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第一章 魔王軍討伐編
第六話 面倒事…
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「父様、違うんです!」
「お父様、違います!」
アレフとアレナは連行されて行った俺を弁護するべく…国王の前で進言した。
まぁ…あの会話を外の扉越しで聞いていれば、王子を脅迫していると取れる風に聞こえたみたいだ。
「指揮官である王子は死にました…」
こんな事を聞いていたら、暗殺するものではないかと疑われてもおかしくはない。
「では何をしていて息子を殺害しようとしていたんだ?」
「人聞きが悪いな、俺は元の世界の遊具を持ちだして王子と王女と遊んでいただけだ。」
俺は収納魔法からチェスを取り出して説明した。
「これはチェスと言って、自分がキング…つまり王となって配下を動かして相手の王を討ち取るために戦略を巡らせて遊ぶ遊具だよ。 王子は俺にキングを奪われたので、「指揮官である王子は死にました。」と言ったら、その言葉を聞いた騎士達が勝手に勘違いしたという訳だ。」
「お主は与えた猶予の時間の中で遊んでいたのか?」
「色々話を聞いてな、第一王子は武の王子という話で武器を持って魔王軍と戦っていたが、アレフ王子は知の王子という話で戦略を得意とするという話だったから、遊具だが知略を巡らせて遊ぶ物でどれ程の物かと確かめさせて貰っていたんだ。」
「そうなんですよ父様、これは遊具には違いがありませんが…遊具と言っても遊びでやる物ではなく戦略が必要となる物なので。」
アレフは負けた所為からなのか、まだまだ遊び足りない…もとい、戦略を学ぶ為に奪われたり休みを潰されまいと必死に国王に説得していた。
国王は顎に手を当てながらチェス盤を眺めていた。
「国王もやりたいのですか?」
「興味はあるが…」
それを聞いたアレフは国王に駒の動かし方の説明をした。
国王ともなれば知識は豊富な為に、駒の動かし方をすぐに理解した。
そしてチェスを開始して…数十分後。
「無能な指揮官である王は死にました。」
「ぐぅぉぉぉ…」
…という結果になった。
「無能とは…少し酷くは無いだろうか?」
「配下を無駄死にさせて、指揮官である王が打ち取られておいて…無能と呼ばずに何て呼べば?」
「しかし、配下も我には大事な部下であり…」
「これは所詮遊具の駒で、別に打ち取られても実際に配下が死ぬ訳ではありません。」
「それは分かっているのだが…」
俺は元の世界でもチェスが強いという訳ではなかった。
それでも王族の2人には圧勝出来ていた。
「これで先程の言葉は誤解という事は理解して貰いましたか?」
「う…うむ。 これは中々に面白いものだな!」
アレフを見ると、やりたそうにウズウズしている様だった。
すると国王はもう1つの遊具であるリバーシにも目を付けた。
国王の目線が気になったアレナはリバーシのやり方を説明し、次はリバーシでの対戦をする事になった。
この王族達は負けるのがそんなに嫌なのだろうか?
まぁ負ければ悔しいのは違いないが、俺の罪は許されたのかを聞きたかった。
なのでリバーシ…オセロについては本気を出す事にした。
俺はチェスはあまり強くは無かったが、リバーシでは学校内では最強だった。
なので…リバーシ盤が全て埋まる前に早々に決着を付けた。
「う…うむ、これも中々に面白いものだな。 だが所詮は遊具だ。」
「いるんですよね、負けた言い訳に遊びだからと言って逃げる人が…」
「うぐっ!」
これに関してもアレナがやりたそうな顔をしていた。
まぁ、そんなこんなで…俺の事は誤解だという事が解って無罪放免となった。
…なのだが、これだと残りの6日間はアレフやアレナの事が反故になってしまうと感じたので、俺は国王にこう進言した。
「残り6日間は約束通りに一緒に過ごしていても構いませんよね?」
「それは遊具で遊ぶという事なら看過出来兼ねるが…?」
「遊具で遊ぶ…というのは間違っておりませんが、これには理由があるのですよ。」
「ふむ?」
「アレフ王子には戦略の強化としてチェスの対戦をしていき、俺を倒せる程になって貰います。」
「それをしたところで何か得られる物があるのか?」
「俺は元の世界では別にチェスが強かった訳ではありませんが、そんな俺にすら勝てないのなら魔王軍との戦いで大した戦略も立てられずに配下や部下をみすみす死なせる様な事をなさるのは愚行でしょうから…」
「確かにな。」
「このチェスという遊具は、要は腹の探り合いの様な物なので…数をこなしていけば新たな戦略を立てられるカギとなり確実な勝利を出来ると思うのですよ。」
「確かに戦略が必ずしも功を奏するという事は無いからな。 ならリバーシはどう説明する?」
「リバーシに関しては…アレナ王女の嫁ぎ先に持って行くという事である程度の印象が良くなると思われます。 嫁ぎ先は辺境の…古い習慣を重んずる所なのでしょう?」
「まぁ、そういった場所だが…?」
「その様な場所では遊具はおろか、楽しみすら大してないのかと思われます。」
「それで、アレナにどう関係する?」
「アレナ王女様にもある程度の数をこなして戴き、ある程度の強さを身に付けて戴きたいと思っています。 自分の持ち込んだ遊具で簡単に負ける様ではそれこそ足元を見透かされますからね。」
俺は残り6日程度だが、休ませるという名目を元に俺も遊びたいという意思を伝えた。
別にこのまますぐに魔王退治に出発しても良いのだが、大した関係も築かずに魔王を退治した所で感謝はされても互いに喜びを分かち合うという者がいないのも寂しいからな。
それに俺は魔王を退治した所で元の世界に戻れる訳ではないし、死ぬまでこの世界で暮らしていかないといけない訳だから…より多くの縁や絆を求めてもバチは当たらないはずだ。
さて、こう話しては見たが…国王は首を縦に振るだろうかねぇ?
「お父様、違います!」
アレフとアレナは連行されて行った俺を弁護するべく…国王の前で進言した。
まぁ…あの会話を外の扉越しで聞いていれば、王子を脅迫していると取れる風に聞こえたみたいだ。
「指揮官である王子は死にました…」
こんな事を聞いていたら、暗殺するものではないかと疑われてもおかしくはない。
「では何をしていて息子を殺害しようとしていたんだ?」
「人聞きが悪いな、俺は元の世界の遊具を持ちだして王子と王女と遊んでいただけだ。」
俺は収納魔法からチェスを取り出して説明した。
「これはチェスと言って、自分がキング…つまり王となって配下を動かして相手の王を討ち取るために戦略を巡らせて遊ぶ遊具だよ。 王子は俺にキングを奪われたので、「指揮官である王子は死にました。」と言ったら、その言葉を聞いた騎士達が勝手に勘違いしたという訳だ。」
「お主は与えた猶予の時間の中で遊んでいたのか?」
「色々話を聞いてな、第一王子は武の王子という話で武器を持って魔王軍と戦っていたが、アレフ王子は知の王子という話で戦略を得意とするという話だったから、遊具だが知略を巡らせて遊ぶ物でどれ程の物かと確かめさせて貰っていたんだ。」
「そうなんですよ父様、これは遊具には違いがありませんが…遊具と言っても遊びでやる物ではなく戦略が必要となる物なので。」
アレフは負けた所為からなのか、まだまだ遊び足りない…もとい、戦略を学ぶ為に奪われたり休みを潰されまいと必死に国王に説得していた。
国王は顎に手を当てながらチェス盤を眺めていた。
「国王もやりたいのですか?」
「興味はあるが…」
それを聞いたアレフは国王に駒の動かし方の説明をした。
国王ともなれば知識は豊富な為に、駒の動かし方をすぐに理解した。
そしてチェスを開始して…数十分後。
「無能な指揮官である王は死にました。」
「ぐぅぉぉぉ…」
…という結果になった。
「無能とは…少し酷くは無いだろうか?」
「配下を無駄死にさせて、指揮官である王が打ち取られておいて…無能と呼ばずに何て呼べば?」
「しかし、配下も我には大事な部下であり…」
「これは所詮遊具の駒で、別に打ち取られても実際に配下が死ぬ訳ではありません。」
「それは分かっているのだが…」
俺は元の世界でもチェスが強いという訳ではなかった。
それでも王族の2人には圧勝出来ていた。
「これで先程の言葉は誤解という事は理解して貰いましたか?」
「う…うむ。 これは中々に面白いものだな!」
アレフを見ると、やりたそうにウズウズしている様だった。
すると国王はもう1つの遊具であるリバーシにも目を付けた。
国王の目線が気になったアレナはリバーシのやり方を説明し、次はリバーシでの対戦をする事になった。
この王族達は負けるのがそんなに嫌なのだろうか?
まぁ負ければ悔しいのは違いないが、俺の罪は許されたのかを聞きたかった。
なのでリバーシ…オセロについては本気を出す事にした。
俺はチェスはあまり強くは無かったが、リバーシでは学校内では最強だった。
なので…リバーシ盤が全て埋まる前に早々に決着を付けた。
「う…うむ、これも中々に面白いものだな。 だが所詮は遊具だ。」
「いるんですよね、負けた言い訳に遊びだからと言って逃げる人が…」
「うぐっ!」
これに関してもアレナがやりたそうな顔をしていた。
まぁ、そんなこんなで…俺の事は誤解だという事が解って無罪放免となった。
…なのだが、これだと残りの6日間はアレフやアレナの事が反故になってしまうと感じたので、俺は国王にこう進言した。
「残り6日間は約束通りに一緒に過ごしていても構いませんよね?」
「それは遊具で遊ぶという事なら看過出来兼ねるが…?」
「遊具で遊ぶ…というのは間違っておりませんが、これには理由があるのですよ。」
「ふむ?」
「アレフ王子には戦略の強化としてチェスの対戦をしていき、俺を倒せる程になって貰います。」
「それをしたところで何か得られる物があるのか?」
「俺は元の世界では別にチェスが強かった訳ではありませんが、そんな俺にすら勝てないのなら魔王軍との戦いで大した戦略も立てられずに配下や部下をみすみす死なせる様な事をなさるのは愚行でしょうから…」
「確かにな。」
「このチェスという遊具は、要は腹の探り合いの様な物なので…数をこなしていけば新たな戦略を立てられるカギとなり確実な勝利を出来ると思うのですよ。」
「確かに戦略が必ずしも功を奏するという事は無いからな。 ならリバーシはどう説明する?」
「リバーシに関しては…アレナ王女の嫁ぎ先に持って行くという事である程度の印象が良くなると思われます。 嫁ぎ先は辺境の…古い習慣を重んずる所なのでしょう?」
「まぁ、そういった場所だが…?」
「その様な場所では遊具はおろか、楽しみすら大してないのかと思われます。」
「それで、アレナにどう関係する?」
「アレナ王女様にもある程度の数をこなして戴き、ある程度の強さを身に付けて戴きたいと思っています。 自分の持ち込んだ遊具で簡単に負ける様ではそれこそ足元を見透かされますからね。」
俺は残り6日程度だが、休ませるという名目を元に俺も遊びたいという意思を伝えた。
別にこのまますぐに魔王退治に出発しても良いのだが、大した関係も築かずに魔王を退治した所で感謝はされても互いに喜びを分かち合うという者がいないのも寂しいからな。
それに俺は魔王を退治した所で元の世界に戻れる訳ではないし、死ぬまでこの世界で暮らしていかないといけない訳だから…より多くの縁や絆を求めてもバチは当たらないはずだ。
さて、こう話しては見たが…国王は首を縦に振るだろうかねぇ?
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