神に愛され世界樹を賜りし国『トゥライダ』で生まれた聖なる神官――フィエル。
その祖国は『董來』へと名を変え、冥陽国へ取り込まれてしまった。
冥陽国は神の怒りを受け天から地上へと堕とされた獣を祖とする堕狼族の国。
血の気が多く気性が荒いという彼らを恐れる者が大半を占める中、堕狼族の親友を持つフィエルにとって大した問題ではなかった。
国をよき方向へと導く世界樹の化身・烏仙王の不在を告げるため皇帝への謁見に臨むフィエルだったが、
皇帝には存在するはずのない烏仙王が侍っていて――。
もふもふで豪胆な皇帝と清廉な神官のお話。