第7回ホラー小説大賞

第7回ホラー小説大賞

選考概要

編集部内での議論の末、最終候補作としたのは「蠢女」「僕の妻が卵を産んだ」「奇」「チョコレート・ハウス」「欲望アプリ ~オマエガノゾムセカイ~」「ヨセルヒト」「レーテの川の水」「ずれる」の8作品。選考の結果、いずれもそのまま出版化するのは難しいと考え、編集部内で支持の高かった「欲望アプリ ~オマエガノゾムセカイ~」「ずれる」の2作を特別賞に選出することとした。

「欲望アプリ ~オマエガノゾムセカイ~」は、小説としての完成度には物足りなさがあったものの、アプリという現代的な要素を作品にうまく落とし込んでいる点が編集部内で高く評価された。
「ずれる」は、何気ない日常が次第に壊れていく過程が高い筆力で描かれており、鏡に映る自分の姿がずれて見えるという冒頭から、読者を物語にぐっと引き込む良作であった。

応募総数 89作品 開催期間 2014年04月01日〜末日

なし

蠢女

1位 / 89件

編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。女の身に次々と降りかかる陰惨で絶望的な出来事が巧みに描かれており、筆力の高さを感じるとともに、読んでいて背筋が凍るようでした。また物語が女の淡々とした告白によって進むことで、恐ろしさが一層増していたと思います。この独特な世界観に、多くの読者が引きつけられたのだと感じました。


編集部より

小説としては物足りなさがあり、本作品よりも完成度の高い作品は他にもありましたが、アプリという現代的な要素を用いたアイデアが編集部内で高く評価されました。また「時間を止めたい」「痩せたい」など誰もが一度は抱いたことのあるような、身近な願望をテーマにすることで、読者が物語に引き込まれやすくなっていると思います。平凡な少年たちが破滅していく恐怖がうまく描かれていました。

ずれる

42位 / 89件

編集部より

鏡に映った自分の姿がずれているように見えたのをきっかけに、主人公の日常が壊れていく過程が丁寧に描写されていて、ぐっと引きつけられる作品でした。また身近な人間との間に生まれたほころびが独特の緊張感を生み出し、作品全体に漂う不気味さを際立たせていたと思います。鏡の「向こう側」と「こちら側」のどちらが本当の自分なのか、考えさせるラストにはじわりとした恐怖を感じました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

投票ユーザ当選者

投票総数 361票 当選 10名