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第二章 自分勝手な聖女編
第三十話 移動中にて…
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「本当にこの馬車は揺れが全くありませんね!」
アヴェルユージェンが俺のいる運転席に来て言った。
この馬車が全く揺れが少ない理由は車輪にあった。
…といっても、普通の馬車に使われている車輪では無くて、この馬車の車輪には大型トラック用のタイヤを履いているからだった。
しかも8つのタイヤで凹凸がある道でも、揺れも無くスムーズに進めていた。
「アヴェルユージェン、別に俺に付き合わなくても良いんだぞ。 交代はまだ先の筈だし?」
「いや、妻がアレナ様とリバーシで対戦しているのでね。 最初は見ていたのですが…」
「まぁ、見るだけというのもつまらないよな?」
俺達は王都コーネリアから出発して3日経った。
道中に何度か魔物の襲撃があったが、俺だけで撃退していたのだった。
そして食事の時間になると…俺が全員の分を作る羽目になっていた。
まず、アレナは料理を作った事がない…というより王族の料理は全てシェフ任せなので厨房に立った事すらない。
魔族領では貧困のために、野菜は丸かじりで魚を火は通すが調味料に類は一切使用しないという。
なので必然的に俺の役割というか、負担がかなり多くなった。
これだとミンフィーリアとアレナは何のために着いてきたのかがよく分からなかった。
アヴェルユージェンだけは料理が出来ない代わりに馬車の操縦を替わったりしてもらっていた。
流石に俺とアヴェルユージェンだけが働くのは割に合わん。
なのでミンフィーリアとアレナには馬車内の掃除をやらせたのだが…開始1分もしないうちに悲鳴と共に何かが割れた音がしてきた。
まぁ、やった事がないのだろうから…このまま見守ってやろうとしたら、また大音量で何かが割れた音がしてから悲鳴が上がってきた。
アレナとの結婚はやっぱ早まったのだろうか…クーリングオフという考えを本気で思っていた。
それ以降は馬車内のあらゆる物が破壊されたのを修復し、2人には役割を与えない事にした。
特別な用事がない限りは2人には物を頼まなかった。
なので2人には居間で大人しくゲームをしてもらう事にした。
「ヒカル殿、妻が申し訳ありません!」
「いや…」
流石の俺も言葉を失ってしまった。
この旅の最中に他に何か役に立つ事を探してみるか。
「そういえばアレナは雑用のほとんどをメイドに任せていたんだっけ?」
「妻も屋敷の中では使用人達が世話をしていました。」
「「はぁ…」」
まぁこんな感じで3日目が過ぎようとしていた夜…居間では俺が作った料理を皆が食べていた。
「私も料理を覚えてみたいですね。」
「アヴェルユージェンは調味料を覚える事から先にしないとな。 どんな料理も味付けが失敗したら台無しになるからな!」
アヴェルユージェンは何というか…包丁の扱いには長けていた。
ぶつ切りや千切りや微塵切りも卒なくこなし、教えた調理法は問題なくこなしていたのだが…問題は味付けの酷さだった。
今迄に調味料という物を知らずに生きていた為に、調味料という物が全て同じ物だと思っている節があって…肉料理に砂糖を振りかけていた。
味覚は人それぞれ…と言いたいところだったが、その肉を口に入れたアヴェルユージェンは吐き出していた。
どう考えても味が合うとは思わなかった。
女子2人は…言うまでもなく役に立つ事はなかった。
それどころか調味料を組み合わせて毒物を作り出していた。
調味料のさしすせその5種類で、どうやって毒物が出来たのかが謎だった。
なので女子2人には厨房に立つことを一切禁止した。
まぁ、女子2人の役目は国王に面会して話がスムーズに通る為の役割があるから、別に家事で役に立たなくても構わないんだが。
女の子の手料理…密かに憧れていたんだけどな。
そして就寝して翌日…馬車で移動していると、俺達はある団体に出くわした。
盗賊…という類ではなく、村人の集団みたいだった。
アヴェルユージェンが俺のいる運転席に来て言った。
この馬車が全く揺れが少ない理由は車輪にあった。
…といっても、普通の馬車に使われている車輪では無くて、この馬車の車輪には大型トラック用のタイヤを履いているからだった。
しかも8つのタイヤで凹凸がある道でも、揺れも無くスムーズに進めていた。
「アヴェルユージェン、別に俺に付き合わなくても良いんだぞ。 交代はまだ先の筈だし?」
「いや、妻がアレナ様とリバーシで対戦しているのでね。 最初は見ていたのですが…」
「まぁ、見るだけというのもつまらないよな?」
俺達は王都コーネリアから出発して3日経った。
道中に何度か魔物の襲撃があったが、俺だけで撃退していたのだった。
そして食事の時間になると…俺が全員の分を作る羽目になっていた。
まず、アレナは料理を作った事がない…というより王族の料理は全てシェフ任せなので厨房に立った事すらない。
魔族領では貧困のために、野菜は丸かじりで魚を火は通すが調味料に類は一切使用しないという。
なので必然的に俺の役割というか、負担がかなり多くなった。
これだとミンフィーリアとアレナは何のために着いてきたのかがよく分からなかった。
アヴェルユージェンだけは料理が出来ない代わりに馬車の操縦を替わったりしてもらっていた。
流石に俺とアヴェルユージェンだけが働くのは割に合わん。
なのでミンフィーリアとアレナには馬車内の掃除をやらせたのだが…開始1分もしないうちに悲鳴と共に何かが割れた音がしてきた。
まぁ、やった事がないのだろうから…このまま見守ってやろうとしたら、また大音量で何かが割れた音がしてから悲鳴が上がってきた。
アレナとの結婚はやっぱ早まったのだろうか…クーリングオフという考えを本気で思っていた。
それ以降は馬車内のあらゆる物が破壊されたのを修復し、2人には役割を与えない事にした。
特別な用事がない限りは2人には物を頼まなかった。
なので2人には居間で大人しくゲームをしてもらう事にした。
「ヒカル殿、妻が申し訳ありません!」
「いや…」
流石の俺も言葉を失ってしまった。
この旅の最中に他に何か役に立つ事を探してみるか。
「そういえばアレナは雑用のほとんどをメイドに任せていたんだっけ?」
「妻も屋敷の中では使用人達が世話をしていました。」
「「はぁ…」」
まぁこんな感じで3日目が過ぎようとしていた夜…居間では俺が作った料理を皆が食べていた。
「私も料理を覚えてみたいですね。」
「アヴェルユージェンは調味料を覚える事から先にしないとな。 どんな料理も味付けが失敗したら台無しになるからな!」
アヴェルユージェンは何というか…包丁の扱いには長けていた。
ぶつ切りや千切りや微塵切りも卒なくこなし、教えた調理法は問題なくこなしていたのだが…問題は味付けの酷さだった。
今迄に調味料という物を知らずに生きていた為に、調味料という物が全て同じ物だと思っている節があって…肉料理に砂糖を振りかけていた。
味覚は人それぞれ…と言いたいところだったが、その肉を口に入れたアヴェルユージェンは吐き出していた。
どう考えても味が合うとは思わなかった。
女子2人は…言うまでもなく役に立つ事はなかった。
それどころか調味料を組み合わせて毒物を作り出していた。
調味料のさしすせその5種類で、どうやって毒物が出来たのかが謎だった。
なので女子2人には厨房に立つことを一切禁止した。
まぁ、女子2人の役目は国王に面会して話がスムーズに通る為の役割があるから、別に家事で役に立たなくても構わないんだが。
女の子の手料理…密かに憧れていたんだけどな。
そして就寝して翌日…馬車で移動していると、俺達はある団体に出くわした。
盗賊…という類ではなく、村人の集団みたいだった。
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