幻獣の棲みか

 愛ゆえに――世界を救おうとした少女、ウラオー・ホタル。

 彼女は父親に連れられ、中国福建省の奥地に足を踏み入れた。

 人の目から隠された滝つぼの奥に、その世界は広がっていた。
 フェニックス、ドラゴン、バハムート、かつて地球を支配していた幻獣たちが、隠れ、住まう処だ。

 人間たちは聖域の中に巨大な要塞を建て、神聖なる生き物を捉え、外の世界へ連れ出そうと目論んでいた。

 愛ゆえに、世界を破滅に導く男、モハティ・ルドヴィング。
 彼が、要塞を建てた張本人だ。彼は、異常な執着心で、幻獣たちを突け狙っていた。

 彼のそばには、常に一人の男がいた。

 愛ゆえに、国を滅ぼそうとする男。名をオーサム・ドレイクと言った。
 得体の知れない傭兵だ。

 彼らとともに、研究者として働く父親。
 次々に森を切り開き、燃やしていく兵士たち。
 周りにいる大人は誰一人として信用できず、ホタルは、自らの手で、この世界を救おうと立ち上がる。

 幼なじみのワタルとともに、要塞の奥地へと足を踏み入れた時、ホタルは、運命的な出会いを果たす。
 
 父親の作った拘束具に捕らわれていたのは、燃えるような赤い髪、ルビーのように紅い瞳を持つ少女――――愛ゆえに、掟を守れなかった王、フェニアス・バックスだ。

 彼女を救いだし、ホタルの運命が大きく動き出す。
 モハティの真の狙いとは何か。
 彼に与するドレイクの思惑は何か。
 そして、フェニアスが抱える使命と闇――――

 これは、平和を願う少女が起こす、死と誕生の物語。
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