最推しの義兄を愛でるため、長生きします!

朝陽天満

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5巻

5-1

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   プロローグ

光凛夢幻こうりんむげん∞デスティニー』――そんな名前の乙女ゲームの最推しの義弟に転生した俺。
 最推しである兄様――オルシス様と攻略対象者のブルーノ君の力を借りて、なんとか死亡フラグを回避した俺は、二人で力を合わせて……ではなく。
 全ての攻略対象者……隠しキャラであるヴォルフラム殿下をも巻き込んで、俺達は滅亡ギリギリ手前の国を助けた。
 ミラ嬢が主人公だったはずなのに物語はなぜか俺を中心にことが運び、最後の見せ場では兄様と俺が手に手を取って、宝玉に魔力を満たした。

『アルバ、僕と結婚して、ずっと一緒にうちで暮らそう。兄弟のままではダメ。アルバがそのうち誰かのものになってしまうなら、僕と、ちゃんと結婚しよう』

 周りに皆がいるはずなのに、そこは二人だけの世界で。
 俺の手を取った兄様は、とても優しい笑顔で、俺にプロポーズした。
 もう最高のエンディング。
 大団円。
 そして俺と兄様は幸せに暮らしました……となれば良かったんだけれど。
 そこからも世界は続いていて、国は存続していて。
 兄様と俺が、じゃなくて兄様とツヴァイト第二王子殿下が手に手を取って国を救ったと思ってしまったアイン殿下が、この宝玉をいたずらにいじって国をまた傾けてしまうという大事件を起こしてしまった。
 アイン王太子殿下は、ツヴァイト殿下の活躍に自分の立ち位置を脅かされると思ったのか、王弟殿下よりも魔力の高い闇属性の使い手で、ヴォルフラム殿下のお兄さんであるエイダン殿下と共に、宝玉ので魔力回路を魔法でいじって、魔力循環をとどこおらせてしまったんだ。
 もう国の宝玉は復活したんだから、これで多少魔物を増やして自分で倒すことでなんとか名声を得られる、というなんともお粗末な動機だったんだけれど。
 それを知った陛下と王弟殿下はもうカンカン。
 自分で宝玉を元に戻せと二人に命じたところで、俺のとき魔法が発動。
 触れたら宝玉が割れてしまう! そして陛下に二人が首を切られる! 
 そんな情景をてしまって、俺は二人の行動を必死で止めた。
 意味がわからないという王太子殿下らとは違い、俺の周りにいた兄様達は、迷うことなく二人の行動を阻止。
 そして、ツヴァイト殿下の働きで宝玉は元に戻った。
 国王陛下はこのことに責任を感じて、アイン殿下とエイダン殿下二人を一生外に出られないという塔に幽閉。
 ツヴァイト殿下はすでに継承権を手放していたので、王位はヴォルフラム殿下に移行することになった。
 しかしヴォルフラム殿下は闇属性持ち。国王陛下が彼に王位を継がせるのに悩んだ結果、光属性を持つミラ嬢が「私が子供を産めばいいでしょ」と啖呵を切って、ヴォルフラム殿下と婚約してしまった。
 お二人の卒業と共に王位を継承し、今度こそめでたしめでたし。
 アイン殿下の手下達は、うちの義父とセドリック君のお父さんの手によって閑職に回されたり退職させられたりして、王宮内も色々と一掃された。
 兄様は、改めて公爵家を起こしたツヴァイト閣下と共に、ヴォルフラム殿下改め、ヴォルフラム・サン・テスプリ陛下の側近となり、その能力を遺憾なく発揮し始めた。
 ミラ妃殿下は平民出などと侮られることなく、王妃としてヴォルフラム陛下の隣に立ってもまったく見劣りすることなく采配を振るっている。すごい。
 アドリアン君はそんなミラ妃殿下の専属護衛となり、こきつか……げふんごほん、ミラ妃殿下を守っている。
 ブルーノ君は改めてうちの研究所の所長として、薬学の第一人者となっている。
 皆、エンディング後の人生を謳歌している。

 ――それは俺も一緒で。
 皆がそれぞれの道を歩み始めた時、俺は中等学園の最上級生となっていた。
 一人馬車に揺られ、セドリック君やジュール君ともクラスが離れた俺は、自分のクラスに馴染めないまま学校生活を送っていた。そんな矢先――
 そのクラスで大事件が勃発してしまった。
 アイン殿下の手下だった人達の子供達が多かった俺のクラスで、俺はボッチ生活を余儀なくされていた。教室移動の時に移動場所を教えてもらえなかったり、誰一人声をかけてこなかったりとやられたことはとても些細なことだったんだけれど。
 あるとき、反サリエンテ家の派閥にいる生徒に、俺の大事なペンを壊された。
 流石さすがにもう耐えられないと感情を爆発させた俺は派閥の代表生徒に反撃した。そこであまりにも頭に血が上ってしまったせいか、とき魔法が暴走してしまったのだ。
 そこで見たのは、半分凍った幻想的な学園。
 ――これは兄様の氷だ。めちゃくちゃ綺麗だな……
 なんて呑気に考えていたのは俺だけだった。
 ではどういうことだったのかと言えば。俺が魔力を使い果たして倒れたあと、クラスメイト達は誰一人助けてくれることもしてくれなかった。そして、ちょうど兄様が教室に駆けつけて、現状に激怒して学園を氷で覆ってしまった。
 俺がたのはそれだったらしい。
 ううう、絶対絶対美しかったのに、学校を凍らせるところを見れなかったのが悔やまれる……
 まあそんなこんなで、大事件に発展した俺への虐め事件は、首謀者二人の退学と、クラス全員の停学で終わりを迎えた。
 でもね、それをきっかけにサリエンテ家に反抗しようって生徒はほとんどいなくなったから、俺にとっては終わり良ければ全て良し。
 そんな気持ちで中等学園卒業式を迎えた俺。
 とうとうあの『光凛夢幻∞デスティニー』のメイン舞台、王立高等学園に入学する時がやってきた。


   一、最推しからの入学お祝い

 兄様が卒業してヴォルフラム陛下の側近になって一年。
 俺もとうとうあの制服を身に着ける時が来た。
『光凛夢幻∞デスティニー』の表紙を飾ったあの制服を。
 兄様がこの制服を身に着けているのを見ては感涙にむせび、学園を背景に笑った時には心臓が止まりそうになったあの制服だ。
 デザインもとても洗練されていて、どんな人が身に着けてもかっこよさ二割り増しと思われる。
 けれど、その制服を身に着けた俺は、大きな姿見の前でうなだれていた。

「に、似合わない……」

 そう、兄様たちにはとても似合っていた制服は、俺にはとことん相性が悪かった。
 そこまで伸びなかった身長、および、歳をとるごとに母に似てくるこの童顔。
 どちらかというと女性用制服の方が普通にしっくり来るんじゃないかと思う程に、男性用制服が俺には似合わなかった。

「アルバ、おめでとう。今日からとうとう高等学園生だね。とてもよく似合うよ」

 義父に声を掛けられて、力なく笑う。お世辞ですねありがとうございます。
 ははは、はぁ~……と溜め息を吐くと、義父が少しだけ屈んでネクタイを直してくれた。

「どうしたんだい? 浮かない顔だね。オルシスとおそろいの制服を着ることができると大喜びすると思っていたんだが」
「それはとても嬉しいのですが……むしろ僕が着ることで残念感が漂うと言いますか……」
「残念感?」
「兄様があれほど素晴らしく着こなしていた制服が、僕が着ることによってその素晴らしさを損なってしまうと思うと……っ」

 あああ口惜しい、と嘆けば、義父がクスクスと笑いだした。
 そこ笑うところじゃない。
 口をとがらせていると、義父が俺の前に膝をついた。
 そして、兄様とそっくりの紫色の目で俺を見上げ、俺の手を取った。

「大丈夫。私の目から見ても、アルバはとても素敵だ。出来立ての制服など、似合う者などほぼいないんだ。けれど、ひと月それを着て学園に通ってごらん、似合わなかった生徒たちは、全員その制服がとてもしっくりくる顔立ちになるんだよ。アルバも、絶対ひと月後にはオルシス以上にその制服が似合う高等学園生になる」
「そうでしょうか……」

 義父の言葉は、まるで癒しの水のように、俺の胸にジワリと染み込んだ。
 兄様そっくりの優しい笑顔が、下降していた気分を浮上させてくれる。
 俺がホッと息を吐いて肩の力を抜いたのに気付いた義父はそっと立ち上がると、今度は俺の肩を片腕で包み込んだ。

「オルシスの制服姿を見てアルバが泣いたように、私も今、アルバの制服姿を見て、感動で泣きそうだよ」
「父様……」
「ここまで大きくなってくれてありがとう。これはきっと、この館にいる者すべてが思っている。皆、アルバが大きくなった姿を待ち望んでいた」

 微笑する義父の目には、言葉通りうっすらと涙が浮かんでいた。
 どんな時でも頼りになる義父の目に涙が浮かんだことで、胸がギュッと締め付けられる。
 俺は思わず、義父の背中に腕を回した。
 ここに来た時には、義父の膝の上を見つめるぐらいしかできなかったけれど、今はもう、視線は義父の胸。
 ここまで何不自由なく生きてこられたのは、この義父のお陰だ。
 僕はじんわりと熱くなる目元をそのままにギュッと腕に力を込めた。

「父様の子になれて、僕は幸せです」
「私も、アルバの父になれて幸せだよ」

 入学式の朝、俺は義父と熱い抱擁を交わしたのだった。

 義父の言うように、中等学園で同じ学年だった者たちが高等学園の制服を着ているというのは、俺から見ても違和感がすごかった。
 それは大人びていたセドリック君然り。
 ちなみに壇上で挨拶する新入生代表のセドリック君は、進級試験も難なく一位を取ったようだ。
 兄様もここで挨拶していたなあ、なんて思い出している間に、セドリック君は壇上から引っ込んでいた。
 そしてそっと俺の隣に座ると、トンと脇腹をつついてきた。

「僕の挨拶全く聞いてなかっただろ」
「ごめんなさい」

 小さな声で抗議されたので、同じように小さな声で返すと、セドリック君は俺がいる方の口だけをクッと持ち上げた。相変わらず顔芸が素晴らしいね。

「そこで謝るってことは全く聞いてなかったって認めるってことだよな」
「兄様のご挨拶を思い出していまして」
「あはい。ごちそうさま」

 俺の答えを聞いた瞬間、セドリック君は真顔になった。
 学園長のありがたい話を聞き流しながら終えた入学式。退場時保護者席を見ると、義父たちの中に、うるわしの兄様が座っている。それを見て、俺の足が止まった。
 え、待って。今日も兄様は仕事で忙しいから朝からお顔を見られなかったのに。
 なんでここに? 
 どうして? 
 ――兄様が入学式に来てくれた? マジで? 

「ほらアルバ、足が止まってる」

 後ろからセドリック君が突いてくるけれど、それどころじゃない。だって今日はまだ一度も見ていなかった兄様のご尊顔があるんだよ。
 兄様はしっかりと俺を見ていてくれて、立ち止まった俺にとても素晴らしい笑顔で「似合っているよ」と口を動かした。

「あとで思う存分間近で見ればいいから。アルバ、列が止まってるから早く進めって」

 セドリック君に肩をガシッと掴まれて、そのままぐいぐい進まされる。それでも俺の視線は兄様に釘付けだ。手を振る兄様に手を振り返しながら俺は講堂を後にした。

「兄様をもっと見ていたかった……」
「はいはい。家に帰ってゆっくりじっくり見ればいいだろ」
「だって兄様仕事が忙しいから……あの正式な側近の服を着ていたのに。とても似合っていてものすごくかっこよかったのに……」
「はいはいそうだね」

 そのままぐいぐいセドリック君に押されて、俺は(無事?)教室に戻ったのだった。
 教室での話も終わり、校舎入口に向かう。
 そうしてセドリック君と共に校舎から出ると、フッと身体が持ち上がり――目の前にうるわしのご尊顔が。

「アルバの制服姿、とても素敵だよ」
「兄様……!」

 外で待ち構えていた兄様に抱き上げられた俺は、兄様の肩越しにセドリック君とツヴァイト閣下に呆れたような目を向けられた。

「あれ、閣下も今日来てたんですか」

 兄様の腕の中からツヴァイト閣下に声を掛けると、閣下は声を出して笑い始めた。

「いやいや、俺さっきオルシスの隣に座ってたからな。気付いてないとは思ったけど。やっぱりアルバの目にはオルシスしか映ってなかったか」
「アルバは入学式の列をき止めるくらいオルシス様のしか目に入ってなかったですよ、兄上」
「しょっぱなからやらかしてるなあ、アルバは」

 笑いの収まりきらない閣下に言われて、俺は初めて今日のやらかしを自覚した。
 兄様に見惚れて、退場の列をき止める俺。後ろの人たちごめんなさい。俺が先頭でした。
 項垂うなだれつつ、ぽしょぽしょと呟く。

「……だって今日は兄様のお姿を一度も拝見できていなかったので……」

 他のことはどうでもよくなっちゃったんです。という心情は口から出さずにとどめたけれど、二人にはバレているようだった。
 そっくりな顔で二人が笑いをこらえている。
 そんな姿にしゅんと肩を落とすと、兄様の手がそっと俺の髪に触れた。

「今日はどうしてもアルバの雄姿を見たかったから、朝一で仕事を引き継いできたんだ。だから帰りは一緒に帰ろう」

 その言葉にぱっと顔を上げ、俺は慌てて首を縦に振った。

「嬉しいです! でも陛下は大丈夫なんですか? 側近が二人ともいなくなって」
「新人の側近が一人や二人いなくても、陛下はどうということはないから大丈夫。それと、ミラ妃殿下から入学おめでとうと伝えてほしいと頼まれたんだよ。今度王宮でお茶をしようって」
「ありがとうございます。ぜひ!」

 兄様は俺の返事に頷くと、そっと俺を下ろしてくれた。
 そして、少しだけ乱れた制服の裾を直すために少しかがむと、ちゅ、と俺の頬にキスをした。

「~~~~」

 いきなりの親愛のキスに、俺の頬に血が上る。
 兄様の! 可愛らしいちゅう、いただきました! 

「もう顔を洗わない」
「いくらでもキスするから、ちゃんと洗おうね」

 覗き込んでくる兄様の愛らしい表情に、俺はもう瀕死だった。
 こうして、俺の高校生活が幕を開けたのだった。

   ◇◆◇

 ツヴァイト閣下は、セネット公爵家でお祝いをするんだと意気揚々とセドリック君の馬車に乗り込んでいった。
 兄様も王宮に戻ることなく、俺たちの馬車に乗り込んでくる。
 ルーナは思わぬところで兄様に会えて嬉しかったのか、兄様の膝の上でご機嫌に揺れている。
 母には俺とルーナが同じ顔をしていると笑われてしまった。

「今日は私が花を飾るの! オルシス兄様の時は出来なかったから」

 帰宅すると、ルーナは気合いを入れて一日メイドと化した。俺はルーナの言葉に押されるように自室に戻る。それから皆にしっかりとお披露目するために、制服で晩餐に出ることにした。
 勿論学園に着ていった制服からは別のものに着替えさせられたけれども。お高い制服がいつの間にか何枚も作られていて、替えの豊富さを見せて貰ったときはひぇ……ってなった。
 閑話休題。
 晩御飯の時間になって下に降りると、晩餐用の大きなテーブルは、ルーナによってとても可愛らしいテーブルに様変わりしていた。ピンクや紫の花で可愛らしく飾られたブーケが目に楽しく、横に立つ兄様をとても美しく引き立たせている。
 出て来た料理も、料理長が腕によりを掛けて作った美味しい物ばかりだった。
 俺もいつもよりたくさん食べて大満足だった。

「美味しいご飯をありがとうございます」

 そう料理長に告げると、くしゃくしゃの笑みを浮かべ、彼は胸に手を当てて礼をした。
 さて、義父と母からはお祝いとしてとても素晴らしい装飾の道具箱を貰った。中を開けると魔術陣を描くための特殊な紙とインクがたくさん入っている。
 俺は目を瞬かせて、息を呑んだ。

「素敵なプレゼントをありがとうございます。これで心置きなく練習できます! 在学中に魔術陣国家資格を取れるかもしれません」

 そうすれば学園在学中でも宮廷魔術陣研究室所属になって、堂々と兄様と王宮に行ける。
 とき魔法で何かを見た時にこそこそとヴォルフラム陛下に報告に行くのではなく、魔術陣技師として堂々と。
 兄様がキリッと王宮で働く姿を見たすぎる。あの白い詰襟つめえり風の制服をまとってキリッと仕事をする兄様はきっとかっこよくて最高で最強に素敵すぎる。
 俺はどうしてもそれをこの目で見たくて、合法的に見るにはどうするか考えたんだ。
 最終案は、やっぱり宮廷魔術陣技師になって堂々と通うことだよなと、贈られた道具箱を抱き締めて気合いを入れた。
 義父と母はそんな俺の決意を見てちょっと顔を見合わせていたけれど、結局「頑張りなさい」と笑ってくれた。

 ルーナにも、スウェンにもたくさん祝って貰って、大満足で自室に帰ってきた俺は、早速椅子に腰かけると贈られた魔術陣用紙を取り出した。それから前に義父に貰った羽根ペンを手にする。
 大切なペンは壊れてしまってまだ使えない。だけど、魔術陣を描くのはやめたくない。
 いざ描こう、としたところで、部屋をノックする音が聞こえてきた。

「はい」

 返事をすると、部屋のドアが開いて兄様が入ってきた。
 既に着替えてラフな部屋着になっている。

「アルバ、改めて高等学園入学おめでとう」

 兄様は俺が立ち上がるのを待つでもなくまっすぐに俺の近くまで来ると、そう囁いて両手を開いた。
 条件反射でその腕に吸い込まれるように抱き着いてしまう。シャツという薄着姿は少し扇情的で、兄様の胸筋の感触をもろに頬に感じて、心臓が跳ねた。
 アワアワしながら離れようとすると、兄様が腕に力を込めた。

「あ、ありがとうございます……」

 頬が茹で上がっているのが自分でも分かったので、顔を上げられないままお礼を呟く。
 ふふ、という笑い声が、俺の髪をくすぐる。

「僕からのお祝い、受け取ってくれる?」
「お祝いなら、先ほど……」

 いただきましたけど、と言う前に、兄様が何やら俺の首にネックレスのような物を着けてくれた。
 少し兄様から離れて首元を見ると、綺麗な銀の鎖に、紫色の何やら薄い綺麗な宝石が付いている。
 魔力のようなものがそのネックレスから感じられて、俺は顔を上げた。
 これはもしや、とても高価な物じゃなかろうか。

「これ……」

 聞くと、兄様が少しだけ悪戯いたずらっぽく笑った。

「これはね、僕の魔力を込めたアクセサリー。加工して貰ったんだ」
「これって、竜の……っ」

 なんてことないように言う兄様に、俺は目を剥いた。
 兄様の顔を見て、自分の首元に下げられたアクセサリーを見て、冷や汗がダラダラと出てくる。
 これ、ホンモノの竜の鱗だ……
 見たことのあるこのシルエットは、攻略者と一緒に何度も竜種を倒すと発生するイベントで本当にまれに入手できるアイテムだった。
 竜というと、魔物の中でも上位に位置するとても強い魔物だ。俺なんか鼻息で飛ばされてしまいそうなほど大きくて恐ろしい。ゲームでも最後の方で幅を利かせていて、レベルが上がりきらないうちは倒すのにだいぶ苦労した。
 まあ、『アビスガーディアン』よりは弱かったし、立ち位置としては超難易度ステージにいる雑魚魔物だったけれど。
 普通に竜を倒すとドロップする竜の鱗自体は自分でアクセサリー加工が出来て、魔力を回復するアイテムになる優れもの。そっちは白い色の物になるし、相手にプレゼントすると好感度がちょっと上がる。
 けれど、今俺の首にかかっているこれは本当にイベントが起きないと貰えない物だ。
 最推し色の竜の鱗が欲しくて、何度も最推しと共に竜の居るダンジョンを周回した記憶が……
 プレゼントされた場合の鱗は、攻略対象者の魔力の色に染まるから相手のパーソナルカラーをしている。オルシス様の場合、その綺麗な瞳と同じ紫色……それを生で見られるなんて。

「……お金じゃ買えない激レアアイテム……」

 ぐぅ、と変な声が出た気がする。
 ということは、兄様は竜種を倒しに行ったわけで。

「竜種を倒す兄様の激カッコいい雄姿を見逃した……だと……?」

 何度も一緒に行ってようやく貰えるものだというのに。
 俺は兄様と一緒に竜種なんて倒したことないけど。
 俺の呟きは兄様の耳にも聞こえたらしく、クスクスと笑われた。
 そのセクシーな声で俺は我に返る。

「あ、やっぱり竜の鱗だって気づいちゃうんだ。流石さすがアルバだね。これはね、南の隣国からこの国に飛んできたハグレ竜のものなんだけど、丁度南がきな臭いと視察に行ったときに見つけたから狩ってきたんだ。その時にこの鱗を拾ってね、あまりにも綺麗だったからアルバにあげようと思って」

 確かに綺麗だけれども。その屈託のない笑顔でハグレ竜を倒したのですかそうですか。絶対カッコいい一択でしょ。兄様最高過ぎる。見ることは出来なかったけれど、想像に難くない。既にその雄姿が脳裏に浮かぶ気がする。
 叫ぶか丸まってしまいたいのを堪えて、俺は兄様を見上げた。

「……こんな素晴らしい物を僕が貰ってしまってもいいんですか?」
「むしろアルバに貰ってほしくて、どういうものに加工するべきかツヴァイト閣下に相談したんだ。そしたら魔力を溜めておく性質があるから、僕の魔力を込めておけばアルバの魔力が減った時に助けになるって教えて貰ってね」

 兄様、ありがとうございます。
 大事に大事に使います。
 嬉しさのあまりつっかえつっかえお礼を言って、俺は改めてその竜の鱗を両手で包み込んだ。
 嬉しすぎて昇天しそうだ。
 だって、これを貰えるっていうことは、好感度九十パーセント以上ってことだから。
 密かに魔石を交換して、義父も公認の婚約者兼義弟という立場ではあるけれど、こうして好感度が分かるアイテムを貰う体験は思った以上に嬉しくて。

「大事にします……!」

 目を潤ませて喜ぶ俺を、兄様はまるで女神のような笑顔で見守ってくれていた。

   ◇◆◇

 翌朝、兄様から貰った属性魔石と竜の鱗を同じ鎖に通して首からさげて、制服を身に着ける。
 やっぱり少しぶかぶかだけれど、中等学園に入学したときの制服を横に並べると、ちゃんと自分が大きくなっているのがわかって、ちょっと嬉しい。
 なにより、あのゲームでも最推しが――そして兄様が着ていたのと同じ制服を身に着けることができるというのはもうそれだけで夢が叶ったわけで。
 高等学園に向かう馬車の中で、俺はにっこにこで一人座席に座っていた。
 中等学園で俺に反発していた生徒たちは、高等学園に上がる前にしっかりと話し合いをしてした。ので、なんとか俺はぼっちになることなく高等学園に上がった。
 皆も改革中の王宮内部の大変さをきっとわかってくれたと思う。
 中等学園のときから変わりない御者さんが動かす馬車で学園に向かうと、馬車留めはまあまあ混雑していた。
 混まない時間ってどれくらいなんだろう。朝早くかギリギリってところかな。セドリック君は朝の挨拶とかが煩わしくてギリギリに来ているみたいだけれど。
 ようやく停まった馬車から降りると、俺は改めて目の前にそびえる高等学園の校舎を見上げた。
 俺は今日から、最推し……兄様の聖地巡りをしようと思う。
 学園生活は楽しみだけれど、一番の楽しみは、やっぱり兄様の面影おもかげを追うこと。
 もう本人は卒業しちゃったけれど、リコル先生が言うには、兄様は結構至る所に爪痕(?)を残しているらしいから、それを、全力で味わおうと思う。
 そう思うと、さらに学園生活が楽しみになるよね。
 自然と持ち上がる口元を必死で押さえながら、俺は校舎に足を踏み入れた。

 新一年生のクラスは全部で三クラスだった。
 元々俺達の学年はそこまで生徒数は多くなく、この国のほぼ全ての貴族の子女を集めても三クラスにしかならなかったらしい。人数にして五十人ちょっとくらい。地方のご令嬢なんかは進学しない人もいるらしいから、中等学園よりも人数が減るのは仕方がないんだって、義父が教えてくれた。
 進学しない人もいるんだね。知らなかった。
 セドリック君は同じクラスで、ジュール君は隣のクラスだった。
 実はどうやらセドリック君、中等学園と高等学園の理事長が同じ人なのをいいことに、中等学園のうちに俺を一人にするなと盛大に噛みついたらしい。
 中等学園最後にクラスメイトがやらかしてから、もうずっとことあるごとに直談判をしてくれてたんだって。
 そんなわけで無事今年はセドリック君と同じクラスになった。
 こんなこと思っていいのか分からないけど、やっぱり嬉しい。
 廊下側の一番後ろの席につく。教室にいる生徒はまだ俺一人だ。少し着くのが早すぎた。
 しばらくすると、先生が入ってくる。担任になったのは、どこかで見たことがある人だった。
 俺を見てよろしく頼むと淡々と話す先生の声で、ハッと思い出す。
 前に最推し聖地巡礼をした時に兄様の授業を受け持っていた魔法力学の先生だ。
 淡々と喋るのが特徴で、話を聞いているとまるでアルファ波が出ているのではと思うくらいに安らかな心になり、瞼が重力に負ける先生だ。
 これからの授業がちょっぴり不安になりつつ、俺は出来るだけ眠らないことを心に誓った。
 それから先生が書類を取りに行くといって教室から出て行った。
 教室の割り振られた椅子に座りながら、ついに兄様のいた高等学園に来たのだと改めて感激していると、教室の入り口からリコル先生が顔を出した。

「アルバ君おはようございます。ぼーっとしていたけれど、具合でも悪いんですか? もし何かあればすぐに養護室に来てくださいね」
「おはようございますリコル先生。大丈夫です。何やらとても感慨深くて一人感動してました」

 だって高等学園に通えるんだよ、と呟くと、それも聞こえてしまったらしく、リコル先生の目がスッと細められた。
 そっと頭にリコル先生の手が置かれたと思ったら、優しく撫でられた。

「私も、アルバ君がその制服を着て、この教室にいるのを見ると、とても感慨深いですよ」

 慈愛の目は、スチルのリコル先生エンディングの表情ととても似ていて。けれど今ここにいるリコル先生は、あのゲーム内よりもとても落ち着いた雰囲気に見えた。
 そっか。兄様たちはもう卒業して丸一年経ってるから、あのゲームよりも皆年上なんだ。
 なんだか校舎に入ったことで廊下を歩けば攻略対象者にばったり会ったりするイベントとかありそうな気分になっていたけれど、それはもう無理。
 嬉しいけど、ちょっと寂しいな、なんて思いながら視線を巡らせたら、セドリック君が教室に入ってくるところが目に入った。

「セドリック君おはようございます」
「おはようアルバ。あ、リコル先生もおはようございます。もしかしてアルバの調子悪かったりします?」
「いいえ、ちょうど通りがかりに見かけたから朝のご挨拶をしていました」

 リコル先生のにこやかな笑顔に、セドリック君が大げさに「よかったあ~」と胸をなで下ろしていた。

「ついこの間、アルバの『ラオネン病』が完治したって発表があったじゃないですか。最初快哉を叫んだんですけど、特効薬を使ったとしても、体調はすぐに本調子になるのかなって心配してたんですよ」

 で、どうなんだ? とセドリック君に顔を覗き込まれて、俺は苦笑した。
 そこまで心配してくれるのが、本当に嬉しい。持つべき者は友人だよね。こうやって学校で友達とわいわいすることがこんなに楽しいなんて、セドリック君とジュール君がいなかったらわからなかったもん。
 胸がじんわり温まる。
 そんな俺が答えるより先に、リコル先生が答えてくれた。

「まだ全然本調子じゃないですよ。アルバ君は今自力では魔力をほぼ回復できない状態です。少しずつは回復するのですが、全快にはほど遠い状態です」
「まじか。じゃあ一緒に魔法の授業を受けられると思ったけど、受けちゃいけないんですね」
「ええ。それに、まだアルバ君は魔法の基礎もやっていない状態ですから、しばらくは私とマンツーマンで中等学園初期の魔法から始めることになります。皆と一緒に出来るのは……いつになるかは、ちょっと」

 あー、とセドリック君の眉がへにょっと下がった。
 俺はごめんね、と言いつつ、それでもちょっと微笑んだ。
 そう。俺の中等学園卒業と同時にとうとうラオネン病が死病ではなくなったと、正式に王宮から発表されたんだ。
 ブルーノ君が手掛けた特効薬が王宮で認められ、治験者である俺が完治したことが国中の話題になったんだ。本当はもっともっと前に完治していたけれど、それはそれ。
 ようやく世に出せる状態になったからこそのGOサインだ。
 そしたらあらゆるところからラオネン病の家族がいますという連絡を貰って、今研究所はてんやわんや状態。とはいえ、問い合わせがあっても薬をはいっと渡せるわけじゃないから、まだまだこれからだけど。どんな基準で特効薬を渡す患者を選ぶのかとか、これから基準や制度を少しずつ整えていくらしい。
 国内ならまだ手が回るけれど、諸外国となるとさらに難しい。そこら辺は王宮の外交担当と相談するってブルーノ君が言っていた。
 なにせ特効薬になるレガーレは、時間が経つと効果が薄れてしまうのだ。
 収穫したレガーレに光魔法を使うことで出来上がる特効薬は、レガーレの収穫日からほんの数日しか効果がない。しかも時間を追うごとに効果は激減していく。
 他国まで持っていくのはとても難しいんだ。
 それにもっと重大な問題がある。
 レガーレでやまいが完治すると、魔力が定着すると同時に光属性になってしまう。つまり、この薬を使用するには、まずそのことについて納得してもらわないといけないんだって。
 属性が二つになってラッキーだよね、と俺は思ったんだけど、この世界で属性が増えるなんて前代未聞。なので、どうやって扱っていいのかもまだまだ検討中らしい。
 だから、実際にこの国に来ることが出来て、かつ属性についての了承が取れる子しか完治させられない。もちろん転移の魔術陣で跳べる場所にいる場合はその限りじゃないんだけど。
 こういうのを大々的に出来たのは、前陛下が退位したからこそ。ヴォルフラム陛下には一つ残らず話しているので、良きようにしてくれる。まあそれもこれからのことだけど。
 そんなこんなを説明するとセドリック君はにぱっと笑ってくれた。

「そっかー、でも、もうやまいで死ぬことはないってのはいいことだよな」
「ありがとうございます」

 でも、正直やまいじゃなくて、今は魔力暴走の方でぽっくり逝きそうで怖い。
 お礼を言いつつ、ひっそり冷や汗をかく。
 リコル先生がいてとても頼りになるけれど、やっぱりセドリック君とジュール君には教えておいたほうがいい気がしてくる。兄様たちが受け入れてくれたように、セドリック君とジュール君もきっと俺の『とき属性』を受け入れてくれるんじゃないかなって思うんだ。
 ずっと秘密を抱えているのはまあ、兄様の害にならない限りは苦じゃないんだけど、高等学園になると、授業で校外まで出ていくことが多くなる。つまり、中等学園の時のようにリコル先生がずっとついているというわけにはいかなくなると思うんだ。
 俺はちらっとリコル先生を見上げる。

「どうしました? アルバ君」

 リコル先生は俺の視線に気が付いて微笑んでくれる。
 俺は、今年もよろしくお願いします……頑張るので、と言って頭を下げた。
 するとリコル先生はまた俺の頭をそっと撫でて、手を振る。

「お二人とも無理はほどほどに」

 セドリック君もその微笑みを受けて、ニッと笑う。
 リコル先生が行ってしまうと、セドリック君が俺の隣に腰を下ろしたので、俺も改めて座り直す。
 気が付くと、周囲の席にもだいぶ人が増えていた。
 高等学園のこの一年を少なくとも一緒に過ごすメンバーだ。
 四月は入学式と交流目的のレクリエーション。
 夏は文化祭という名の魔法と剣技のお披露目、十月はメノウの森でのサバイバル訓練。
 途中途中で学力試験も入り、学年最後には進級試験という盛りだくさん具合。
 ちなみに二年次では同じスケジュールにプラスして、中等学園生との合同キャンプ。
 三年次は合同キャンプはないけれど、進路関係のあれこれが加わって、勉強だけしていればいいわけじゃなくなるという、結構なハードスケジュールだ。
 兄様も、三年次の後半には側近のための勉強がプラスされていてとても大変そうだった。


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