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しおりを挟む序章
五体が崩れる。
闇の海に血肉が混ざり、更に深く沈んでゆく。
無力で弱虫な私は、このまま誰とも出逢えずに消えゆく側なのだと、そう思っていた。
そんな誰もが疎む我が身を掬い上げてくれたのは、強く輝く美しい存在。
おぞましい肉塊だった我が心身をヒトにしてくれた、誰よりも強く気高く勇敢な男。
貴方が身の危険も顧みず、自身の全てを分け与えてくれたから、私はヒトになれたのだ。
ヒトでなくなっていく途中で無償の愛を知ったから、私は救われた。
だから愛する事に恐れも怯えも何も無い。
この命が続く限り、貴方を求めて闇の中を走る事に躊躇いも無い。
報われなくとも善い。この生に何の意味も遺せなくとも善い。
貴方を喪う事こそが、何よりも怖いのだから。
第一章 ハズレの神凪
夜の帝都に軍靴の音が響き渡る。
漆色の闇に染まった建造物の間には臥子灯の仄青い光が散らばっていた。
その何処か切ない輝きを目にしたユウヒは一人、流れゆく景色から視線を戻し、走り続ける。
後方からは生温かい吐息と胸が悪くなるような血臭が迫ってくる。
僅かに振り返ってみた。
視界の端では、魚の胴に百足の如き無数の脚を生やした異形が口を開け、ユウヒを丸呑みにしようと速度を上げてくるのが確認できる。
ぬめりを帯びた胴体が臥子灯の光を照り返した際、異形の脚に無数の円形の模様があるのも見えた。
それらは全て異形に喰われた人間達の顔だった。
犠牲者の顔は虚ろな目で唇を動かし、死者の声で何かを訴えている。
『タベタイ』『タベタイ』『オマエノ、アタマヲタベタイ』
死人の口から異形の願望が語られている。
そのおぞましさにユウヒは思わず総毛立った。
(怖い……!)
異形の名は【ウミナオシケ】と言う。
ウミナオシケは人間の脳を捕食する事で姿と記憶を盗み取り、知性を得る。
人の頭部を食えば食う程に知能が増し、進化してゆくのだ。
その人喰いの異形を相手に、ユウヒは何時間も走り続けていた。
頭がおかしくなりそうだった。
ユウヒの蒼い瞳からは涙が溢れ、歯の根は合わず、皮膚からは脂汗が吹き出してくるのに、体は魂の芯まで凍えそうな程に寒い。脳髄の中が『死にたくない』という、本能的で単純な思考で満たされる。死にたくないのに、生きている限り、この恐怖がいつ終わるか分からない事もユウヒは理解していた。
今日を生き延びたとしても、明日も心を削る感覚は続く。寝て起きて、朝が来る度に心は廃油の中で目覚めたように淀む。いっそ、逃げるのを止めて喰われた方がラクなのかもしれない。
そう何度も思った。だが、その度にユウヒを生へ引き留めるものがあった。
(カムイさん……)
瞬きをするだけで目蓋の裏に鮮明に思い浮かぶ、魂の恩人の背中。長い髪を翻し、常に先陣を切って味方を守って敵を屠り続けた精悍な男は、死の間際までユウヒを案じていた。
『ユウヒ、お前だけは……生きろ』
そう告げてユウヒを守り、無残な死を遂げたカムイを思う度、明日を放棄する事は許されない罪なのだと思い知る。
そんなユウヒは前方の石橋の上で、とあるものを見つけた。
石橋に撒き散らされた臓物と、泣き叫ぶ人間の女、その目の前では幼子を捕らえたウミナオシケが確認できたのだ。幼子は泣き叫んでいる。
「おねえちゃーん! こわいよー! おとうちゃんが、ばらばらになっちゃったよー!」
「美代子! 止めて! 妹まで食べないで!」
その光景にユウヒは恐怖の中に残る、一握りの理性を稼働させて思考する。
周辺の原型が残っていない遺骸は、恐らくは彼女らの父親で、残された姉妹は今まさに、ウミナオシケの更なる犠牲者となろうとしているのだろう。
幼子を捕まえた異形は巨大な巻貝のような外貌をしていたが、中身が出入りするであろう場所からは人間の腕が生えて子供を掴んでいる。
貝殻の部分には人の顔が四つ浮かんでいた。そこでユウヒは瞬時に異形の状態を把握する。
(十人以上の人間様を食った個体……ロ型か!)
それから後方の様子を伺うと、魚の異形はまだ追いかけてきている事が確認できた。
視線を前方に戻し、眉を寄せて唇を噛む。
(後方から私を追っている個体は……捕食三桁以上のハ型……、前方には捕食数が一桁代の雑魚のイ型が一体……これならば、往ける!)
煉瓦造りの道を滑るようにして姉妹の元に向かう。
二人はユウヒの衣服を見て表情を一変させた。
「そ、その軍服……! 神凪の兵士様ですね! 良かった! 妹を助けてください!」
「たすけて! かんなぎのおにいちゃん、バケモノやっつけて!」
助けを求める二人にユウヒは頷いて見せる。そして呼びかけた。
「承知しました! 人間様! 直ぐにお助けいたします! どうか怖がらず、お心を強くもってください! そして此処は危ないので、直ぐに端に避難してください!」
呼びかけると少女らは幾らか安堵したようだった。
だがユウヒは走る速度を緩める所か、脚に更に力を込めて駆け込む。少女らは突進してくるユウヒに驚きの表情を浮かべていたが、構わずにそのまま大地を蹴り上げる。
そしてユウヒは姉らしき少女に「失礼!」と声をかけてから、彼女を橋の隅へと突き飛ばした。
「きゃあ!」
倒れ込む少女は橋にぶつかる前に、ユウヒが放り投げた上着に包まれ、転倒を免れる。だがユウヒは少女を放置したまま幼子と化物の真横を素通りし、背を向けて走り去ったのだ。
振り返ると、遠ざかる姉妹の姿が見える。敵前逃亡して見せたユウヒに唖然としている姉と泣き出す妹。
「え? か、神凪様? どうして……? 妹は……?」
「たすけてよぉおおお! ばかぁあああ!」
戸惑いの声と、非難の声。その視線と声に胸の痛みを覚えつつも、涙で視界が曇らぬよう、ユウヒは震える唇を更に強く噛む。痛みに呼応するように、過去の恐怖体験が脳内を駆け巡る。
異形の化物達が大口を開け、犠牲者の血肉で染めた歯を剥き出しにして迫る圧迫感。
奴等の生温かく、血臭まじりの吐息が間近を漂う焦燥感。
そして死してなお、苦痛の表情でウミナオシケの表皮に見世物のように浮かび上がる、犠牲者達の苦悶と絶望の顔。
『タスケテ』『クルシイ』『イタイ』『カナシイ』
声なき犠牲者の声が頭の中から聞こえる錯覚にかられ、それらはより鮮明さを増す。
『逃げるな』『臆病者』『役立たず』『同族殺し』『お前が死ねば良かったんだ』
「……ッ!」
自身の恐怖を煽る最中、ぶつりと切れた唇から血が滲む。その鉄の味が口内に広がる前に、鮮血を吐き散らしながらウミナオシケ達に向けて、震えて裏返る声で叫んだ。
「そうだ! 私は、臆病者だ! この帝都の誰よりも、お前らが怖い! 怖くて怖くて怖くて怖くて……今にも気絶しそうなくらい怖い! だから……」
オレだけを追いかけて来い! と心の中で叫ぶ。
そのユウヒの咆哮の後、化け貝は捕らえていた幼子を放り出した。妹を受け止めた姉が慌てて逃げると同時に、化け貝は突如ユウヒに向けて猛烈な勢いで這い進み出す。
更にユウヒを追いかけてきていた魚の異形が石橋を怒涛の勢いで侵入し、こちらも姉妹には目もくれずにユウヒだけを狂ったように追跡してくる。
それを見て、ユウヒは涙目で怯えながらも笑う。
(よし! 上手くいった! やはりウミナオシケは恐怖が強い者を認知する!)
その様を確認してから、ユウヒは再び人喰いの化物・ウミナオシケ達を連れたまま、全速力を維持したまま街中を巡る。
月明かりと臥子灯の光源だけを頼りに帝都を縦横無尽に駆け回った。路地裏を走り抜け、民家の壁を猿のように這い上り、屋根を飛び越える。人間の悲鳴が聞こえれば直ぐに向かい、そうしてウミナオシケに襲われる人間達の元に到着しては、戦わずに素通りしていった。
それを繰り返すと、やがて後方には異形達が百鬼夜行の如く連なっていった。
どの化物もユウヒだけを視界に映している。誰よりも濃厚な恐怖心を撒き散らす獲物を八つ裂きにし、苦痛を与えて更なる恐怖を孕ませてから捕食しようと考えているのか、涎を垂らしながらも歪な手足を蠢かせ、虫の大群のように不快な足音を響かせて迫る。
そんなおぞましいものを引き連れて走れば走る程、被害を免れた人間達から失望と怒りの罵声が背中に飛んで来る。
「何しにきたんだよ!」
「逃げるな臆病者!」
「お前ら神凪は、ウミナオシケを殺す為の存在だろ!」
「お前なんか、神凪じゃない!」
「このハズレの神凪!」
人間達の怒りが背中に投げつけられる。
神凪とは、この綿津見ノ國の人間をウミナオシケという人喰いの怪物から守る目的で製造された、科学と呪術と錬金術の結晶『人造ヒトガタ兵器』である。
生まれながらに成体で高度な知能をもち、人間よりも優れた五感と筋力を誇り、その戦闘能力と特殊な力でウミナオシケを殺戮する為の存在。
この國の最高執政部門『機関』から、そう教えられる。
その神凪のユウヒは人間を助けずに、ウミナオシケから逃げ回っているのだ。
人間達が求めているのは、醜い人喰いの化物を華々しく成敗する『英雄』である事も知っている。
(人間様から憎まれるのも失望されるのも、もう慣れた)
ユウヒにとって向けられる負の感情は、疲れるだけで『恐ろしく』はない。
(私にとって、本当に恐いのは……)
時に跳躍し、屋根の上を駆け、時に壁を這うようにして跳び回る。
常に歩き回って記憶し続ける街並み。何処に何があるかも熟知している。
壁や屋根の強度も軋みも体で覚えている。
その日の温度や湿度が、どれだけ軍靴に影響を与えるかも分かっている。
この体に巡る、戦血が尽きるまで、何処まででも走れる。消える事の無い恐怖と罪悪感と共に。
そうして市街地の開けた場所に着地したユウヒの耳に、吹きすさぶ夜風の音すら凌ぐ大号令が聞こえた。
「射撃用意!」
その声にユウヒは力を振り絞り、広場の最奥の建造物の壁へと向かう。屋根の上から垂らされた縄梯子を掴んで壁を這い上がる。
しかし追いかけてくるウミナオシケの腕や大きな口がユウヒの足に迫っていた。
縄梯子をウミナオシケに引っ張られて揺らされた瞬間、体勢が崩れる。
「う、うわぁ!」
その隙を見逃さぬように、魚のウミナオシケが石臼のような歯をガチガチと鳴らして、ユウヒの軍靴に噛みついた。
「うあッ!」
噛まれる寸前、咄嗟に軍靴を脱ぎ捨て事無きを得た。それでも化物どもは執拗にユウヒの五体を食い千切ろうと口を開けて迫る。爪先をかする前歯の音を聞きながら、ユウヒは必死に縄梯子を這い上がろうともがく。
(早く……早く! 屋根の上に! 合流地点に! あと少し……!)
その時、頭上から伸びた手がユウヒの腕を掴み、凄まじい力で引き上げた。
重力すら置き去りにするような浮遊感と共に、ユウヒの視界が回る。
「わ!」
驚愕で声を漏らす間に体は勢いよく宙を舞う。回転する視界の中では星が瞬く夜空、屋根の上で銃を構えて隊列を組む神凪達、そして眼下の広場を埋め尽くす異形が交互に切り替わる。
美しい帝都の夜景と、人形のように整った生物、そしておぞましく醜い生物の繰り返しに一瞬、現実感が薄れてしまう。そうしていると、低く重い声に名前を呼ばれた。
「ユウヒ! 受け身を取れ!」
その声で我に返ったユウヒは咄嗟に受け身をとって屋根に着地した。
刹那の無我から現実に引き戻されたユウヒは、着地した裸足から感じる痛覚と、胸を内から食い破らんばかりに暴れる鼓動に生還できた感触を掴む。そうして膝をついたままのユウヒの眼前には、救いの手を差し伸べ、声をかけてくれた人物の姿が月明かりによって照らし出されていた。
「シンレイ殿……」
呼びかけると、月の光すら従えるような赤く鋭い瞳の男と視線が交じる。
彼は袖時雨シンレイという名の神凪だった。
二メートル近い長身に、白銀の長髪の美丈夫は眼下のウミナオシケの喧噪すら気にも留めず、ユウヒだけを視界に入れていた。ユウヒは彼の行動のお陰で無事に目的地に到着できた為、直ぐに立ち上がると雪色の髪の青年に近づき、声をかけた。
「シンレイ殿! あの、ありがとうございます! 助かりました!」
「……」
シンレイは赤い瞳をした人形の如く無表情のまま立ち尽くしており、眼差しからも表情からも感情が読み取れない。
そんなシンレイ相手にユウヒが言葉を選んでいると、後方から別の青年が近づいてきた。
「あ! ヤツデ先輩!」
ヤツデと呼ばれた青年は、桜色に染めた長髪を華やかな髪飾りで結い、襟元には女性的なスカーフを身につけ、鼻先から口元までを漆黒のマスクで覆っているという、神凪の中でも一風変わった装いをしていた。
そしてヤツデは男性型しか存在しない神凪でも特に中性的な美貌を誇っている。
ユウヒが呼びかけると、傍までやってきたヤツデは瞳を細めて笑顔を見せた。
口元は見えずとも目元だけで表情を伝えられるあたり、彼はシンレイより遥かに社交性がある。
ヒールのように鋭く高い踵の軍靴を鳴らし、ヤツデはユウヒとシンレイの前まで歩み寄ると、マスクを指で押し下げ、素顔を晒して満面の笑みを見せた。
マスクを外した素顔は、大きな口と尖った歯が見える事で装着時とは印象が変わる。
「ユウヒ。今日も任務、御苦労。帝都を駆け巡るキミの勇姿は、ココからもハッキリと見えていた。ヤツデもセンパイとして鼻が高い」
ヤツデは自身を『私』や『僕』ではなく、名前で話すという変わった一人称をしていた。そんな彼がマスクを人前で外すのは、好意を持っている相手の前か戦闘中のみだとヤツデ本人から聞いた事があった。それを思い出すと光栄であったが、ユウヒはヤツデの視線から目を逸らす。
「い、いえ、神凪でありながら脆弱で役立たずの私が出来るのは、このような事しかありませんから……」
自嘲気味に笑うと、真横のシンレイが何故かヤツデを睨んでいた。まるで飼い犬が主人の敵に威嚇でもするようなその素振りに、ユウヒは慌ててシンレイの髪を引く。
「シ、シンレイ殿! どうして威嚇するのですか! ヤツデ先輩は何も悪く無いどころか、労ってくれてたんですよ!」
ユウヒとシンレイにとってヤツデは先輩であり、上官でもある。明らかに態度が悪いシンレイを前に、ヤツデは美しい顔でありながら豪快に笑う。
ヤツデは大きな口から尖った歯を覗かせて笑った後、ユウヒの肩を叩いて告げた。
「ヤツデは別に構わない。シンレイは旧型のヤツデよりも殺戮能力に長けている。神凪の価値とは、この綿津見ノ國の人間にとって有益かどうかだ。あそこで神凪を指揮している隊長殿のように、人の為に生きねば、我等は存在を許されない」
ヤツデが顎で示した先では、刀を持った赤毛の青年が、ユウヒが広場に集めたウミナオシケを観察していた。この人造人間だらけの部隊を纏めているのは彼……隊長の大神ソウイチロウだ。
ソウイチロウは眉を寄せて歯を噛み締めると、阿修羅のような形相でウミナオシケを睨み続けていた。歴戦の神凪すら震え上がらせるその表情に、ヤツデは呑気に声をかけていた。
「ソウイチロウ、そろそろ頃合いではないかね? ウミナオシケは階下に充分、群がっている。掃討の時間だ」
ヤツデに言葉にソウイチロウは頷き、その悪鬼の如き表情とは裏腹に、凛とした声で答えた。
だが、その声は彼の口からではなく、ユウヒの頭の中に届く。
【ああ。ユウヒがよくやってくれた! 後は遠距離での掃討の後に、一軍による殲滅戦だ。ヤツデ、シンレイ、殲滅はお前達、一軍の兵士が頼みだ。準備をしておいてくれ!】
ヤツデとシンレイが頷いているのが見えた。これはソウイチロウの持つ特殊能力だった。
神凪限定だが、距離や人数を問わず、テレパシーのように話せるという。
神凪の中には特別な能力を持って生まれてくる者が居るが、ソウイチロウはこの隊長職に最も必要である『混乱する戦場で末端の兵士にまで的確に指示を飛ばせる』『随時、味方から正確な情報が集まる』という能力を生かし、歴代の神凪の隊長の中でも最も長く生存していたのだ。
ふと、ユウヒは昔の神凪を思い出す。
(今までの隊長は、実戦向けの能力だった……)
だから、これまでの隊長職は最前線に出ては何機もウミナオシケに殺されていた。
先代の隊長が殺された折、副隊長だったヤツデが当時は一般兵だったソウイチロウを隊長に推薦したのだ。この国と神凪を統べる最高執政組織である『機関』はヤツデの意見を受け、補助向きの能力しか持たない神凪を初めて隊長に据えた。
そう思い返していたユウヒの耳に、ソウイチロウの凜とした声が響く。
「撃てー!」
ソウイチロウの号令が轟くや否や、ユウヒとシンレイの周囲で狙撃体勢をとっていた兵士達が一斉にウミナオシケに攻撃を開始した。
構えた銃口から放たれる弾丸。雷撃の如き無数の銃声が鼓膜をつんざき、弾丸が異形達を貪欲に食い千切っていく。鉛弾の雨に撃ち抜かれた化け物達は、その身を不格好で奇妙な踊りのようにくねらせて悶絶しながら、人語を模した断末魔を上げ、肉塊へと変わる。
おぞましい異形の姿でありながら、人間の真似をし続ける化物達は死に様までも何故か酷く哀れで惨めに見えた。
豪雨の如き銃撃が終わった後、ソウイチロウは撃ち終えた兵士達と、後方で装填を終えた銃を持って待機していた兵士に向けて指示を下す。
「第一陣、後退せよ! 第二陣はウミナオシケの本体の顔を狙え! ウミナオシケは本体の顔を潰さぬ限りは死なん! 喰った人間の顔ではなく、本体の顔だ! 射撃用意!」
最前の部隊が一糸乱れぬ動きで下がり、控えていた第二部隊が素早く交替する。そしてまた隊長の号令通りに狙撃を始めていた。
銃撃を受けながらも起き上がっている生き残りのウミナオシケの顔を弾丸が撃ち抜き、更に死骸が詰み上がってゆく。ウミナオシケが死ぬ度に、誰からともなく歓喜の声を漏らしだしていた。
笑いながらウミナオシケを殺す神凪が増えてゆく。それは見慣れた光景の一つだった。
神凪は敵と認識した相手を前にすると性的興奮を催す性質が人間から付与されている。敵を殺すまでその熱は収まらない。
銃声と嬌声が入り混じる現場は、この世の地獄のように見えた。だが、人間を多く喰ったウミナオシケは体表に浮かぶ顔が多く、どれがウミナオシケの顔か兵士達には分からないらしい。
ウミナオシケは自身の顔を潰さねば、何度でも再生する。だから、奴等は己の身を守る擬態として、食べた人間の顔を体に浮かべて盾とするのだ。
喰われた人間の顔は苦悶に歪んでおり、生前の面影が消されている。それは死後も化物達によって辱められているように見えた。その姿にユウヒは唇を強く噛み、拳を握り締める。
(殺した人間様を死んだ後も晒し者にし、銃撃の盾にするなどウミナオシケめ! 許せない……! 私に戦う力があったなら……!)
皆殺しにしてやるのに、と考えた瞬間、ユウヒは体の芯を焼く熱を感じた。
「っ……!」
その熱い衝動に両脚から力が抜ける。糸が切れた人形のように崩れかけた体は直ぐにシンレイの腕に支えられた。触れた体からは服越しに体温を感じ、ユウヒは顔を上げる。
「シンレイ殿……?」
熱で歪む視界をシンレイに向けると、彼は相変わらずの静謐な表情のまま、此方を観ていた。彼の瞳には顔を紅潮させた哀れな神凪が映っており、ユウヒは己の浅ましい姿を恥じて目を逸らす。
シンレイの眼差しからも逃れたくて体を離しかけたが、シンレイは腰を引き寄せてくる。触れられるだけで脳髄が痺れる感覚にユウヒが腰を砕けさせるが、目の前の男は表情を変えぬまま耳元で低く囁いた。
「ユウヒ、敵意を持つな」
シンレイの言葉に我に返る。非戦闘員の自分は敵を認識しても皆のように上手く殺せないから、なかなか欲望が収まらない。
ユウヒは我に返り、更に顔を赤くする。しかしシンレイは「お前だけじゃない」と付け足した。
そう言われてユウヒは周囲の神凪を見回す。
シンレイ以外の神凪は全て、銃撃で敵を殺した瞬間に恍惚とした表情を浮かべて絶頂していた。
まだ敵を殺せていない者は呼吸を荒げながら獲物に銃口を向け、殺しで得られる悦びを期待しては目を爛々とさせている。
それは隊長職のソウイチロウやヤツデとて例外ではなかった。ヤツデは熱に溺れた瞳のまま妖艶に笑い、マスクを外した口から長い舌を出して自身の唇を舐めては吐息を漏らしている。
ソウイチロウは指揮官である為、快楽に耽るわけにもいかない責任感からか、鋼の意思で犬歯を噛み締めては眉を寄せ、腕を組みながら威圧感のある表情でウミナオシケを見下ろして必死に性衝動に抗っていた。
一兵卒よりも心身の性能が優れた将校クラスですら本能に抗えない。
その無残で痛ましい同胞の姿にユウヒは敵愾心を失い、心を沈ませる。
(普段は凛々しく優しいソウイチロウ先輩も、飄々としているヤツデ先輩も、誰もこの獣じみた衝動には勝てない……)
人間を守る使命感よりも、殺しの快感を目当てに戦う神凪も居るくらいだった。
どれだけウミナオシケとの戦いが熾烈になろうとも、神凪が死を恐れて逃亡せぬよう、戦いと殺傷行為を忌避せぬようにと人間達から植え付けられた本能だった。そう考えたユウヒは顔を曇らせる。
(じゃあ、もしも、この国からウミナオシケを殲滅したら、私達は……神凪は……)
暗い未来を予想するユウヒの前で、シンレイは屋根の端へと歩を進めてから、肩越しに振り返って告げた。
「ユウヒ、お前の不安も恐怖も全てオレが消す」
「えっ?」
問い返すと、シンレイが眼下のウミナオシケを指差した。
「アレは敵ですらない。ただの、処分品だ」
そう言い放ったシンレイはウミナオシケの群れ目がけて飛び降りてゆく。
隊長のソウイチロウの指示を待たずに勝手に行動したシンレイ。
しかもまだ銃撃は止まっていなかった。
「シンレイ殿! 危ない!」
ユウヒが呼びかけるが、シンレイは銃弾の雨が降り注ぐ中、ウミナオシケ達の前に着地する。
シンレイの勝手な行動に気づいたソウイチロウが急いで狙撃停止の命令を下していたが、彼が後れをとった分、狙撃音のお陰でシンレイの足音はウミナオシケに気づかれなかったようだ。
その証拠に、異形達は目の前に居るシンレイの姿を未だ判別出来ず、目玉をぎょろぎょろと蠢かして周囲を窺っている。
ウミナオシケは音に敏感で恐怖を嗅ぎつければ何処までも獲物を追いかけて来るが、視力は他の生物より劣っている。その為、恐怖心を完全に制御できるシンレイは認識出来ずにいるのだろう。
そのウミナオシケが攻撃体勢に入るより先にシンレイが両手で円を描くように振る。
刹那、彼の両手首の肌から白く輝く巨大な刃が生えた。
それは彼が自身の骨から作りだした刃物であり、彼の特殊能力を象徴するものの一つだった。
シンレイは力強く踏み込むと、振りかざした骨刀を眼前のウミナオシケの顔に叩きつけるようにして両断する。
血飛沫を浴びたまま、シンレイは表情を微塵も変えずにウミナオシケの死骸を踏み潰しては、的確にウミナオシケの本体の顔を破壊していた。
足音で位置を掴んだウミナオシケが背後から襲いかかるも、シンレイは自身の尾てい骨の辺りから鞭に似た骨の武器を瞬時に構築し、それを獣の尾のように動かして獲物の急所を貫き殺した。
両手の武器と、尻尾のような骨の鞭だけでなく、シンレイは肘や膝など全身の何処からでも骨の武器を生み出すことができ、蹴りや肘打ちですらウミナオシケに致命傷を与えられる。
その様にいつしか周りの神凪達は言葉を失っていた。
遠巻きに狙撃しては殺戮の高揚感に浸っていた自身とは別の生物。規格外の殺傷能力に特化した存在を前にして、彼等は自信を喪失しているようだった。
シンレイの鬼神の如き戦いを見守っていたユウヒは物陰に潜んでいるウミナオシケに気づき、慌てて呼びかける。
「シンレイ殿! 危ない! 背後に敵が!」
だが、その言葉の後にシャコ貝のような姿のウミナオシケはシンレイに飛びかかった。
そして二枚の貝殻に似た体でシンレイの頭部を飲みこもうとする。
脳以外の部位ならば何処を失っても神凪は再生出来るが、脳を破壊されれば即死してしまう。
ウミナオシケが凄まじい速度でシンレイの頭部に迫る瞬間、ユウヒは絶叫する。
「シンレイ殿!」
ウミナオシケは喰った相手の脳から記憶を奪い取るが、神凪の場合は記憶だけでなく、その特殊能力までもウミナオシケに盗まれる。
神凪の脳を捕食したウミナオシケは脅威を増す為、兵士達は喰われる前に頭部に埋めこまれた『釘』と呼ばれる爆弾で自身や仲間を殺すように命じられる程だった。
神凪最強のシンレイの能力が奪われれば、ウミナオシケへの脅威は更に増す。
だが、シンレイはユウヒの声に反応すると、素早く身を翻し、額から角のように生やした骨の武器で襲い来る化物の急所を的確に貫く。シンレイに串刺しにされたウミナオシケは血を吐いて痙攣していたが、シンレイは首を振って化物の骸を放り投げる。
ウミナオシケは強靭な戦闘力をもつシンレイの前に成す術も無く斬り伏せられ、貫かれては死んでいった。骸の山を作るシンレイの姿にヤツデが息を飲んでいる。
「ヤツデ先輩?」
呼びかけると、相手は薄紅色の髪をかき上げながら、シンレイの圧倒的な力に、改めて驚きを隠せないとでもいうように感嘆の吐息を漏らした。
「流石はシンレイ……。何度見ても、自身の肉体を自由自在に構築し、変形させる固有能力は攻守共に強力だ」
シンレイとヤツデを交互に見るユウヒに、ヤツデは頷く。
「ああ、本当に恐ろしい存在だよ。彼には生物の常識が存在していないようだ」
シンレイは骨に限らず、全身を望むままに形成する事が出来る特殊能力を持っていた。
彼がやろうと思えば、自身の血肉を最小化し、壁の隙間から通り抜けた後、また元の人型に瞬時に再構築という事まで即座に出来る。
(あまりに規格外……。これが神凪最強のシンレイ殿の戦闘能力……。そして私の……)
「化物……」
振り返ると、兵士達は青ざめた顔でシンレイに怯えた眼差しを向けている。
「あいつ、何だよ……。いくら俺達が人造人間っつっても、おかしいよ」
「なのに、そんなバケモノと同じ場所で製造されたヤツは最弱の神凪か……」
視線を感じたユウヒは目を伏せた。
神凪は『産女の間』と呼ばれる施設で一機ずつ生み出される。例外として二機同時に生成される、いわゆる人間で言う双子のような事例もある。しかし、その場合は、二機ともに性能が見劣りする個体になりがちだった。
だがユウヒとシンレイはさらに例外だった。
同じ産女の間で同日同時刻に生成されたにも関わらず、片方は飛び抜けた身体と固有能力を持ち、恐怖心を制御できる神凪最強の個体。もう片方のユウヒは俊足しか取り得の無い、怖がりで最弱の個体だった。
それを考え、ユウヒは顔を曇らせる。
(同じ場所で同じ日に生まれたのに、どうして貴方は最強で、私は……)
逃げ足だけの最弱の神凪で、無様に泣き叫びながら敵を誘き寄せる囮役などではなく、守りたい存在の為に前線に立てる、英雄のような存在になりたかった。
(もし、私に貴方のような力があれば……。あのひとを……大切な人を守れたのに……)
そう考えていたユウヒは、視界の端でシンレイが手を振っている事に気づいた。
既にウミナオシケを全滅させたらしく、武器化した骨等も元通りになっていた。
その容貌は血まみれでも美しく、先程まで凄烈に戦っていたとは思えない。
彼の、薄闇でも判別がつく程に赤く煌めく瞳はユウヒだけしか見ていない。
どうして自分に手を振ってくるのかと思っていると、不意に背後からヤツデがユウヒの両腕を掴んで、シンレイに大きく振り返し始める。
「ちょ、ヤツデ先輩! 何するんですか!」
だがヤツデとは身長差がある為、まるで人間が愛猫の両手を掴んで動かしているような姿になっていた。
「や、やめてください! ヤツデ先輩! 恥ずかしいです!」
気恥ずかしさを訴えて離れようとするも、ヤツデは此方の両腕を掴んだまま、ダンスに不慣れなパートナーを導くように動かしてくる。彼は笑いながら続けた。
「シンレイは人間達が、好意を持つ相手に使うという、手を振る行動を真似ているのだろうよ」
神凪の中には、人間の行動の意味を知らずに真似する者が居るのだが、中でもシンレイは人間が行う『好意表現』と呼ばれるものを知る度にユウヒに試してくる。
握手はまだ良いとしても「人間どもがやっていた」と、急に抱擁したり、移動中に手を繋いできたり、とにかく自分で試すのは怖いので止めてほしい。
そう考えていると、ヤツデに腰を抱き寄せられた。
先程まで猫と遊ぶ子供のようだったヤツデは、今は年長者の余裕に満ちた眼差しでユウヒを見つめながら、諭すような、それでいて茶化すような軽口を向けてきた。
「彼とキミは今回の功労者だ。英雄殿に神凪一の美人のヤツデがお相手してあげているのだから咽び泣いて喜ぶといい」
「そ、そんな、私は……」
「胸を張って誇りたまえ」
否定しかける言葉を遮るように言われた。そしてヤツデは社交的な笑みを止め、此方を真っ直ぐに見つめて話す。
「周囲の誰から何を言われようと、囮役はキミ自身が選んだ道だ。最も死亡率が高い、危険な任務を誰に強いられるわけでもなく、キミは志願した。確かに、シンレイの代わりは居ないが、キミの代わりも居ない。己の特性を生かして懸命に生きる者の仕事に貴賤など無い。それに、どちらもこのヤツデにとって、誇らしい後輩であり、弟なのだよ」
そう口にしてニッコリ笑うヤツデ。
「ヤツデの言う通りだ!」
その背後から隊長のソウイチロウが顔を出した。
「ソウイチロウ隊長……?」
ソウイチロウは白い歯を見せて笑い、その大きくて温かい手で頭をわしわしと撫でてくれた。犬か猫のように温かな体温が伝わってくる。
「ユウヒが命賭けで帝都中に散らばるウミナオシケを掻き集めてくれるからこそ、我々はウミナオシケ相手に戦力を分断せずに挑めるし、神凪の生命活動に必要な戦血の消費も最小限で済んでいる。お前が囮役を担ってくれているからこそ、神凪の戦死率も目に見えて下がっているんだ」
ソウイチロウはそう口にした後、目を細めて申し訳なさそうに眉を寄せた。
「……すまないな。本来ならば型落ちしている旧型の自分が前線に立つべきなのに、後輩であるお前やシンレイを最前線に立たせている」
ソウイチロウは最古参の神凪であったが、前衛向きではない。仲間を死地に送り出しながらも、自分は後方で待機せねばならない事を常に気に病んでいるようだった。
だが、指揮官が常に入れ替わり続けて方針変更が多かった頃と比べると部隊の安定感は段違いだとユウヒは感じていた。
ソウイチロウは年若い後輩達の為に歯を食いしばり、責任を負っている。一方でユウヒが役目を負っているのは彼のような崇高な志からでは無かった。二人の前でユウヒは首を振る。
「……私が囮として動くのは、役立たずの私の所為で有能な神凪であったカムイさんを喪う事になったからです。生き残るべきは私ではなく、あのひとでした」
ソウイチロウとヤツデは彼らと同期である『カムイ』の名に、はっとしていた。
シンレイが製造されるより以前に造られ、最強の地位にあり続け、誰よりもウミナオシケを殺したと言われる戦士カムイ。
その貴重な存在と引き換えに生き残った自分に出来る、せめてもの償いは、死と隣り合わせで、名誉も賞賛も与えられない囮役であるべきなのだと思っていた。
(そうだ、カムイさんが生き残るべきだったんだ。どうしてカムイさんは、私のような出来損ないを……)
そう考えていると低音の声が思考を断った。
「違う。カムイが死んだのは、弱かったからだ」
驚いて振り返ると、戻ってきていたシンレイが此方を射抜くように見据えている。
シンレイは長い髪から滴る返り血にも構わずに足早に近づいてくると、ユウヒの目の前で立ち止まる。彼は酷い鉄の臭いを纏っていた。
ウミナオシケの血なのか、シンレイの戦血なのかは分からない。混ざり合った濃厚な血臭が鼻腔に届き、その生の感覚がユウヒを悔悟の沼から無理矢理に引きずり出すようだった。
そうしているとシンレイは更に繰り返した。
「カムイは弱いから死んだ。あいつも、後悔などしていないだろう」
「なっ……!」
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