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SF 連載中 長編
白い巨人が白刃を一閃した。風を切る鋭い音が響く。切り裂かれた胴から上が滑るように落ちて地面を打った。 五体目のエマシンまで失ったことで相手たちが我先に逃げていく。 「戦いはエマシンで決するというのは本当のようだ」 強力なエマシン「ランデイン」を操縦する悠人が呟く。 偶然手に入れた機械の巨人に乗込み、成り行きに任せて敵の一団を撃退した。 しかし脅威はまだ去らない。さらなる多数の敵がフルール地方全土を襲い始めたからだ。 敵のエマシンは三十体以上。立ち向かうのは悠人のランデイン一体のみ。彼我の差は圧倒的である。 「どうすればいい? どうすれば奴らからここが守れる?」 悲痛な声が問うてくる。 「助かる方法は一つだけだ。奴らを根こそぎ一掃する。それ以外の方法はない」 毅然と答えた悠人はエマシンに乗込み、フルールに迫る脅威へ立ち向かう。 道案内はリンという美しい女性だ。操縦席に座る悠人に背中を預けている。悠人の内股には半裸の愛らしい白い尻が触れていた。 「どこから来た人なの?」 「…東京って分かるか?」 「聞いたことがないわ。よく分からないけど。要は流れ者っていうことよね?」 確かに悠人は流れ者だった。それも別の世界からの。 ここは中世のような古めかしさと、エマシンなど異常に発達した技術が混ざった奇妙な世界だった。 これは見知らぬ土地でエマシンというロボットを駆り、リンという美女と旅する四十代おじさんの物語である。
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文字数 3,831 最終更新日 2023.09.07 登録日 2023.05.07
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