第17回絵本大賞 募集要項
第16回絵本大賞
選考概要
これまで15回を重ねた絵本・児童書大賞から、16回目にして初の絵本単独開催となった今回。応募数は650作にのぼり、親子で楽しめる工夫を凝らした作品や、高い画力を活かした独特な世界観で読者を魅了する作品、WEB・アプリならではのアイデアが光る作品など、いずれも個性的な絵本が集まった。
最終選考候補として40作が挙がる中、大賞候補となったのは「おやすみでんしゃ おふとんゆき」「パラパラレース ちじょうさいそくはだれ?」「こわーいヤツにもウラがある」「くいしんぼうやの おこさまランチじま」「おつきさまからこんばんは」「モジクイムシがやってきた!」「おおきなツノ」「楽しく遊べる♪めいろ さがしえ まちがいさがし」「ものすごくながいパン」「ハムとハム」の10作品。
選考の結果、親子で寝る前に読む光景が想像できる作品だと、編集部内で最も支持を集めた「おやすみでんしゃ おふとんゆき」を大賞に選出。独特ながら親しみやすい世界観と高い画力を評価し「おつきさまからこんばんは」を優秀賞に、文字を食べてしまうというユニークな虫が登場する「モジクイムシがやってきた!」をキャラクター絵本賞に、Web・アプリの特性を上手く利用した「パラパラレース ちじょうさいそくはだれ?」をアイデア絵本賞に選出した。また最終選考に残ったものの、惜しくも授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「おやすみでんしゃ おふとんゆき」は、寝る前のルーティンワークを停車駅に見立てた、優しく親しみやすい雰囲気の作品。到着駅に合わせて窓の外の月や景色に変化があり、子どもを楽しませる工夫が随所に見られる。寝かしつけにぴったりで、また電車好きの子どもにも喜ばれるだろうと、多くの選考員から高く評価された。
「おつきさまからこんばんは」は、ひとりぼっちで月に住む巨大なうさぎが、隣の星に住む小さなうさぎ達と交流する心温まる物語。各ページの様々な描きこみや、大胆な構図など、画力の高さが評価された。王道で安心感のあるストーリーも含め、全体的に完成度の高い作品だった。
「モジクイムシがやってきた!」は、文字が大好物なへんてこな生きもの、モジクイムシが小学校に現れ、大騒ぎになるというストーリー。モジクイムシが絵本の文字を食べてしまうなど、ユニークな表現が秀逸だった。
「パラパラレース ちじょうさいそくはだれ?」は、パラパラ漫画のような手法で動物達のレースを表現した作品。タップ連打というWeb・アプリのギミックを利用したアイデアが評価を集めた。
おやすみでんしゃ おふとんゆき
マクのクリスマス
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。イラストの色使いや構図が個性的で、オリジナリティのある世界観に引き込まれました。一人でお留守番をして寂しいはずなのに、お父さんのことを思い出して前向きに過ごす、マクの健気な様子に胸がジーンとなります。
おつきさまからこんばんは
月のうさぎが竹で作った長い長いはしごで隣の星へ行く場面をはじめ、とても夢の広がるストーリーで楽しめました。また、各ページの細部までこだわった描きこみが素晴らしく、眺めているだけでも面白かったです。結末の優しさも素敵で、大人も子どもも楽しめる作品に仕上がっていると感じました。
モジクイムシがやってきた!
文字の抜けた看板ではじまる冒頭から本の世界に引き込まれました。本の文字を食べてしまう表現もとても面白く、多くの子供たちの興味を惹きそうな展開です。絵も素敵で、アイデアの秀逸さが光る作品でした。
パラパラレース ちじょうさいそくはだれ?
パラパラ漫画というアナログの面白さと、クリック・タップというWEBならではの読み進め方がマッチした作品でした。ページをめくることでスピード感を味わうことができ、最後までドキドキ感を楽しめました。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
電車と寝かしつけという子どもにニーズのある要素の組み合わせが魅力的な作品でした。停車駅という形でお片付けやトイレなどを習慣的に促すアイデアが面白く、就寝前のルーティーンとして親子で楽しめる作品だと感じます。駅ごとに景色やキャラクターの様子が変化するため、わくわくしながら読み進めることができました。