「思い描いていた自分と違う」「すべてリセットして消えたくなる」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。
「⾚を⾒ないように」といわれると、異様に⾚ばかり⽬に⼊ってくるのが⼈の意識です。意識しないでおこうと意識するほど、そのことに過敏になります。
たとえば、ダイエットするためにチョコレートは⾷べたらダメだと思うほど、なぜかチョコレートが頭から離れなくなっていくのです。
意識した途端、⼀⽇中チョコレートが頭を占領します。あなたにもそういった経験がありませんか?
こんなときに、どうすればいいか。
⼀番良い⽅法は、チョコレートが好きな⾃分を「認める」ことです。
いい⽅を変えれば、チョコレートを好きな⾃分を「諦める」ということです。
チョコレートが好きな⾃分を「ゆるす」とも表現できます。
怖いでしょう? チョコレートを好きな⾃分をゆるしてしまったら、どんどんチョコレートを⾷べてしまって、ダイエットが台無しになりそうですよね。
実践してみたらわかるのですが、最初はたくさん⾷べたとしても「いつ⾷べてもいいんだ」と思うと「⼀⽇中チョコレートのことが頭から離れない」なんてことは⾃然となくなります。
なぜ、あんなにもチョコレートを⾷べたかったのかさえ思い出せなくなるほどです。でも、ゆるしてしまったらさらにダメになりそうで、⼈はなかなかそのベストな⽅法を試してみようとしません。
良い⼈⽣にするために⾃分を変えるということも、ダイエットのチョコレートと同じです。⾃分のダメなところを嫌悪するほどその存在が⼤きくなってしまうのです。
たとえばイソップ童話の『北⾵と太陽』。
この物語では北⾵と太陽が旅⼈のコートを脱がせた⽅が勝ちという勝負をします。北⾵は旅⼈に激しく冷たい⾵を吹きつけ、コートを吹き⾶ばそうとしますが、旅⼈はコートを握りしめてしまいます。⼀⽅、太陽はポカポカと暖かい⽇差しを向けます。すると旅⼈はその暖かさから⾃らコートを脱ぐというお話でした。
この物語のコートを「嫌いな⾃分」と捉えて読んでみてください。
私たちは「嫌いな⾃分」を払拭するために、激しく冷たい⾵を⾃分に吹きつけていないでしょうか。
嫌いな⾃分がなくなれば、理想の⾃分に近づく気がしていまの⾃分に冷たく当たります。すると『北⾵と太陽』の物語と同じように「嫌いな⾃分」はなくなるどころか、しっかりつきまといます。
なかなかなくならないからさらに冷たく当たるけれど、やっぱりなくならない。そんな挫折感を味わうたびに⾃分をさらに嫌いになっていく。こんなことを⼀体、何年繰り返してきたのでしょう。