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しおりを挟むプロローグ
四季の美しい国、ミラルバ王国。小国でありながら、貿易を盛んに行っている国である。
国土の中心に位置する王都には、国で唯一の王立学園があり、そこは王族、貴族にとって学力を上げるためだけでなく、人脈を広げるための場ともなっている。
王都には、王族の血が流れるウェバー公爵家の屋敷がある。国でも一、二を争うほどの権力者で、多大なる影響力を持っているとされるウェバー公爵家の長女の名は、アラーナ。
王立学園に入学して、一年と数か月。学園生活にも慣れてきた、三月下旬。
生徒会役員である公爵令嬢のアラーナは一人、校舎内の廊下を歩いていた。向かう先は、生徒会室。窓から漏れる夕暮れの光はもう、暗くなりつつある。
今日の仕事は終えたものの、学園の外に出てから忘れ物をしたことに気付いてしまった。明日でもいいかとも思ったが、あいにく明日は休日。忘れ物は図書室で借りたずっと楽しみにしていた本だったので、アラーナは疲れた身体を動かし、元来た道を戻っていた。
生徒会室の前に、一人の見知った男子生徒が立っていた。
それは、この国の第一王子の側近でありアラーナと同じく生徒会役員を務める、トマス・ラランドだった。赤い髪の彼は、遠くからでも見まごうはずもなく。
アラーナは小首を傾げた。
「トマス? どうしてここに……何をしているのですか?」
声をかけられたトマスは、あからさまに動揺し、挙動不審になっていた。
「アラーナ様……お、お帰りになられたのでは」
「生徒会室に忘れ物をしてしまって……」
「そ、そうですか。私が取ってきましょうか?」
「いえ……もう、生徒会室は目の前なので」
ミラルバ王国の第一王子の名は、エイベル。エイベル・レヴ・ミラルバ。アラーナの婚約者だ。
当然のように、愛し合って結ばれたものではなく、第一王子であるエイベルに相応しい身分だから選ばれた、政略的なもの。
世の貴族令嬢の中には、小説のような恋愛を夢見る者も多いが、アラーナは、そんな間もなく小さなころにエイベルの婚約者となったため、完全にそれは夢物語に終わってしまった。
貴族の令嬢として生まれた以上、仕方のないこと。そう思い込み、せめて物語の中ではと、今日も作り物の小説に思いをはせる。
アラーナにとっては、唯一といっていいほどの大切な心の拠り所、趣味だった。
少しでいい。自由な時間が欲しい。願うが、それは贅沢なこと。
婚約者のエイベルは学園の生徒会長を務め、そのうえ次期国王として、父親である国王の執務の手伝いもしている。アラーナよりよほど多忙なのだ。
ゆえに、エイベルの婚約者であるアラーナは少しでも彼の助けになろうと、幼いころから継続している王妃教育も日々こなしつつ、本来はエイベルの仕事である生徒会長の仕事のほとんどを請け負っていた。
今日も、エイベルは国王に任された急ぎの用があるからと、生徒会長の仕事をアラーナに任せ早々に学園を後にした──はずだったのだが。
ならばどうして、エイベルの側近のトマスが、しかも見張りのように生徒会室の扉の前に立っているのか。
「……あっ」
扉越し。生徒会室の中から、微かに女性の艶っぽい声がもれ聞こえてきた。トマスがぎくりとしながら、青い顔でこれ以上の声をアラーナに聞かせまいとするかのように、無理に咳払いをする。
「あの、ですね。エイベル殿下から、仕事に集中したいから、誰も通すなと命令されていまして……」
苦しい言い訳なのは、重々承知しているのだろう。そもそも、先に王宮に帰ったはずのエイベルがここにいることじたい、おかしいのだから。
「そう、ですか……」
アラーナは静かに目を伏せる。エイベルが自分を愛していないことは知っていた。
けれど、頼りにはされていると思っていたから頑張ってこられた。
ただ、それだけを支えに。
仕事を任せてくれるのは信頼の証。愛がなくとも、必要とされている。
最近はお礼を言われることすらなくなっていたけれど、責められることもなかったから。途切れることなく何かを任せてもらえるのは、頼られているからだと自身を納得させていた。
「…………」
頭で否定していても、もれ聞こえたその声色に嫌な可能性が脳裏を駆け巡る。今、生徒会室で何が行われているのか。トマスがここにいる以上、エイベルがいるのは確実。
では、聞こえた女の声は誰のものだろう。
そして二人は、何をしているのか。
いっそ、まったく想像がつかなければよかった。どこまでも鈍感で、愚かでいたい。
だってずっと、そうしてきた。このまま何もせず帰るのが正解なのだろう。
わかっている。そうすれば、心を保てる。
──でも。
ふと、ある考えが過ってしまった。生徒会室内で予想通りのことが行われているとして。その現場を目撃した婚約者である自分に、エイベルは何か、言い訳をしてくれるだろうか。
いまの国王に、側妃はいない。歴代の国王に側妃がいたことはあるが、基本的に正妃に子が望めない場合に限っている。
つまりこの国では、国王ですら不貞は道徳に外れるとされ、犯罪ではないものの、責められる行為とされている。第一王子のエイベルも、例外ではない。
『──悪かった。すまない。ぼくにはお前が必要だ』
そう言ってくれるだろうか。そんな期待を、アラーナは抱いてしまった。
ごくり。
アラーナは緊張から生唾を呑み、生徒会室の扉の取っ手に手をかけた。
「アラーナ様⁉」
トマスが虚をつかれたように、アラーナを止めようとする。けれど、アラーナの真剣な眼差しに、トマスが怯んだ。アラーナは、ごめんなさいと謝罪しながら、いつもより重く感じる扉を開けた。
真っ先に感じた、つんと鼻につく、独特の臭い。
よほどその行為に熱中していたのだろう。扉のすぐ傍で、トマスがアラーナの名を叫んだときには気付かなかったのか、ソファーで絡み合う男女は扉が開いてはじめて動きを止めた。
生徒会室には、三人はゆうに並んで座れそうなほど大きなソファーが、机を挟んで、向かい合わせに二つ置いてある。そのうちの一つのソファーに寝転ぶ女性に、覆い被さるようにしていたエイベルが荒い息のまま眉間に皺を寄せ振り返った。
ちっ。
アラーナの顔を認識するなり、エイベルは不快そうに舌打ちし、ソファーからおりた。
「…………っ」
申し訳なさそうにするわけでも、気まずそうにするわけでもなく、エイベルはまず、苛立ちを向けてきた。それも、むろんショックだった。
──けれど。
「あ……なんだ、お姉様でしたの」
アラーナに背を向け、苛々しながらズボンを上げるエイベル。その隣で、乱れた衣服はそのままに、ウェーブがかった金の髪をかき上げ、ソファーから上半身を起こしたのは。
確かに、アラーナの実妹の、アヴリルだった。
「アヴリル……」
驚愕に、めまいを覚えるアラーナ。アヴリルはぷっと吹き出した。
「え、その顔はなんですか? まさか、あたしたちの関係、本当に気付いていなかったのですか?」
「そういうな、アヴリル。これでも一応、隠していたのだからな。まあ、逆にこれでスッキリしたとも言えるがな」
服を整えたエイベルがアラーナを振り返った。その表情は、言葉通り、どこかスッキリとしていて。とてもじゃないが、不貞行為を婚約者に目撃された男のするものではなかった。
(……わたしがおかしいの……?)
震えをこらえ、縋るように後ろにいるトマスを見た。一瞬視線は交差したものの、すぐに目を逸らされてしまった。
(……あ、馬鹿だわたし。トマスが二人の関係を知らないはずないのに)
ずきりと胸は痛んだが、違う、そうじゃない。アラーナは口を開きそうになった。問いたかったのは、トマスに確認したかったのは、誰が間違っていて、おかしいのかということ。
「さて、アラーナ。良い機会だ。本音で話し合うとしよう」
「ええ~?」
不満の声を上げたのは、アヴリルだった。
「エイベル様ぁ。まだ途中だったじゃないですか」
エイベルは「むろんだ。すぐに終わらせる」とアヴリルの頭を優しく撫でてから、アラーナに向き直った。
「見ての通り、ぼくが愛しているのはアヴリルだ。けれどお前も、薄々は感じていたのだろう? 二人で出かけたことは数えるほどだったし、これまでぼくは、公の場以外でお前に指一本触れたことがなかったからな」
エイベルの指摘は的外れどころか、すべて図星で。けれどはっきり、妹を愛していると告げられたアラーナの心は、確かに深く傷付いていた。
(……謝罪すら、ないなんて)
わたしはこの人にとって、なんなのだろう。
アラーナは俯き、制服のスカートを強く握った。
「……ならばどうして、わたしと婚約なさったのですか。妹を選べば良かったではないですか」
アラーナがエイベルと婚約したのは、互いが七歳のとき。第一王子の婚約者候補の中には、ウェバー家の次女、当時六歳のアヴリルもいた。ウェバー家の令嬢なら、どちらでもよかったはず。
なのにエイベルが選んだのはアラーナだった。それがどれほど嬉しかったか。
それだけが、アラーナの矜持だったといってもいい。
「ぼくとアヴリルが惹かれ合ったのは、お前と婚約したあとだ。まあ。思い返してみれば、一目惚れに近かったのかもしれないが」
「エイベル様、それは本当ですか?」
アヴリルの期待の眼差しに、エイベルは「ああ。アラーナのおかげで気付くことができたよ。アヴリルに出会ったときの感情は、アラーナのときと全く違ったから」と、白い歯をこぼした。
「それに、どちらにせよ、ぼくに選択権はなかった」
「どういう……」
戸惑うアラーナに、エイベルは馬鹿にするように、ふっと口角を歪めた。
「ウェバー公爵に優秀なのは姉の方だと聞いていた父上から、お前を勧められていた。絶対ではなかったが、命じられていたも等しい。だから別に、ぼくがお前を選んだわけではないということだ」
目を見開くアラーナを、アヴリルが嘲笑う。
「やだ。今の今まで、知らなかったんですか? エイベル様に選ばれたのは自分だと、ずっと勘違いしていたってことですか? かわいそう、お姉様。すっごく憐れ」
「そのへんで止めてやれ。結果的には、アラーナを選んで正解だったのだからな」
え。
面を上げたアラーナに、エイベルは「聞きたいか」と鼻で笑い、語りはじめた。
「そう考えたのには二つ理由がある。まず一つ。王妃の仕事は、みなが想像するよりもよほど大変なんだ。子どものころから母上を見ていたぼくは、それを痛いほど理解していた。そんな役目を愛しい人にさせたいと思う男がいるか? その点、お前の趣味は勉学だけだからな」
確かに。そうアヴリルが同意し、何度も頷く。
「二つ目はな。子どもだ」
アラーナは「子ども……?」と、意味がわからないまま繰り返す。エイベルは、そうだと腰に手を当てた。
「ぼくはお前と子作りするつもりはない。ぼくが欲しいのは、アヴリルとの子だ。お前とアヴリルは姉妹だから、きっと見た目でばれることはないだろう?」
エイベルが言わんとすることに、アラーナだけでなく、青い顔で俯いていたトマスでさえ、声をなくしていた。
「……エイベル様とアヴリルの子を、エイベル様とわたしの子とするということですか」
アラーナの声が震える。
それに気づいているのか、どうでもいいのか。
「そうだ。我ながら、良い案だろう? アヴリルが王妃教育など受けていたら、こうして毎日会うことは叶わなかったかもしれないし、お前がぼくの仕事をせっせと手伝ってくれているからこそ、こうして時間がとれる。お前には、感謝しているぞ」
少しも悪びれる様子もなく、エイベルは、アラーナの肩をぽんぽんと叩いた。
「お前の鈍いところは気に入っている。実はな。王宮に帰るふりをして、学園に残っていたことは多々ある。学園には、アヴリルと密会するいい場所があるんだ。しかし、生徒会室のソファーの肌ざわりをアヴリルが気に入っていてな。たまにこうして、お前たちが帰ったあとに使用させてもらっていた。この際だから言うが、もう少し早く仕事を終わらせてくれるとありがたい」
ぴしっ。
かろうじて保っていた何かに、亀裂が入る。
選んで正解だった。その言葉を聞いて馬鹿みたいに、この期に及んで期待した。
その答えは、想像すらしなかった、アラーナにとってはあまりに残酷なもの。
選ばれてすらいなかった。頼られていたわけではなく、ただ、いいように利用されていただけ。
今まで、その可能性を考えなかったわけではない。
ただ、考えない方が、心が楽だっただけで。
けれどここまで、どうでもいい存在だと。
ともすれば、都合のいい道具としてしか見られていないとは流石に思っていなかった。
(……誰のために、今まで)
零れそうになる涙を呑みこみ、俯きながら唇を噛み締める。もう一秒だってここにいたくなくて、踵を返そうとしたアラーナを、アヴリルが後ろから愉快そうに呼び止めてきた。
「そうだ、お姉様。一応言っておくけど、エイベル様とあたしが想い合っていること、お父様たちは知っているから。告げ口しても無駄ですよ?」
ゆらりと振り向いたアラーナの絶望の表情に、アヴリルが満足そうに頬を緩める。
「うふふ。知らぬはお姉様ばかりってね。過酷な王妃教育は、あたしには耐えられないから仕方ないなって。お姉様は王妃になれて世間体もいいし、あたしは幸せになれるし、いいことだねって、笑って許してくれたのですよ」
一瞬。凍り付いたようにアラーナの身体と思考が停止した。両親がアヴリルを溺愛しているのは知っていたが、まさかこんなことを容認するとは思わなかったから。
「…………嘘」
絞り出したような掠れた声に、アヴリルは「嘘だと思うなら、直接聞いてみたらいかが?」と言ってから、エイベルの腰に背後から抱きついた。
「エイベル様。早く続きをしましょう?」
そうだな。微笑んでから、エイベルはアラーナに鋭い視線を向けた。
「アラーナ。父上たちは、ぼくたちのことは知らない。だが、告げ口しようとは思うなよ。ぼくは国王になるまでアヴリルのことは黙っているつもりだ。たとえお前がなんと言おうと、ぼくはそれを否定する。ウェバー公爵もウェバー公爵夫人も、お前ではなく、ぼくたちの味方だ。王族であるぼくを侮辱した罪に問われたくなければ、口をつぐみ続けることだ」
愛されていない、どころではなかった。
婚約者と妹は、アラーナを人間扱いすらしていなかった。
目の前の相手が心を持ち傷付く人間だと、同じなのだと、思ってはいないのだろう。
それが、泣きたいほど、痛感できてしまった。
「……アラーナ様」
気の毒そうに、トマスが名を呼ぶ。
アラーナは、情けなくて悔しくて、顔をあげることが出来なかった。
「……帰ります」
一言、呆然と呟き、アラーナはその場を後にした。
◇
ふわふわとした感覚のままアラーナは校舎の外に出た。
待機している馬車の前に立っていた男が、アラーナの姿に気付き馬車の扉を開ける。
「お帰りなさいませ、アラーナお嬢様」
いつもと変わらない、優しい笑み。つい先ほどまでの出来事が、少しだけ、悪夢のように思えた。
でも、それがただの現実逃避だということは、アラーナが一番理解していた。
「……ええ、ただいま。待たせてしまって、ごめんなさい」
心ここにあらずといった感じで、ふらふらと馬車に入っていくアラーナ。
お目付役兼護衛役の男──テレンス・ラクールは小首を傾げながら、アラーナの後に続いた。
アラーナの正面に腰を下ろし、御者に「出してください」と命じたテレンスは、アラーナの様子を改めてじっくり観察した。
ぼんやりと馬車の窓から外を眺めるアラーナは、生気がまるで感じられなかった。
いや、普段からにこにこと明るいのかと問われれば、違うのだが──それにしても。
「アラーナお嬢様。何かあったのですか?」
戸惑いながら、思い切って訊ねてみた。アラーナは一瞬、何か言おうと口を開きかけたものの、呑み込むように、口を閉じてしまった。
「……いいえ。大丈夫よ、ありがとう」
ふたたび開いたかと思えば、これで。
明らかに大丈夫ではない、無理やり浮かべた笑顔。
でも、そう言われてしまえば、使用人の自分には、もう、どうしようもなくて。
「そうですか」
歯がゆくも、そう答えるしかなかった。
◆
「ただいま戻りました」
ウェバー公爵家の屋敷に着いたアラーナは、居間でお茶をしている両親に挨拶をした。両親はお帰りとも言わず、まず、アヴリルがまだ帰っていないのだがと口火を切った。
「まだ学園にいたか? それとも、また買い物に夢中になっているのかな」
「心配ですわ。あの子はアラーナと違って、か弱いですからね」
両親の会話にアラーナの指がぴくりと動いた。
過保護なのは、いつものこと。今日が特別というわけではない。これまで流せていたはずの扱いの差に、アラーナの顔が僅かに歪む。
(お父様とお母様は、アヴリルが頼りないから心配しているだけよ。わたしはしっかりしているから、期待されているからこそ、何も……っ)
いつもの言い聞かせが、アラーナの中を駆け巡る。これまでならそれで収まっていた気持ちが、今日だけは消化出来ずにいた。
(……あんなおかしなこと、お父様とお母様がお許しになるはずないわ)
そう思うのに、自信が持てない。どう考えてもおかしいのは、間違っているのはエイベルとアヴリルなのに。両親の、アヴリルに対する溺愛ぶりを、何年も間近で見てきたせいだろうか。
アヴリルが言っていたことが真実かどうか、確かめたい。
そして、否定してほしい。そんな道徳に反する真似はさせないとはっきり告げてほしい。
ならば、まだ救われるから。
居間にいるのは、両親と、アラーナ。そして、テレンスと控える二人のメイドだけ。
アヴリルがいるところでは、聞けない。
なら、チャンスは今しかないのではないか。
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