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第二章 自分勝手な聖女編

第三十四話 愚か者達の末路…

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 「寝言は寝て言えよバァーカ! 何でテメェらに渡せねぇと行けなんだよ、意味が分からね。」

 「この人数を見てもそんな軽口が叩けるなんて…お前は馬鹿なのか?」

 お前達は俺達と出会った時はヘロヘロな状態だったじゃねぇか。

 それを回復させて飯を与えて今の状態になっている事を忘れているのか?

 「その人数が何だというんだ?」

 俺はそういうと、アヴェルユージェンは村人達に警告するようにこう言った。

 「愚かな真似をするのはやめた方がいいですよ。 貴方達はこのまま大人しく村に帰りなさい。」

 すると代表の若者は鼻で笑って言った。

 「やはりこの数にビビっていてそんな事を言っているんだな? 気が変わった、お前達を生かしてやろうと思ったが…そうだな、男達は殺して女は此方で可愛がってやる事にしてやるから感謝しろ!」

 馬鹿な奴だ…こいつ死ぬぞ。

 アヴェルユージェンはミンフィーリアを誰よりも大切にする愛妻家に対してそんな発言を口走ったら…

 悪いが俺でも手はつけられなくなるほどな状態になるだろうな。

 『調子に乗るなよ人間風情が…』

 アヴェルユージェンは明らかに声質が変化して憤っていた。

 そして恐れていた通りに展開に発展するのだった。

 アヴェルユージェンは普段は人と変わらない姿だが、感情の起伏により魔族本来の姿に変貌する。

 更には自身が抑え込んでいる魔力が吹き荒れて…取り返しがつかない状態になるだろう。

 …が、和平交渉の為に各国に赴こうとしているのに、ここで騒ぎを起こしたら水の泡になる。

 俺はアヴェルユージェンの首元に手刀を当てて気絶させた。

 まぁ、レベル的な事を考えれば止められない事はないんだが…。

 若者が右手を挙げると、後方で何かが光った。

 すると光った何かが飛んで来た。

 「矢か…」

 俺は矢先を受け流してから矢尻を打ち返すと、矢は飛んで来た方向に向かって飛んで行き…放った者の腕に突き刺さった。

 「こんな見え透いた手に引っかかると思っているのか?」

 「馬鹿な⁉︎」

 はぁ…奴等には俺達の事がどう見えているんだ?

 ただのガキの集団とでも思っているのかねぇ?

 「このまま引き返すんだったら後は追わないで見過ごしてやるが、刃向かって来る気なら死を覚悟しろよ!」

 「たった1人をやった位で良い気になりやがって…皆掛かれぇ!」

 まぁ、馬鹿どもはやっぱり聞きはしないか。

 ならまずは…リーダー以外を皆殺しにするか!

 俺はファイアボールを展開して放った。

 威力はかなり抑えられている…筈なのだが、向かってきた者達に触れた瞬間に消し炭へと変えた。

 そして次々と消滅して行き…最後にリーダーだけが残った。

 「食材や薬品が無駄になったな。」

 「皆が…何で⁉︎」

 「何でって…お前馬鹿だろ? 俺達を殺すとか言っている奴を何で見逃さないといけなんだ?」

 リーダーの男は周りを見て慌てふためいていた。

 「まさかさぁ…他人を殺しに来ておいて自分達は被害は全く無いとか思っていたのか?」

 「なら何でオレは生きているんだ?」

 「見せしめだよ、人数を増やせばどうにかなると思い込んでいる愚か者に制裁を加える為に敢えてリーダーを残して後は皆殺しにした。 人を殺しに来るのなら、自分達も誰かが死ぬと思い知っただろ?」

 「オレをどうする気だ⁉︎」

 「このまま生かして返せば、また別な奴等と手を組んで向かって来るだろうからな。」

 「いや…もうお前達には手を出さないから許してはくれないか?」

 「お前さぁ…俺の事を殺すとか言っていた奴の言葉を信じると思っているのか?」
 
 「本当に…絶対に手は出さないから信じてくれ‼︎」

 「頼む相手を間違えたな、隣に倒れている男なら許していたかもしれないが…俺はそこまで甘くねぇよ! 後悔しながら仲間の元に行け‼︎」

 俺は土下座して謝っているリーダーに対してファイアボールを放つと、リーダーの男は叫びながら燃えていった。

 俺はアヴェルユージェンを担いでから馬車の中に入ってベッドに寝かせると、アレナに向かって言った。

 「お前の考え無しの行動が今回の様に俺達を危険に晒した。 どう責任を取るんだ?」

 「もう、逆らう様な真似はしませんし、ちゃんという事を聞きますから…」

 「俺の心の中にお前への気持ちがあるのなら許してやるよ…と言っていたかもしれないが、悪いがお前に対する気持ちは全く無い。 王都に返されるか辺境伯の元に嫁ぐか…どっちを選ぶんだ?」

 いつも味方をしていたミンフィーリアも、今回だけは口出しをせずに見ていた。

 アレナはどっちの選択を取るのだろうか?
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