葉を使う。
緊張しているときに、発言などを否定されたり、発言をせかされたりすると、余計に萎縮し緊張してしまう。
そんな経験をしたことがある人は少なくないはずです。
ですから、どうしても受け入れがたい発言などがあった場合は別ですが、特に最初のうちは、相手の言ったことに対しては、「そうですよね」と受け入れ、共感を示す。
相手が何を発言するか一生懸命に考え、焦っているようであれば、周りの景色を見る、ぼんやりしている(風を装う)などして、静かに待つ。
もしあなたのほうに、精神的・時間的にある程度余裕があるなら、そのような心配りをすると良いでしょう。
言葉の選び方については、第21回で「テキストでのやりとりにおいては、できるだけやわらかい表現、遠回しな表現を使いましょう」とお伝えしましたが、緊張している相手との会話においても、やわらかい表現、遠回しな表現を使うことは大事だと私は思います。
強い言葉、どぎつい言葉を使う人と会話をすると、やはり人は萎縮し緊張してしまいがちだからです。
特に、ネガティブな発言をするときほど、やわらかい言葉で表現するといいでしょう。
たとえば「嫌い」と言いたいときに、「あまり好きじゃない」と言うだけでも、かなり印象が変わります。
これについても、もしあなたのほうにある程度余裕があるなら、実践してみてください。
もう一つ、気をつけていただきたいポイントが「相手を観察している感じを出さないこと」。
みなさんは誰かと話をしているとき、「あ、この人、私を観察しているな」と感じることはありませんか?
そんなとき、リラックスして会話を続けられる人は、そう多くはないはずです。
たいていの人は緊張し、息苦しさ、話しづらさを感じるでしょう。
もちろん、人は誰でも会話をしながら、多かれ少なかれ相手を観察しているものです。
観察しているからこそ、相手に合わせた的確な受け答えができたりもするので、観察すること自体が悪いわけではありません。
むしろ、的確に人を観察することができれば、世の中を渡っていくうえで大きな武器になるでしょう。
しかし、じっと見つめすぎたり、相手の身だしなみや持ち物、ちょっとした言動などに過敏に反応しすぎたりすると、相手は居心地の悪さを感じてしまいます。
世の中には、相手にプレッシャーを与えるため、萎縮させるため、「私は人をしっかりと見る、鋭い人間ですよ」というマウントをとるために、わざと「観察している感」を出しまくる人もいますが、話しやすい人と思われたいのであれば、それは絶対にNGです。
心の中ではどれだけ観察していてもかまいませんが、「見つめるのはほどほどにする」「相手の身だしなみや持ち物、言動を見て気づいたこと、引っかかったことがあっても、あまり口に出しすぎない」といったことを心がけ、あなたの鋭い観察眼はうちに秘めておきましょう。