ファンタジー小説大賞
選考概要
編集部内ではじめに20作品超を大賞候補作としてピックアップ。その後の選考で「アニマルゲッター」「側妃異聞」「キューピットは未来から」「蒼き国の騎士」「ARCADIA」「落陽記」「魔王ゼファー」「華国妖燕伝」「Lost&Found」の9作品に絞り込んだ。さらに検討・議論の末、最終的に出版に一番近い作品であるとしたのは「アニマルゲッター」。絶滅危惧の動物を少年たちが異次元での闘いで救うという発想が大変ユニークで魅力的であり、冒頭の戦闘シーンも早く続きを読みたくなる力のあるものと評価し、大賞に決定した。その他の作品では、「キューピットは未来から」「ARCADIA」も同じく読者を牽きつける力のある書き出し・設定で、その点において編集部内でも評価が高かったが、前者は「タイムマシーン」など折角のファンタジーの要素がストーリーに活かされておらず、後者は「ゲーム」を小説として展開させる、そのゲームではない小説ならではの意味が感じられなかったのが残念だった。一方、「落陽記」は参加作品のなかでも特に文章力に秀で、ストーリーもよく出来ている非常に完成度の高い作品であったが、逆に読者に先を読み進めさせる「力」に物足りなさを感じた。
アニマルゲッター
側妃異聞
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。突然、第二の人生を送ることになった主人公が、今までに培った知識や経験で、異世界で起きる様々なことを解決していく様子は、読んでいて大変痛快でした。一癖ある登場人物やユーモアたっぷりのストーリーなどから、読者を楽しませようとする著者の姿勢を感じます。完結に向けて、今後の更新も楽しみにしております。
絶滅危惧種の動物を異次元での闘いにおいて救うというアイデアの素晴らしさはもちろん、冒頭から描かれる迫力あるバトルシーン、個性的でバランスのとれた登場人物たち、そして様々な思惑の絡まるストーリーと、最後まで読者を飽きさせない工夫に満ちており、とても面白い作品だと評価いたしました。読者は主人公と同じ小学生高学年だと思います。彼らに向けた児童書として、どのようにしたら出版できるのか、著者と改稿に挑戦していきたいと思います。