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第二章 自分勝手な聖女編

第三十六話 じゃあな…

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 「…という事なんだが。」

 「あぁ、良く分かった。」

 俺は国王に説明をした。

 流石の国王も俺に対して慈悲をくれとは言わなかった。

 「甘やかしすぎたのか…」

 「いや、甘やかしたというレベルではないぞ。 常識が無さすぎるんだよ。」

 「チャンスをくれ…という事は可能か?」

 「チャンスは幾らでもやったよ、全部不意にしてくれたけどな。 仕舞いには俺達が命の危険にまで晒されたんだ、それでまだチャンスが欲しいとか言わないよな?」

 「あぁ…ヒカル殿にアレナに対する好意はもう無いのだな?」

 「あると思うか? まぁこれ以上言っても無駄だな…言い方が悪いかもしれないが、この女に自分の事を自分でしろというのはまず無理だ。 自分の事を補ってくれる使用人を付けられる場所に嫁がせろ。 辺境伯の馬鹿息子の元に嫁がせられるのが嫌なら、他の王族を探してやれ…」

 アレナの横には王妃が付き添って頭を撫でていた。

 俺も結構酷い事を言っている自覚はあるが、ここまで言わないと国王と王妃親達は気付かないだろうな。

 「それで…ヒカル殿はこれからどうする?」

 「アレナが抜けたが、元の予定通りに3人で旅をするさ。 各国の王達には俺達が向かう事は伝えてくれているんだろ?」

 「あぁ…通達はしてある。」

 「なら、俺達は再び向かうとするよ。」

 俺は玉座の間から出ようとすると、アレナが声を掛けてきた。

 「ヒカル、私達の関係はこれで終わり…」

 「結婚相手から友達の関係になっただけだ。 別にお前に対して恋愛感情というのはもうないが、それでも友達関係…いや、別に蔑ろにする気はないから安心してくれ。」

 「お別れと言うわけじゃないんだよね?」

 「友達の関係と言ったろ? 相談事には乗ってやる…そんな関係になるだけだ。」

 俺は玉座の間から出てから城門前にある馬車に戻った。

 そして馬車を出発させてから王国を出ると、振り返ってからこう言った。

 「じゃあな!」

 俺達の旅は、こうして再開したのだった。
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