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第二部 最終章

第六十九話 不協和音?

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 「暇だなぁ…」

 俺は馬車内の居間で椅子に寄り掛かりながらつぶやいた。

 五国の謝罪の旅が終わり、悪魔族の討伐も果たした。

 次にやる事といえば、悪魔族は全て退けたという報告をする位だが…これに関しては何処かの王国に行って伝えれば各国に通達されるので全部の国に報告する必要はない。

 「そろそろ…旅の終わりが見えて来たな。」

 俺はそういうと、目の前でチェスをしているアヴェルユージェンとアレフが言って来た。

 「ヒカル殿、旅の終わりとは?」

 「だって、アヴェルユージェンの五国謝罪交渉の旅は終わっただろ?」

 「ヒカル、フリージアの遺跡調査の旅はどうするんだ?」

 「そんなのはお前が連れていってやればいいだろ、フリージアがアレフと婚約する前ならポイント稼ぎに連れて行くのはやぶさかではなかったが、相手がいる今だと俺にはそこまでする義理はない。」

 俺がそんな話をしていると、ミンフィーリアが口を挟んで来た。

 「ヒカル様、旅が終わったらどうなるのでしょうか?」

 「このメンバーは解散になるだろうな。 レオーネとリルーシャとティーファレットとなら旅を続けても良いだろうが…」

 「何故あの子達だけですか…私やフリージアはどうなるのですか?」

 「だって、アヴェルユージェンは魔族領の魔王でミンフィーリアは王妃だろ? 五国の挨拶の旅が終われば自国に戻るには当たり前だろ?」

 「それはそうですが…」

 「いつまでも魔族領に代表者の二人が不在というのはまずいだろう。 ならば帰るのが普通じゃ無いか?」

 「ヒカル殿は我々と一緒にいるのが嫌なのですか?」

 「別に嫌というわけじゃ無いけど、いつまでも一緒には居られないというだけだ。」

 俺は地球でも友達はいなかったわけじゃ無いが、アヴェルユージェンやアレフの様な心を許せる友達みたいなのはいなかった。

 ん?

 「アヴェルユージェン、何か勘違いしていないか?」

 「勘違い…ですか?」

 「お前達は故郷に帰るというだけであって、別に今生の別れになるというわけでは無いぞ。 俺は会いに行こうと思ったらいつでも会いに行けるわけだしな。」

 「あ…そうですね。」

 「それにアレフだって第二王子としての責務があるだろうから、いつまでも俺と一緒にいるのが…」

 「僕は父上からヒカルの補佐をしてくれと言われて…」

 「フリージアと婚約する前なら別に構わなかったが、婚約者がいる者…ましてや第二王子がいつまでも一緒に連れ回すというのはあまり良く無い気がして来てな。」

 「う………ん。」

 アヴェルユージェンとアレフは納得した様な顔をしていたが、ミンフィーリアとフリージアは納得していない様な顔をしていた。

 「私や他の子達はヒカル様からまだまだ学ばないといけない事があります。」

 「学ぶ事? 何かあったか…?」

 「ウチの遺跡探査の旅付き合ってくれると言ってくれたし~」

 「それはアレフと行って来いよ、アレフには防具や聖剣はそのままにしておくから。」

 「でもアレフはん弱いし…いざとなったらウチが守らんとあかん事になるかもしれへんし…」

 悪魔族との戦いの事を言われているんだろうなぁ…?

 あの時のアヴェルユージェンやアレフを見ていると確かに全く役に立っていなかったし、あんな姿を見ていると不安になるのは分かる気がする。

 「ウチ…結婚する相手を早まったかなぁ~?」

 フリージアはそう言うとアレフの方を見た。

 アレフはその言葉を聞いて酷く落ち込んでみせた。

 フリージアも本気では無い…とは思うけど、本人目の前にしてその発言はあまりに残酷だ。

 俺もアレフをフォローしたかったが…事が真実なだけにどう答えたら良いかわからなかった。

 ならば…と思ってミンフィーリアにも尋ねてみると?

 「フリージアの言っている事は理解は出来ます。 私も旦那様との付き合いがそれほど長くなければ同じ事を言っていたと思います。」

 ヤバいな…聞く人間を間違えただろうか?

 俺はアレフとフリージアの関係を何とかしてもらおうとミンフィーリアに尋ねたのだが…?

 ミンフィーリアの発言により、アヴェルユージェンもムッとした表情を浮かべていた。

 なんか面倒な事になりそうだな。

 どうしよう、これ…?
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