――I love you.
宮崎先生ならどう訳しますか。
時は明治後期、東京が「帝都」と呼ばれていた時代。とある小さな出版社の記者は、傍若無人な天才絵師に問うた。聞くと、今を時めく小説作家・双葉木葉(ふたばこのは)がそのような不可解なことを口にしたのだという。
興味を持った宮崎は、双葉木葉を訪ねるが、出迎えたのはこの世のものとは思えないほど美しい女性だった。
「I love you、貴方なら、この言葉を何と訳しますか?」
「私ならこう訳します――貴方のためなら、死んでもいいと……否、貴方と共に死にたいと」