異世界転移の特典はとんでも無いチートの能力だった。俺はこの能力を極力抑えて使わないと、魔王認定されかねん!

アノマロカリス

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第一章 魔王軍討伐編

第四話 面会と勉強…

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 「一体何なんだこの部屋は‼」

 初めて見た奴ならそう叫ぶだろうな、この部屋はもはや牢屋とは呼べない位に設備が充実していたからだ。

 「やっとここから出られるのか、なら…」

 俺は牢屋の中にある家具を収納魔法に放り込んだ。

 「魔族とはこの様な能力を持つ物なのか⁉」

 「俺は魔族では無いですよ。」

 「その黒髪をどう説明する!その黒髪は魔族特有の…」

 「俺の名はヒカルと言って、この世界の神に魔王を討伐する使命を帯びて異なる世界からやって来た召喚者ですよ。」

 「何だと⁉ その話が本当なら…すぐに其処から出て国王陛下に謁見を!」

 「…と思ったんですが、魔族呼ばわりされた挙句…牢屋に放り込まれて1週間以上も放ったらかされたので、ここから出られても魔王討伐をするかどうかは考えさせてほしいですね。」

 「そ…それに関しては本当に申し訳なかった! 謝罪も兼ねて是非国王陛下の元へ‼」

 俺は騎士に連れられて王が待つ玉座の間に案内された。

 そこには国王と王妃と…俺と同じ年位の王子や王女が座っていた。

 すると俺を連れて来た騎士が国王の方に近寄って行き、俺を見ながら話をしている様だった。

 何を話していたかまでは分からなかったが、国王の表情が強張ってるところを見ると…何となく想像が付いた。

 「其方が…絶対神に使われし魔王を討伐する事を定められた異世界人か!」

 「最初はそう思っていたんだけどな、この城の騎士達は俺を見るなり魔族と言い出した挙句、牢屋に放り込まれて1週間以上も顔を出さなかったので、正直言って魔王討伐は少し考えさせてほしい所だ。」

 「その事については大変申し訳なかった!」

 「謝罪は大事だが…まさかそれだけで済まそうとしている訳じゃないよな?」

 「な…何が望みだ?」

 …と持ち掛けては見た物の、これと言って欲しい物は無い。

 大抵のものは創り出そうと思えば創り出せるし…

 俺は周囲を見ると、俺と同じ年頃である王女と目が合った。

 「良し決まった!」

 「申して見よ…」

 「そこにいる王女様を1晩貸してくれ。」

 「な、何だと⁉」

 国王は顔を真っ赤にして憤っている感じだった。

 あ…誤解をさせてしまったか!

 この世界では1晩貸せという事は、良からぬ事を前提の話だと勘違いさせたか?

 「誤解の無いように言っておくが…別に王女様に手を出そうという話じゃない! この世界の事を詳しく聞く為に話し相手になって貰いたいだけだ。 俺はこの世界では無学なのでな、何処に何があって魔王の居城が何処かもわからんからな!」
 
 「なるほどそういう事か…なら城の中により詳しい者に相手をさせようじゃないか!」

 「それは爺さんとかじゃないだろうな? 勘弁してくれよ、狭い牢屋の中で1週間以上も閉じ込められて置いて、出て来たら爺さんと話をさせようなんて…俺は同世代の子と話がしたいんだよ。」

 「ヒカル殿の事は会って間もないから信じられるかがな…」

 「そもそもそっちが1週間以上も接触してこなかったのが原因だろう? 心配ならそこの王子も一緒に…という話ならどうだ?」

 「そういう事なら…まぁ良いだろう。」

 まぁ、神から使わされた異世界人とはいえ…大事な娘を男と2人きりにするのは気が気じゃないよな?

 別にやましい事をする訳ではないんだがな。

 「では、1晩という事で宜しいな!」

 「いや、1週間くれ!」

 「お主…先程と言っている事が違わんか?」

 「よくよく考えてみたら1晩でこの世界の全てが解る程、この世界は狭いのか?」

 まぁ、1週間も別にいらないんだけどな。

 この世界の知識を蓄えるだけなら1日か2日もあれば事足りる。

 それ以外は…適当な話をする位なら問題無いだろうしな。

 俺と王子と王女は、国王が用意してくれた部屋に移動して早速この世界についての知識を教えてもらう事になった。

 この世界には5つの大陸がある事、それぞれには城があり友好国という事。

 更には世界通貨や、どういった種族がいるか等も教えて貰った。

 王子が解らない事に関しては王女が答え、王女が解らない事に関しては王子が答えるという感じで進んで行った結果…たった1日で事が終わってしまった。

 「ヒカル様、これ以上教えられる事はありませんが…」

 「王子や王女も翌日から何かあるのか?」

 「僕は雑務や雑用があり、妹は…王族なのでちゃんとした休みとかがある訳では無くて。」

 「たまにはゆっくりとしたいですわね。 今日の事は私の知る範囲内の事だったので、いつもしている雑務に比べたら遥かに楽な物でしたし…」

 「なら、残り6日間は俺に付き合ってくれよ。 そうすれば雑務から開放されるだろ?」

 「それはありがたい申し出ですね、では残りの6日間を宜しくお願いします。」

 「あぁ、宜しくな! 王子と王女様…そういえば名前を聞きそびれていたな?」

 「そういえばヒカル様の名前だけ窺っていて僕等の名前…というか自己紹介をしていませんでしたね。 僕の名は…」
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