「思い描いていた自分と違う」「自分と他人を比べて苦しくなる」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。
「ありのままの自分」といった言葉に、私は少し危険を感じます。人にはそもそも成長欲求があるからです。
自分が成長することは本来楽しいはずで、楽しい成長は「自分がダメだから」「価値がないから」という価値観からは始まりません。楽しい成長は、自分に十分な価値があることを理解した上で、さらに成長したいという「欲求」から始まります。
つまり「want(〜したい)」であって、「should(〜べき、〜しなければならない)」ではありません。同じ成長でも「should」の価値観でがんばると辛くなりますが、「want」でやると楽しいです。
「ありのままでいい」というと、途端に学びや成長を放棄したりやめたりしてしまう人がいますが、それこそ大きな誤解です。
自分の価値に気づいている人は、「これ以上成長しないでいい」とも、「ダメだから成長しなければならない」ともなりません。むしろ「こう在りたい」で生きられるようになるので、「ありのままの自分」を受け入れ楽しく成長できます。
ならば自分の価値はどう見つけたらいいのか。
それも実は簡単です。
何ができたとか、何ができないといった表面的なスキルやステータスに委ねるのではなく、あなたの「思いの方向」さえ変えてしまえば、自分の価値は可視化されます。
なぜならあなたの価値は、もともとあなたの中に「在る」からです。
それを見えるようにする方法が、「こんな私が好き」という判断軸を持つこと。
選択や決断には判断軸が必要で、その軸を何にするかは人によって違います。それこそが当人の価値観です。この価値観が借り物……つまり自分ではない何かになっていると、人生には「こんなはずじゃなかった」という不具合が起こってきます。
たとえば世間の常識や流行などを軸にすれば、時代が変わった途端に間違いになるかもしれません。周囲の人の意見を軸にし続けていたら、いつしか自分の意志を見失うでしょう。
でも「こんな私が好き」という軸は、自分の価値観に基づいた判断軸だからシンプルで強いのです。
当然、どんな軸で選択したって成功も失敗もあり得ます。「こんな私が好き」で選んだからって、失敗を回避できるわけでもありません。
しかし、自分の感情をフル稼働させて「こんな私が好き」で主体的に選択していくことは、常識や他者の意見に「反応」するだけの経験とは深みがまるで違ってきます。
「こんな私が好き」を軸に選択し、責任を取るほどに人生の経験値は飛躍的に上がっていき、あなたらしい生き方の術が身についていきます。
経験値とは、自分の責任において物事を選択した数といっても過言ではありません。
その判断軸こそ自分の価値。
情緒的な成熟から生まれる、あなただからやれる人生の土台です。