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1巻
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しおりを挟む第一章 オーク、勇者に出会う
1、美オーク爆誕 さっそくキラキラ勇者現る
目が覚めたら薄暗くて、あーまだ寝られるなぁと思ったけど、なんか寝付けなかった。目が慣れて、天井が岩だと気付く。
洞窟だ。
生まれたトコらしくて「ばぶー」状態。三日くらいして歩けるようになると自分がオークに転生したことを悟る。
同時に――
「よっしゃぁぁぁ! 公式で女のコとエッチしまくれるやつ!! エロエロざんまーい!!」
そう薔薇色の人生リスタートを確信した。
季節が一巡りしたからおそらく一年経ったと思う。
テレビで見たサバイバル術やら転生モノの漫画で得た知識で生きながらえた。その経緯は世の中に腐るほど存在するからがっつり割愛。
てか、オークだから体がめちゃくちゃ丈夫だ。おかげで難なく生き延びられた。
体はすっかり成熟した気がする。さすがオーク。
そしてこの一年で気が付く。
「だめだ、強姦とか無理」
残念なことに、前世だかなんだかの倫理観がしっかり残ってた。
強姦とか犯罪行為、無理。
エルフやら女剣士やら聖女やら、いそうなのにぃぃ! めっちゃ楽しみにして、それだけを生きる糧にこんなオーク姿で頑張ってきたのに!
俺、まっとうな常識人だったんだよ。
人間の女のコは相手してくれないだろうなー。
オークの女のコにはモテそうな顔はしてるけど、オークの女のコかー。
……いや、オークってメスがいないから人間の女性を襲って孕ませるんじゃなかったっけ?
あー詰んだ。
いやでも、俺、オークにしてはイケてる顔していると思うんだよ。
腹も出ていないし。
いい感じのマッチョ。肌は緑色だけど、オークにしては薄いほうだ。人間にしては明らかに緑色で、かといってオークにしては色白の肌。
色白のオークってなんだよ。
どっちつかずの中途半端な肌の色にもさすがに慣れた。
シルエットだけならモテる系、と自分を慰める。
水鏡で見た顔は豚よりは人間寄り。
歯はちょっとはみ出ちゃうけど、そこはご愛敬。
あれだ! ハリウッド映画の超人集団の仲間。ハラク? ハリク? ハロー? そんな奴いたじゃん。下だけ穿いている半裸のヒーロー。
あれよりは断然イケてる顔をしていると思う。
なもんで、同じ森に生息するファンタジー界においての「豚鼻タイプのモロなオーク」という連中からはハブられた。
『ヴォッグ、ヴィギィィヒッヒ』
『グフブクブホゥ。ヴヲッヒィー』
などと言われる。
訳すと――
「なんだあの顔、ぶっさいくだな」
「色も薄くて気持ちワリィ。弱そー」
って、感じ。
うっせえ、こっちからしたらテメーらのほうが不細工だわ。
孤立したものの、問題はなかった。
ちょっと寂しいけど、森の動物たちと仲良くなったから大丈夫。
めちゃくちゃ時間はかかったが、モフモフ天国よ? 完全に勝ち組じゃん。
そう思って自分を慰めた。
森で人間が魔物に襲われていたらこっそり助ける。
生きるための狩りなら仕方ないかなと思うけど、殺すことを楽しむ奴は止めていいよなって。
――って嘘です。
無理です。
人間が目の前で殺されるのを見るの無理。強姦されかけているのを出歯亀とか、輪姦に参加とかも無理。
片っ端から助けちゃいました。
なんか一般的なオークより俺は丈夫だし力も強いみたいで、ちょっと怪我してもわりとすぐ治るし。
魔族討伐とか言って意気込んで森に入ってきた人間も死なないようにしました。
かといって、魔物が面白おかしく惨殺されるのも「なんか違うよな」って、人間の邪魔もしました。
食べ物がないから人間を襲うのならばと果物の木をいっぱい植樹して管理しました。
魚も養殖して放流しました。
あー疲れる。スイーツ食いてぇ。
たまに魔族相手に仲裁・交渉もしました。
『ここでたむろってると人間が水場に行けなくて困るんだって。もーっちょっと森の奥にお引っ越ししてくれたら人間も襲ってこないけど、どう? ちょっと遠くてちょっとキツい崖登った所に平地があって水もあるから、そっち行ってみない? お兄さんたちならあんな崖チョロいと思うんだよね』
人間がどうして魔族討伐に来るか原因を調査して、新居の提案もしました。
俺、魔族や魔物の言葉も人間の言葉も両方理解できたし話せたもんで。
なんだろうなー。働いてるな。
悲しきかな、日本人。
パリピのヒャッハーな奴だったら酒池肉林ルートに行けたのかなぁ。
そんな忙しい毎日を送っているうちに、なんか魔王が討伐されたらしい。
俺、はぐれオークだから兵役を免れていたけど、他のオークは従軍させられていた。
遠い存在だった魔王が討伐されたのかー。
今は勇者たちによる残党狩りが行われているようだ。
残党狩り。
ナニその響き、こっわ!
勇者は見てみたいと思っていたのに、こうなると話が違ってくる。
会いたくないなー。絶対嫌だなー。
この森近辺は俺が頑張った甲斐あってある程度、人間と共存できている。平和っちゃ平和だと思うんだよね。
まぁ人間のほうは共存なんて考えていないだろうけど、魔族討伐の緊急性は低いので勇者とやらが乗り込んでくることはないと思うんだよね。
って。
はい、フラグだったわ。
水辺で洗濯しているところに、きらきらイケメン来たー!
装備も顔もきらきら。スタイルも抜群。
ほえー、こんなきれいな人間、見たことないわ。
俺もなかなかのものだと思っていたのに、こんな美形を見たらスライディング土下座で謝罪会見もんだわ。
オークの中でマシなだけで、人間の感覚に当てはめるとごくごく平凡顔だった。
こちらを見て軽くみはった彼の目は美しいグリーン。
森の緑みたいで金髪に映えてすげぇ、きれい。
驚きでうっすら開いた唇もセクシー。
二十代半ばから後半くらいかな。
うわぁ、絶頂期のイケメンを拝む機会に恵まれちゃったぜ。
そして手には抜き身の大剣。
装飾すげぇ。あんなの初めて見た。芸術品みたいじゃん。間近で見たい。
――って見ている場合じゃなかった。
抜き身! もう刀身が見えている!
地の利はこちらにあるんだ。道なき森に逃げ込んでしまえば逃げきれる自信があった。
それなのに。
「お前がこの辺りで目撃されているはぐれオークか?」
あー、声も素敵ですね、勇者様。
もう声で分かるもん。巷で噂の勇者様ですよね。
そんな声で、はぐれオーク。
狩られる響きしかないぃぃ。
てか、体が動かないぃぃ。
え? 勇者様、なんかそういう力あんの? 魔力的な?
きらきら勇者様は俺の前に立つと真っ直ぐに見上げてくる。勇者様の頭一個分俺のほうがデカかった。勝った。
勝手に勝ったと思ったのがまずかったのかな。勇者様は目を細め、口元を歪めた。
「なんて、答えるわけがないよなぁ」
昏くて陰湿な笑み。
あかーーん!
「自分がはぐれオークです!」
素直に認めた。
あかんって! あの笑みはヤバいって!
マッドサイエンティスト系の頭ヤバい悪役の最高にヤバい笑い方だって。
怖すぎて語彙力が死んだ。
でもって、なんか驚いているふうの美丈夫に思わず尋ねる。
「勇者様じゃないんですか?」
闇騎士とか、頭イっちゃっている系キャラにしか見えん。
え、俺このままネチネチなぶり殺しにされる系?
勇者様、過酷な人生に頭パーンしたの?
「話せるのか……」
唖然とする勇者様に「ハイぃー!」と元気よく返事したいのを、空気を読んで堪えた。
知能があるものを殺すのを躊躇う系だったらいいけど、知能のある魔族が魔王周辺の馬鹿強い連中だけだというパターンもある。
勇者様は「人の顔に近いからか? 色も薄いし……」などとぼそぼそ言っているが……
どっちだ? どっちに転ぶ?
内心びくびくものだけど、目を逸らすとだめな気がしてじっとグリーンアイズを見下ろす。
一瞬の隙も見せてなるものか。
しばらくして、男が表情を和らげた。
にぃ、と。
整った顔の悪い笑み。二次元なら女子がウハウハ言うやつだが、目の前でそれをやられると足ガクブルになりそう。
ヤッベェ!
これ以上はだめだとがむしゃらに暴れたのに、首元に手を伸ばされ、首筋をするりと撫でられる。
そこにあるのは動脈で……
緑の肌が総毛立った。
縊り殺されるのかと恐怖で脳が弾けそうになる。
体中の血液が恐怖で沸いた。
恐怖で――
恐怖で……?
「んん?」
なんだろうなー、なんかむずむずする。
ていうかムラムラだな。
イケメンはカチャカチャ音を鳴らしながら装備を外し、シャツを脱いだ。
バッキバキに割れた腹筋もたくましい腕も羨ましいことこの上ない。俺だって筋肉質だけど、俺はモテないマッチョ。勇者はモテるマッチョ。
上半身裸のイケメンマッチョを見れば分かる。やる気満々のやつ。
あー、はいはい、血祭りに上げるつもりね。返り血が飛んでもいいように、って。
俺の目はおそらく無になっているだろう。
男がズボン一丁の軽装なので分かる。
テント張ってますやん。グランピング級の設備ですやん。
俺は完全に死んだ目になった。
殺しで興奮するタイプかー。きっつー。
こいつ仲間が戦死したとか色々あって、頭がイカレちまったんだな、きっと。
次に勇者が手にしたのは大剣、ではなくて、俺の乳首だった。確かに俺、上半身裸なんでモロ出しだけど。
……ホワイ。
「名前は?」
そこは乳首って言うんですよ、勇者様。って言いたいけど違うよな。
そういうことを聞いているんじゃねぇよな。
てかオークに名前ってあるの? 気にしたことなかったわ。
「話す気がないなら――」
「ハルタです! ハルって呼んでください! いだぁぁぁ!!」
恐怖のあまりたった今、自分の苗字を思い出した。
何されるか分からなくて正直に答えたのに、乳首をぎゅうぎゅう潰される。酷い。
「なんで話せる?」
「生まれつき?」
自分でもよく分からないので疑問形になった。
女のコと会話できるか発声を確かめたら、声が出たんですよ。
チートなのか言葉も分かるし、話せたんですよ。
「そうか、それは楽しみだな」
って、また暗黒騎士が笑った。
「いい声で啼けよ」
それはそれは嬉しそうにそう言う。
「勇者様のほうが絶対いい声ですよー」って言いたかったけど耐えた。
2、ハジメテのフルコース
体の緊張が緩んで地面に膝から崩れ落ちるなり転がされて、俺はビリビリとズボンを破られた。
それ、憧れていたのにできなかったやつ!
俺がやりたかったのは女のコの服だけど、服もお金かかるし帰りどうすんだよって思うとその気が萎えた。そもそも犯罪行為が無理なタイプだし。
俺が穿いていたのは使い古しのボロだからあっさり破れる。
数少ない服なのに!
「てっめぇ! 服、手に入れるのどれだけ苦労するか! ざけんな!」
思わず罵った。
いやもうホント大変だからさ。
「恐怖の大魔王かお前は!?」みたいな男相手にだろうと食ってかかれるレベルで大変なのよ。動物の皮を腰に巻くのはちょっと見た目に抵抗があってさ。あれ、出してるのと変わらないからね?
「そんなものいくらでも買ってやる」
言いながら唇にむしゃぶりついてくるイケメン。
無意識に歯を食いしばって舌の侵入を防御しようとしたが、相手のほうが一枚上手で指を突っ込まれた。
男にキスされたー。
「んんんんんんンっ!!」
人生リスタートしてからファーストキスなのに、相手は頭のおかしいイケメンで、しかも超濃厚なディープなやつぅぅ。泣きたい。
地面に押し倒されて覆い被さられる。
相手を引きはがそうと手で突っぱねるが、びくともしない。
俺より細身のクセに!
「んん! ぅんン! んーっ!」
噛んでやろうかとも思うんだけど――力加減ができなくて噛み切っちゃうかもと思うと怖くてできないぃ。
口の中に相手の舌が残るのとかマジで無理ぃ。
てか、うまいー。
さすが勇者。やべぇ、気持ちいい。
この体では生まれて初めてだから耐性ないのかも。
「お前も舌を伸ばせ」
妙に穏やかに言われてつい従ってしまう。
イケボ恐るべし。
「んっ、んっ、んぅ」
気が付くと、ディープキスに夢中になっていた。
大きくて筋張ったカッコいい手が俺の股間をまさぐっているのをどう受け止めればいいのか。オークのデカいちんこをイケメンが扱いている図。おかしいだろ。
硬くなった剣だこのある手でちんこ扱かれるのヤバい。たまんない。思えば、この体になってから他人にちんこを触られるのも初めてだ。
乳首まで捏ねられて、あっさり新たな性感帯に仕上げられた。
童貞の素人に手加減なしの三点攻めと分が悪いとはいえ、快感に弱すぎだろ。完全にチョロインじゃねぇか。
尿道が太いせいか、カウパーがどぷどぷ出てる。
それをローション代わりに、ちんこをぐちゅぐちゅ言わせながら扱くもんだからたまらない。俺はへこへこ腰を振りながら必死で男の舌を啜る。
長いシングルライフで熟練のオナニストになったつもりだったけど、やっぱ他人にされるのは全く違う。
「あぁぁ、イく、もうイく」
「ああ、イけ」
また耳元でバリトンボイス攻撃をされて、その刺激でイったのほんとツラい。
体がびっくんびっくんなって思いきりイき、射精が止まらなかった。いつもより長い。
ただでさえオークだから、精液がマジでひくほど出るのに。下手したら五百ミリのペットボトルくらい出ているかも。
前世について名前とか過去とかはほとんど思い出せないのに、ペットボトルなんてそんなどうでもいいようなことばっかり覚えているのはなんなんだろうね。
勇者からの凌辱に身も心もぐったりよ。
でも、そこでなんとしてでも逃げるべきだったんだ。
俺の出したものでどろっどろになった勇者の手が、秘穴に伸びる。
咄嗟に身を起こそうとしたが遅かった。身を翻そうとしたのも失敗だ。
男の長い足が器用に俺の足を拘束し、四つん這いの状態でそれを開く。首の後ろに当てた左手で地に押さえつけられ、尻穴まで撫でられた。
だよなー。俺だけイッて終わりなワケないよなー。
臀部があったかい~。気持ちいい~。
なんかお腹がすっきりしている気がするのに、嫌な予感しかしない。
「あー、絶倫すぎて魔物相手じゃないと満足できない系デスカ、ひぅ!」
なんとか時間を稼ごうと尋ねたが、皺を伸ばされ指を少し入れられた。
「俺オークじゃないと勃たねぇの」
「ソウデスカー」
勇者、残念すぎるだろ。
「オーク相手なら無茶しても大丈夫だろ?」
「ハジメテなんで! 優しくお願いします!」
もし体が動いたら土下座していた。まぁ今も似たような体勢だけど。
「感度上げといたから大丈夫なはず。中もきれいにしといたからな」
何をいけしゃあしゃあとぉぉ! あのムラムラと即堕ちチョロイン展開はそのせいかぁぁ!
どうりで、今も指が何本かずっぽり入っているのに痛みがないはずだよ!
「ふぁ、あぁっ、ま、魔王討伐の後、んァ! お、お姫様と結婚とか、その、ひぁ、お、お仲間は……」
お前、妻帯者じゃねぇの? 「オークを強姦とかどっちが魔族だよ、魔族も真っ青だよ」的に闇堕ちしたかつての仲間を戒めに来るチームメイトも期待したんだけど。
「縁談ははじめからオークにしか勃たねぇって言ってるから来ねぇし、仲間はとっくに諦めてる」
……勇者だ。アンタ確かに勇者だよ!
よくそんなヤバい性癖、堂々と自己申告できたな!
そして今は一人、オーク狩り?
なんたる狂戦士。
あー、下半身から聞こえてくるぐちゅぐちゅ音がひでぇ。
指、何本入ってんのコレ。すんげぇ拡げられてるだろ。
「んあぁぁぁぁ!」
「ココが好いらしいな」
ハイ、世紀の大発見! オークにも前立腺が存在することが判明しました!
まぁセックスして射精するんだから当然なのかもしれないけれど、完全に知らなくていい知識。
「あー、これまでの被害者は――」
――どうなったんでしょうか?
だめだ。これ以上、怖くて聞けない。
死ぬの? 俺死ぬの?
終わったら殺されるの?
それともヤリ殺されるの?
まぁもう何回も「だめッ、もう死んじゃうッ」って叫んでいるけどもさ。
「俺が満足したら解放してやるよ。まぁその頃には気絶してるから正確には放置だけど」
ダイジョーブ、ダイジョーブって、こんのクズがぁぁぁぁ! ガチのヤリ捨てかよ! 最低じゃねぇか!
「んじゃ」
って男がズボンをくつろげはじめる。
あぁ! 俺『童貞非処女』になっちゃうじゃん! マジでか! 嫌すぎる!!
本当に嫌なんだけど、悲しいかな。両腕は背中で男に片腕一本で拘束され、びくともしない。
俺、怪力のはずなんだけど? しかも腕太いよ? それを片手って。
なんか諦めちゃうよね。
勇者ってのはホントなんだなぁ、と現実逃避してみたが……
球状のモノが窄まりに当てられる感覚。
あー来る来る。
まぁなんだ。普段見ている自分のちんこは、体格に合わせて当然大きい。自分の体の中でもちょっと気に入っている自慢のパーツだったりする。そうなると、オーク規格が適用される俺の尻穴だってデカいはず。
対して、人間のちんこなんてオークに比べたら断然小さいだろう。入れられたところで、「へ? 入ってる? マジで? 小指? ミニウィンナー?」って必死で笑いを堪えなきゃかな、なんて。
そんなふうに思おうとしていました。
地獄絵図に見られる、罪人がこん棒を口から尻までぶっ刺されるあの図。
あれだった。
完全に拷問。
「ぅえあぁ゛ぁぁぁぁ――っ?」
え、おま、何つっこんだの? みたいな、そんなサイズ。
いや、「テント・オープン!」のタイミングでチラッとは見ていたのよ。やっぱ気になるじゃん?
なんとも使用感のある猛々しいお姿でしたわ。ちょっと黒っぽくてグロくて禍々しくて魔物感があって。は? 勇者様、股間に魔物飼ってんのかよ、ウケる、とか笑いに持っていこうとしたのよ。ほんと使い込まれた感があってひいたからさ。
あとは「あーうん、人間にしては立派なんじゃない? 勇者だけあるじゃん、ま、さすがにオークよりは小振りだがな」って上から目線で優越感に浸ってみようとしたんだけど……それが見ると入れるとじゃ大違い。
さすが勇者としか言いようがない逸品でした。
「あ゛ぁ! あぁ゛! あぁ゛ぁ!」
ひとかけらの容赦もなく、はじめからフルスロットルで己の欲求のためだけに繰り返される挿入。
「なぁ! 気持ちいいだろ!?」
苦しいです。
苦しいけど。
感度を上げるとかいうやつ。あれのせいなのか、もう両腕が自由になっているにもかかわらず、抵抗しようとか逃げようとか思わない。
なんでかなー、思わないんだよ。
あ、俺オークじゃん! 快楽に弱いからじゃね!?
うわー、終わってるやつやんー。
「ひっ、あぁぁ!」
後背位だったのを上半身を起こすように腕を引かれる。体を起こしたところで、下から抉るように前立腺を突き倒された。
「あー奥スゲ。肉みっちりってカンジ」
「ア、ア、ア、あぁぁ! ひ、ひぁぁぁ!」
全く意味の分からない実況を聞かされた。その男に転がされ、今度は松葉崩しで奥を攻められる。
「ひぃっ前、だめ! ちんこ触んなぁぁ! ひっぱんなぁぁ」
そんなサービスは要らないのに俺のちんこまで扱かれ、たまにきつく握り込まれる。つかんだまま体を離すもんだから、変な方向に伸びて痛い。
「いいぞ、ナカめっちゃ締まる」
痛いのに汁だくのそこは滑りがよく、男の手に翻弄される。
「これイヤだぁぁ! ダメえ! ダメえぇぇ!」
「あぁ、俺もすげぇいい」
あぁ、もうコイツ超楽しそうなんですけど!
絶対笑ってるよコイツ。
「ああッ、ああッ! もうムリ! お願い、イって、イってぇぇ」
さっさと終わってヤリ捨ててくれ!
そのまま放置でいいんで! 俺、丈夫なコなんで!
「中に欲しいって? ハッ! この淫乱が!」
「イッぃぃぃ――」
……てないー!
そんなこと、一言も言ってない!
どぶちゅっ、と最奥を殴るように叩かれ、息が止まった。
たぶん白目剥いて涎も垂れているはず。
「はははっ」
繰り返し奥をしつこく抉られて意識が戻った。
笑っている。
声を出して笑っている。
こえぇぇ。完全にヤバい奴じゃん。
こんな時、丈夫な体がひどく恨めしい。
一つの遠慮もなくむちゃくちゃをする男の行為にも耐えられてしまう。
こんなんだからこの頭のおかしいクズはオーク専になったんだろうけど。
「なぁ! 気持ちいい? どう? 気持ちいいか?」
激しく腰を遣いながらバカが聞いてくる。
「きもちいぃ、気持ちよすぎてツラいぃ、もうむり、おねが、たすけてぇ」
素直に答えた俺も相当な馬鹿だ。
「はははっ、気持ちいいなぁ。ほら腹、押さえてやるからな。俺のどこまで入ってるか分かるかー?」
外から押さえられたことで陰茎が内壁を擦り、抉られているのをより鮮明に感じる。延々繰り返される乱暴な抽挿に、感覚なんてもうないと思っていたのに。
「ひっあぁぁぁ゛ぁ!」
「あー、すげ、たまんね。めっちゃ痙攣しはじめたな」
こっちはもう何度もイかされている。こんなに水分を飛ばすと脱水症状になるんじゃないかというくらい。
「よーし、もうハルもツラいよな、じゃそろそろイっとくかぁ」
バカの宣言に、この苦行の終わりが見えて思わず期待した。
最後に激しくなるだろうが仕方ない。
覚悟もした。
そして勇者の本気を見た。
それはそれはえぐかった。
「ここだろ、オラッ! いっぱい突いてやるから、派手にイけよ!」
前立腺集中攻撃。
集中砲火を浴びせるがごとくその一点を攻められる。すでに肥大していたそこは格好の的だった。
「ひ、あ゛ああ゛っ、やめ、だめ、そこだべぇぇぇ゛――」
どちゅどちゅパンパンされて一瞬で白い霧の視界ゼロ状態に突き落とされ、暴力的なまでの快楽に体と脳が完全に侵食される。
「いいい゛、あ、きもちい、ん、ゥんッ~~~~――ァァッ」
全身に広がった悦楽が胎の一点に集まり、限界まで収縮されて弾けるのを感じた。
胎内で俺の内壁がバカのアホみたいにデカい男根を締めつけているのを感じる。
ヤバい、なんでだ。射精しなかったのに、頭がおかしくなるくらいすげぇ気持ちいい。
なんでヤローのちんこを締めつけるのがこんなに気持ちいいんだよ。
全身が跳ねた後、圧死させられるのかと思うほどビクビクと震える体を男に抱きしめられる。内壁で陰茎を扱くような相手の動きに、朦朧とした頭で「やっとイったか」と安堵した。
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「私、ロアン侯爵様と婚約したのよ。貴方のような無能で下賤な女にはこんな良縁来ないわよね、残念ー!」
同じ十七歳。もう、結婚をしていい年齢だった。
幼馴染のユーリアはそう言ってアグネスのことを蔑み、憐れみを込めた目で見下して自分の婚約を報告してきた。
外見の良さにプロポーションの対比も、それぞれの実家の爵位も天と地ほどの差があってユーリアには、いくつもの高得点が挙げられる。
しかし、中身の汚さ、性格の悪さときたらそれは正反対になるかもしれない。
人間、似た物同士が夫婦になるという。
その通り、ユーリアとオランは似た物同士だった。その家族や親せきも。
ただ一つ違うところといえば、彼の従兄弟になるレスターは外見よりも中身を愛する人だったということだ。
そして、外見にばかりこだわるユーリアたちは転落人生を迎えることになる。
一方、アグネスにはレスターとの婚約という幸せが舞い込んでくるのだった。
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