第7回ホラー・ミステリー小説大賞 募集要項
第6回ホラー・ミステリー小説大賞
選考概要
本ジャンルとしては初めてテーマ別賞を設けた第6回ホラー・ミステリー小説大賞。デスゲームモノや探偵モノ、他にも多様な主題を持つ作品が集まり、応募総数は昨年を大幅に超える1,548作品と、過去最多にのぼった。
その中から最終選考に進んだのは26作品。さらに選考を重ね、編集部が大賞候補作としたのは、「桜子さんと書生探偵」「THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-」「キラースペルゲーム」「夜煌蟲伝染圧」の4作品となった。
これらの候補作を検討した結果、僅差ではあったが編集部内で最も支持を集めた「桜子さんと書生探偵」を大賞に選出。他3作品にも個々に光るものがあり、「キラースペルゲーム」を極限デスゲーム賞、該当するテーマ別賞がなかった「THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-」「夜煌蟲伝染圧」については、それぞれサバイバルホラー賞、学園ホラー賞を新設し、授与。最終選考に残ったものの惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「桜子さんと書生探偵」は、明治時代に生きる財閥の令嬢と、帝国大学に通う切れ者の書生が縁談にまつわる不可解な謎と事件に巻き込まれていく物語。ヒロインとヒーローの他、登場するキャラクターたちが個性豊かで、作品世界にぐっと引き込まれる。恋愛を軸に展開されるミステリー的エピソードをしっかりまとめあげた、完成度の高い作品だった。
「THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-」は、タッチすると伝染していく呪いに翻弄される、過去と現在の人々を描いた作品。鬼ごっこをベースに、呪いを示す痣をつけられたキャラクターの恐怖、殺人鬼が彼らに迫る息の詰まる描写が高く評価された。
「キラースペルゲーム」は、館で始まるデスゲームというオーソドックスな設定に、キラースペルと呼ばれる特殊な要素を加えた頭脳バトルミステリー。人を殺せる力を得た13人の完全犯罪者たちの、クローズドサークルにおける立ち回りを見事に描き切った大作だった。
「夜煌蟲伝染圧」は、学校に閉じ込められた高校生たちに、触れると自殺してしまう虫――夜煌蟲が迫る学園ホラー。高校生ならではの関係性やキャラの過去に、夜煌蟲というホラー要素をうまく絡めており、かつ結末を前向きに描いている点も好評だった。
桜子さんと書生探偵
浮気の代償の清算は、ご自身でどうぞ。私は執行する側です。
ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。浮気をされた主人公が相手に仕返しをしていくざまぁ要素にスカッとしつつも、主人公への底知れぬ恐怖を感じる作品でした。キャラの思いがしっかり描かれていたことで、読者の人気を集めたのだと思います。
THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-
「タッチ」という鬼ごっこのシンプルなモチーフをしっかりとホラーに落とし込んでいる点がユニークでした。人物の息遣いまで聞こえてくるような緊迫感のある描写が魅力的です。小説にとどまらず、映像でも映える作品だと感じました。
キラースペルゲーム
謎めいた屋敷に集められた完全犯罪者たちによって繰り広げられる心理戦に、心が躍りました。特に明が自身のキラースペルを利用して周囲を欺いていたシーンはとても巧みな演出です。二転三転する展開にハラハラしながら読み進めました。
夜煌蟲伝染圧
自殺衝動を煽る不安や苦しみを、「夜煌蟲」という夜に光る虫として表現しているところに魅力を感じました。キャラの心情が丁寧かつドラマチックに描かれていて、生きることに対して消極的だったエリヤが前向きに変わっていく姿に思わずグッとくる作品でした。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
情に厚いお嬢様と訳ありの書生という一風変わったコンビのやり取りが小気味よく、その他にも多彩な登場人物たちの個性が光る作品でした。明治時代の恋愛と謎解きを上手く組み合わせ、テンポのいい展開で読者を引っ張ります。殺人事件も一段落つき、桜子の恋の行方が気になるラストでした。