たなか

悪いお姫様は正義のお姫様と王子様に成敗されてしまいましたとさ………めでたしめでたし なんて物語嫌いなの。 因果応報なんて大っ嫌い。 勧善懲悪なんて反吐が出る。 どんな悪事もバレなければ良いのよ。 ほら、よく言うじゃない？ 美しい花には棘があるって。 まあ私は、そもそも悪事なんて働かないけれどね？ 興味無いしつまらなそうだもの。

私は今、婚約破棄をされている。 はあ、めんっどくさっ。

天才女優が死んだ。 彼女は自我を極限まで無くして常になにかの役を演じて生きていた。 その異常なまでの演技は、見る者を惹き付け、魅了して、虜にする。 そんな彼女はある美しい令嬢に転生する。 それは彼女が死ななければ主役を演じるはずだった物語の、悪役。 冷酷で残虐な悪役。 愛を求め狂った悲劇のヒロイン。 彼女は思う。 ──完璧な悲劇の令嬢を演じましょう。この美しい容姿に相応しいような、儚げで庇護欲をそそり、いじらしい理想の令嬢を。 これは、自分を失った彼女の、文字通り人生を捧げたお芝居である。

学校の中庭で目撃してしまった、婚約者とあるご令嬢とのキスシーン。 ──そんなに私がお嫌いですか？ならば、もう、好きになってもらう努力やめます。 胸の中で婚約者様に別れを告げる。 小説みたいに、スッキリ諦められたのならば、どれほど良かったことか。

幽霊になってしまったマイペースな少女がほのぼのまったりすごす話 たまーにちょっとしたハプニングがあるかも？

「クレーヌ」 甘い声と優しい笑顔で貴女は私のことを呼ぶ。 まるで私の事が好きだとでも言うように。 ああ、申し訳ないのですが………… 私は貴方のこと、全然好きじゃないのですが！？

悪役。 それは、主人公を引き立てる為の存在。 それは、ハッピーエンドに導く為の存在。 それ以下でも以上でもない。 そんな悪役達に眼をむけてみましょう！ 「アイツら早くくっつけよ！」 「勇者遅くね！？え！？死んでる！？嘘だろ！？ちょっと生き返らせてくる！」 きっと優しい心に触れられます。 この話は、そんな悪役が集まる楽しくて不思議なお屋敷のお話。