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「すきにして」あらすじ
札幌の商事会社に勤める山中雅は四十二歳、社員の評判は悪くないのだが働く意欲に欠けるため出世は遅れ去年ようやく係長に昇進した。
係には根本純と中川ネネが配属されている。
しかし、こちらの二人も労働意欲に欠けるお局だ。
係長を含め三人ともに崖っぷちと社内で噂されていた。
彼らを取り仕切るのが課長の阿部だ。典型的な嫌われ管理職である。
ただ阿部課長が特異なのはオネェの気があることだった。
ある日のこと、山中係長が阿部課長と一緒に昼食を取ったときのことである。
些細なことで二人は大激論かわすことになってしまった。
その後、居合わせた部長も加わり大論争。
頭にきた部長は、課長に対して今度の営業会議までに新企画を考えてくるようにと命令を下したのであった。
課長は悩む。悩んだあげく頼ったのが山中係長だ。
係長は新企画として女性ホルモンの増強を推した。
頭頂部の髪の毛の量は女性ホルモンに左右される。ホルモンが増えれば、課長の禿げた頭に毛が生えるかもしれないと訴える。成功した暁にはビックビジネスになると訴えた。それには四六時中女装して暮らすのがいいと説いたのだった。
半信半疑の課長であったが、最終的に女装をする決意をする。
係長は係の女性二人の連れ、課長宅で課長の女装を行った。
化粧や服を着替えているうち課長はついに目覚めてしまう。
今までいけない事だと抑えていた自分の常識をぶち壊し、心の思うまま自由に生きればこんな幸せになれるんだと気づいたのだ。
心を完全に開くと今まで抑えていた自分がさらに出た。
自分がMであることまで宣言するのだった。
その願いに応えたのが根本純だ。Sの女王として課長の前に出た。
しかし、彼女が課長に対して行ったのは熾烈な拷問だったのだ。
ネネの助けでかろうじて殺されるのを免れた課長は、これからは自分の思うままに生きて行こうと決心する。
そして、自分探しの旅に出て行くのだった。
文字数 18,657
最終更新日 2024.03.25
登録日 2024.03.25
明治維新から半世紀が経ち、日露戦争が終わり、日本は大正デモクラシーという時代に入りました。
そこでは平塚らいてうや市川房枝らによる婦人運動が起こり、男女平等論が広がっています。
西洋の文化が大衆社会の中に溶け込み、モダンガール、モダンボーイが街を闊歩する時代です。
この物語は、そんな時代の恋物語。
山中浩二と根本千代は十六歳の学生。二人は大正七年に開催された北海道博覧会の学生手伝いに応募し、出会います。浩二はいつも控えめであまり目立つことができない千代にひかれ、恋に落ちていきます。医者の家系を継いでいかなければならぬ浩二は受験に専念しなければならぬ時、一方の千代は「女の本懐は男を出世させること」という武士だった父親からのしつけで、男性からの告白をどうすればいいのか悩みます。
しかし浩二の熱意に負け、ついに千代は付き合うことにしたのでした。
楽しい交際もつかの間、浩二の母親に交際していることが知れ、母親は怒り狂います。
自由に男女平等にといっても、家柄や女子の生き方で古い考えがまだ残っておりました。
さて、この恋愛はどうなってゆくのでしょう?
最後まで読めば、当時の女子の生き方が見えてくることでしょう。
文字数 3,990
最終更新日 2024.01.18
登録日 2024.01.18
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