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"その病は、誰かを愛すると発症する。"
高校の卒業式の日。
宮森香澄(みやもりかすみ)は幼なじみで親友の白石律(しらいしりつ)にキスされそうになり、拒絶してしまう。
その日を最後に律は失踪してしまった。
一年後。
大学生になった香澄は、訪れた律の部屋で古びた一冊の本を見つける。
不思議な予感がした香澄がその本を開くと、眩い光に包まれ、意識を失ってしまう。
次に目を覚ました時、香澄は異変に気づく。
まるで近未来映画に出てくるような無機質な室内──香澄は見知らぬ世界に迷い込んでいたのだ。
戸惑う香澄の前に現れたのは、レナードと名乗る金糸のような髪を持つ美しい男。
レナードは混乱する香澄を陵辱する。
ことが終わり、打ちひしがれた香澄の元にやってきたのは、一年前に消えた白石律。
優しい幼なじみだった律は人が変わったように香澄に冷たくなっていた。
律は「命が惜しければレナードに体を差し出せ」と忠告する。
いったいここはどこなのか?
戸惑う香澄。
この国──この世界ではある病が蔓延していた。それは、「誰かを愛すると発症してしまう」という奇病だった。
奇病を治すため、莫大な資金がつぎ込まれている施設。
この国の王であるレナードは香澄をまるでモノのように弄び、辱める。
奇病を治療することはできるのか。
律はなぜこの世界に来たのか。
香澄は律とともに元の世界に帰ることはできるのか。
滅びゆく世界で描く、最初で最後のラブストーリー。
"そのキスは、世界を滅ぼすキスだよ。"
文字数 59,405
最終更新日 2022.12.17
登録日 2022.10.20
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