第8回漫画大賞
選考概要
編集部内で大賞候補作としたのは、「CROSS EYES-クロスアイズ-」「rkmt」「ココロにオトメ」「ある夕暮れ、ボクはのっぺらぼうと出逢った。」「牛屋の店長」「それいけ彩の国ッ!」「Unidentified」の7作品。その後の検討の結果、編集部内で特に評価の高かった「CROSS EYES-クロスアイズ-」を大賞に選出することとした。
「CROSS EYES-クロスアイズ-」は、荒廃した辺境の孤児院で繰り広げられる少年少女たちの生き様と、様々な特殊能力を使ったバトルがテンポよく描かれた作品。しっかりとした画力によるアクションシーンも魅力的で、演出力・技術力が高く評価された。
また、その他の6作品も各々にオリジナリティあふれる作品だった。
「rkmt」は、1話完結型の現代ファンタジーで、キャラクターが立っている良作だった。コメディ時々シリアス、そして良い話で落とすという点も高評価だったが、主人公と妖怪たちが前世で出会っていたという初期設定が置いてけぼりなので、設定を話に織り交ぜながら展開していけばより魅力的な作品になると思えた。
「ココロにオトメ」は、読み切りとしては王道的な作品でありながら、主人公とヒーローの葛藤やコンプレックスを上手く表現した点が評価された。しかし、テーマが王道的なだけに、あと一歩、この作品ならではの物語の深さが必要だと感じた。
「ある夕暮れ、ボクはのっぺらぼうと出逢った。」は、ドジなのっぺらぼうと小学生の交流を描いた萌え4コマギャグ作品だった。ただ、萌え4コマではコメディ&ハートフルという展開は定番のジャンルとなっているため、縦軸となる物語性を加味すれば、作品として広がりも出てくるだろうと感じられた。
「牛屋の店長」は、ギャグ漫画でありながら、各話のテーマがしっかりしていた点が支持された。しかし、各話の繋がりがわかりづらいのとセリフの多さにより話の内容が散漫になってしまっていたため、見せ方を工夫すればさらに読みやすい作品に仕上がるだろう。
「それいけ彩の国ッ!」は、埼玉県内市町村擬人化漫画というテーマがご当地もので引きのあるテーマだと感じた。とはいえ、埼玉県とは関係のない内容も多々あり、せっかくのテーマが生かしきれていなかった点が残念だった。
「Unidentified」は、キャラクターの細かい表情の表現力、続きが気になる構成力が評価された。しかし、話が凝りすぎているせいか、理解が追い付かない点も多く、設定や展開をわかりやすくすれば、より多くの読者を魅了できると思えた。
CROSS EYES-クロスアイズ-
Dearモンスター
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。人間と妖怪、パラレルワールドという特殊な設定と、微笑ましいキャラクター同士のやり取りが魅力的な作品でした。 ギャグとシリアスの配分も絶妙で、ドキドキハラハラしながら読み進める読者も多かったのではないでしょうか。今後の更新が楽しみです。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
長編SFという難しいジャンルでありながら、謎をちりばめ、丁寧な作画とコマ割りで読者を引き込んでいく点が素晴らしかったです。手に汗握るバトルシーンも演出効果が格好よく、ページをめくる楽しさがありました。総合的にクオリティの高い作品で、これからの展開に期待しています。