第6回恋愛小説大賞
選考概要
編集部内で最終的に大賞候補作としたのは「通りすがりの王子」「乙女ゲームな世界で生残る方法」「恋愛イニシアティブ」「Lord of My Heart」「春夏秋冬」「恋愛なんて覚えたくない!」「25日のシンデレラ」の7作品。最終選考では、どの作品もそれぞれに魅力があるが、大賞としてどれか1つを選ぶには決め手に欠けるというのが編集部内の総意となった。その後の議論の末、「恋愛イニシアティブ」と「恋愛なんて覚えたくない!」の2つを、候補作の中で特にクオリティが高い作品であるとして、特別賞に選出することになった。
「恋愛イニシアティブ」は、不本意な転勤をした女性が、赴任先で美貌の男性に迫られることから始まる物語で、男性に心惹かれていく様子とともに、仕事や家族など、大人の女性が抱える様々な問題の間で悩む様が細やかに描かれていた。
「恋愛なんて覚えたくない!」は、兄の恋人から恋愛指南を受けることになった『年齢=彼女いない歴』の二十歳の青年が主人公の物語で、彼が悩み、戸惑いながらも恋をしていく様子が、繊細かつ爽やかに描かれた良作であった。
またここであげた候補作のほかに、出版の可能性を感じる作品もいくつかあり、編集部で検討し、個別にオファーや打診をしていきたいと思う。
なし
通りすがりの王子
恋愛イニシアティブ
細かいところまで丁寧に描かれていて、情景がイメージしやすい作品でした。主人公が、恋愛と仕事、そして親など、自分にとって大切なものの間で揺れる様子はリアルで、きっと多くの女性読者の共感を呼ぶものだと思います。主人公がこれから先どのような選択をしていくのか、今後の展開が非常に楽しみです。出版化の可能性について是非検討していきたいと思います。
恋愛なんて覚えたくない!
登場人物がとても丁寧に作り込まれた作品だと思います。主要キャラはもとより、脇役である主人公の友人達も、それぞれがそれぞれの真っ直ぐさ、繊細さを持ち、いずれも作品に欠かせない存在感を放っています。そうしたキャラの魅力を引き立てるシンプルな文体も世界観によくマッチし、切なくも爽やかな、好感のもてる恋愛小説に仕上がっていると感じました。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。大企業の令嬢が襲ってきた男を気絶させるというインパクトのある冒頭と、その場面に遭遇した御曹司と数年後再会するという魅力的な設定に、ぐっとひきつけられました。主人公の軽快な突っ込みやはっきりと主張できる態度も多くの読者に愛されるものだと思います。出版化の可能性について是非検討していきたいと思います。