第2回青春小説大賞
選考概要
編集部内で大賞候補作としたのは「鉛色のサンデー」「ショコラと現実じゃない場所」「彼女の選択」「うちのお兄ちゃんを紹介します」「ドブネズミと捨て猫とノラ犬」「生徒会長はじめました。」「彼女と彼と0地点」の7作品。残念ながらそのまま出版ができると判断した作品はなかったが、議論の末、総合的に見てもっとも大賞にふさわしい作品であるとして「彼女の選択」を選出した。タイプの違う四人の女の子達の青春模様をそれぞれに起こる恋愛を通して描いた作品であり、全体的にこぢんまりした印象で物足りなさが若干残るものの、文章・ストーリーとも完成度が高いと評価した。そのほかでは「鉛色のサンデー」は独特のクールな世界を描いてとても魅力的であったが、感覚的に80~90年代的であり、いまの読者のニーズに合うか疑問だった。「ドブネズミと捨て猫とノラ犬」は冒頭の母親とのシーンが、非常に強いインパクトがあり期待させるものであったが、以降のストーリーが弱く残念だった。
星空の下で、さよなら
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。初恋相手を一途に想いながらも、かなわぬ恋であると必死に言い聞かせる主人公のまっすぐな姿が読者の胸を打つものであったと思います。物語の中心となる3人の登場人物それぞれにも好感が持て、また繊細で温かな文体が、物語の世界観にも非常にマッチしていると思います。ただ青春小説大賞というより恋愛小説大賞に適している作品と言え、このあたりは運営する編集部側の今後の課題であると考えました。
同じゼミに所属する四人の女の子達の恋愛を描いた短編連作で、タイプの違う登場人物が上手く書き分けられており、各々身近に一人くらいはいそうなリアリティのあるキャラクターとすることに成功していると思います。それぞれの恋愛ストーリーも現実にありそうな内容でありながら、しかしよく練られており、大変完成度の高い小説であると思いました。今後の著者の執筆活動におおいに期待したいと思います。