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 愛ゆえに――世界を救おうとした少女、ウラオー・ホタル。  彼女は父親に連れられ、中国福建省の奥地に足を踏み入れた。  人の目から隠された滝つぼの奥に、その世界は広がっていた。  フェニックス、ドラゴン、バハムート、かつて地球を支配していた幻獣たちが、隠れ、住まう処だ。  人間たちは聖域の中に巨大な要塞を建て、神聖なる生き物を捉え、外の世界へ連れ出そうと目論んでいた。  愛ゆえに、世界を破滅に導く男、モハティ・ルドヴィング。  彼が、要塞を建てた張本人だ。彼は、異常な執着心で、幻獣たちを突け狙っていた。  彼のそばには、常に一人の男がいた。  愛ゆえに、国を滅ぼそうとする男。名をオーサム・ドレイクと言った。  得体の知れない傭兵だ。  彼らとともに、研究者として働く父親。  次々に森を切り開き、燃やしていく兵士たち。  周りにいる大人は誰一人として信用できず、ホタルは、自らの手で、この世界を救おうと立ち上がる。  幼なじみのワタルとともに、要塞の奥地へと足を踏み入れた時、ホタルは、運命的な出会いを果たす。    父親の作った拘束具に捕らわれていたのは、燃えるような赤い髪、ルビーのように紅い瞳を持つ少女――――愛ゆえに、掟を守れなかった王、フェニアス・バックスだ。  彼女を救いだし、ホタルの運命が大きく動き出す。  モハティの真の狙いとは何か。  彼に与するドレイクの思惑は何か。  そして、フェニアスが抱える使命と闇――――  これは、平和を願う少女が起こす、死と誕生の物語。
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文字数 201,994 最終更新日 2024.09.28 登録日 2024.09.28
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