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最終章
第七話 国王陛下との謁見
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私達三人は、王城の中に入ってから騎士に先導されて謁見の間に向かって廊下を歩いていた。
そして謁見の間の扉の前に着くと先導していた騎士は扉前にいる騎士に話をした。
だけど現在謁見の間では別な来賓の方々との謁見の最中で、私達は謁見の間の横にある待機室の方に案内された。
その中では騎士は入って来れなかった為に、私達はある話をしようと思っていた。
「とりあえず…遮音結界! これで堂々と話が出来る様になるわ。」
「リア師匠はこんな魔法もお使いになられるのですね。」
「それでお姉ちゃん、遮音結界をしなければならない程の内緒話って?」
「そうですね、迎えの馬車の中でも何か考えている節があって何も仰らなかったので…」
「あの時は何故私達が呼ばれたのかが気になっていてね、てっきりグランマが挨拶した後だから…孫である私とルーナリアを呼び出して会いたいとばかり思っていたんだけど…」
「お姉ちゃんの中には他にも何か思惑があると踏んでいるんだね?」
「渡された召喚状にグランマの事は一切書かれていなかった事を考えると、グランマがいない間に私達を縛り付け様とする何かをするんじゃないかと取れてしまってね。」
ウルディラーンは1回手を叩いた。
「なるほど、お二人をこの国に留めさせる為にですか!」
「留めさせる為?」
「そうですルーナ、世界初のポーション製作者がこの王国にいるのは非常に需要があります。 でもリア師匠はこの王国で商いを行っていますが、この王国出身という訳ではない。 なので下手な横槍が入ってこの王国から去られると物凄い痛手になりますからね。」
「じゃあ、私達を縛り付ける方法だと何が考えられるの?」
「テルシェリア王国で経験あるでしょ? この国の王子と婚約をさせる方法を取って来ると思うわ。」
ベルシュナーデ王国の王子は二人います。
第一王子は私より少し年上の20歳で、第二王子は16歳で成人になったばかりだった。
「そうなると…前もって手を打っておかないといけないわね?」
私はウルディラーンを見ると、ルーナリアもウルディラーンを見た。
「な…何でしょうか?」
「ウルディは私とルーナリアを貰ってくれないかな?」
「はい?…って、あぁ~そういう事ですか! 本気…という訳ではないんですよね?」
「そう取ってもらっても良いけどね…」
「え?」
「どういう事、お姉ちゃん?」
「1番の目的は先方から私に婚約者を仕向ける事だけど、これで私だけウルディと…だけだとフリーのルーナリアが次に狙われるだろうから、私とルーナリアの二人がウルディの婚約者という事にすれば?」
「魔皇国は一夫多妻制がありますからね、これが平民なら難癖付けて別れさせられるかもしれませんが…魔皇国の皇子ともなれば、例え大国のベルシュナーデ王国と言えども簡単には手を出せないという事になりますからね。」
「でもお姉ちゃん、その話は確実に決まった話ではないよね?」
「私は高い確率でその話が来ると思っている。 だからその為に前もって手を打ったのよ。」
「僕もそう思いますね。 グランマーザ様がいらっしゃる前ならその様な話はまずないでしょうけど、グランマーザ様がこの王国の国王に挨拶をする際に、恐らくリア師匠との関係を話されている事を考えると…ポーション製作者を留めさせる為とディスガルディア共和国とのパイプを繋ぐ為に行動を起こすでしょうから。」
「だからこのタイミングで召喚状が店に来たんだね。」
そんな話をしていると、扉がノックされる音がしたので私達の番が回って来た。
私達は待機室から出て謁見の間の扉が開くと、玉座まで続く赤い絨毯の上を通ってから跪いた。
「お初にお目に掛かります! バーンシュタット魔法道具店・店主のレオナリア・バーンシュタットです。」
「同じく、ルーナリア・バーンシュタットです。」
「魔皇国ヴァングランド・第四皇子のウルディラーン・テルド・グレイタスフィールドと申します。」
「面を上げよ!」
私達は宰相に言われて顔を上げると、そこには40代くらいで金髪の王冠を被った逞しい体格の男が座っていた。
年齢的に見れば、テルシェリア王国の国王陛下と同じ位だが…威厳の強さはベルシュナーデ王国の国王陛下の方が強く感じた。
「本来ならばもう少し早くに面会をしたいと思っていたのだが…」
「仕方ありません、ポーション販売をしている店とは言っても、大商会という訳ではなく小さなお店ですので…」
「そう言って貰えると有り難い。」
それからの話し合いは、グランマが国王に会いに来て話している内に私の店の事が話題に上がっていたという事だった。
そして私とルーナリアがグランマの血縁者という話も…
そこで国王はディスガルディア共和国との関係をより深く結ぶ為に、こうして私達に召喚状を寄越して会いに越させたと。
……ここまでは予想していた通りだった。
話題は次に移行して、思っていた展開の話に移ろうとしていた。
国王陛下は脇にいた第一王子と第二王子に挨拶をさせた。
「レオナリア殿、其方を我が息子達と…」
「申し訳ありませんが、謹んでお断りさせて致します!」
私は国王陛下の話を遮って断りを入れた所為で面を喰らった様な表情をしていた。
「まだ全てを話した訳では無いのだが…?」
「息子さん達を紹介するという時点で、私の婚約者に推したいという話でしょう?」
「まぁ、そういう訳なのだが…」
「私はウルディラーンと婚約をしている身です。 ですので、国王陛下のご期待には沿えません。」
「ふむ…ならば、妹君のルーナリア嬢は…」
「私もお断り致しますわ、私も姉同様にウルディラーン様の婚約者の1人でもありますので…」
「な、なんだと⁉」
国王陛下はかなり焦った表情をしていた。
ベルシュナーデ王国では、一夫一妻で側室などを貰い受けるのは禁止されているからだ。
一部の貴族の中では、愛人という形で囲っている者もいるらしいが…バレれば当然の如く罪となって罰せられる。
だから私が無理でも妹なら…と考えていたみたいだけど、事前に打ち合わせをしていたのが功を奏した。
「だが…妻以外の側室など、揉める原因に発展するとは思わないか?」
「そんな心配は一切ありません。 私とルーナリアはテルシェリア王国で子爵家にいた頃は、姉妹との接触を禁止されておりました。 数年後にある事が切っ掛けで両親の呪縛が解けて一緒に生活する事が出来ました。 ですがこのまま誰かの元に嫁ぐ事になると妹とは離れ離れになってしまうので、一夫多妻制が認められている魔皇国ヴァングランドの皇子であるウルディラーンに嫁ごうと決めたのです!」
「そ…そうなのか?」
「「はい!」」
私とルーナリアは元気良く返事をした。
「とはいえ…婚約しているからと言ってすぐに結婚をするという訳ではありません。 私とルーナリアはまだまだ研究をしたいとも思っていますし、ウルディラーンには待たせてしまう事になりますが…」
「研究というと、ポーションや化粧品の類か?」
「私自身ポーションを作っておりますが、納得出来た物はほんの一部でまだまだ改良の余地や新たなポーション作成が出来ると確信しております。」
「私もより良い化粧品の開発の為に縛られたくはありませんので…」
私とルーナリアはそう発言すると、国王陛下は頭を悩ませていた。
数分後に国王陛下は顔を上げると、私達に向かって笑みを浮かべた表情をしていた。
「そう言った事情があるのなら仕方がないだろう。」
そう言って話は終わり、私達は帰路に就く事になった。
これで全く問題は無くなった…と思っていたけど、国王陛下が私達に向けた笑みの意味が後になって分かる事になったのだった。
なんというか…諦めが悪いなぁ?
そして謁見の間の扉の前に着くと先導していた騎士は扉前にいる騎士に話をした。
だけど現在謁見の間では別な来賓の方々との謁見の最中で、私達は謁見の間の横にある待機室の方に案内された。
その中では騎士は入って来れなかった為に、私達はある話をしようと思っていた。
「とりあえず…遮音結界! これで堂々と話が出来る様になるわ。」
「リア師匠はこんな魔法もお使いになられるのですね。」
「それでお姉ちゃん、遮音結界をしなければならない程の内緒話って?」
「そうですね、迎えの馬車の中でも何か考えている節があって何も仰らなかったので…」
「あの時は何故私達が呼ばれたのかが気になっていてね、てっきりグランマが挨拶した後だから…孫である私とルーナリアを呼び出して会いたいとばかり思っていたんだけど…」
「お姉ちゃんの中には他にも何か思惑があると踏んでいるんだね?」
「渡された召喚状にグランマの事は一切書かれていなかった事を考えると、グランマがいない間に私達を縛り付け様とする何かをするんじゃないかと取れてしまってね。」
ウルディラーンは1回手を叩いた。
「なるほど、お二人をこの国に留めさせる為にですか!」
「留めさせる為?」
「そうですルーナ、世界初のポーション製作者がこの王国にいるのは非常に需要があります。 でもリア師匠はこの王国で商いを行っていますが、この王国出身という訳ではない。 なので下手な横槍が入ってこの王国から去られると物凄い痛手になりますからね。」
「じゃあ、私達を縛り付ける方法だと何が考えられるの?」
「テルシェリア王国で経験あるでしょ? この国の王子と婚約をさせる方法を取って来ると思うわ。」
ベルシュナーデ王国の王子は二人います。
第一王子は私より少し年上の20歳で、第二王子は16歳で成人になったばかりだった。
「そうなると…前もって手を打っておかないといけないわね?」
私はウルディラーンを見ると、ルーナリアもウルディラーンを見た。
「な…何でしょうか?」
「ウルディは私とルーナリアを貰ってくれないかな?」
「はい?…って、あぁ~そういう事ですか! 本気…という訳ではないんですよね?」
「そう取ってもらっても良いけどね…」
「え?」
「どういう事、お姉ちゃん?」
「1番の目的は先方から私に婚約者を仕向ける事だけど、これで私だけウルディと…だけだとフリーのルーナリアが次に狙われるだろうから、私とルーナリアの二人がウルディの婚約者という事にすれば?」
「魔皇国は一夫多妻制がありますからね、これが平民なら難癖付けて別れさせられるかもしれませんが…魔皇国の皇子ともなれば、例え大国のベルシュナーデ王国と言えども簡単には手を出せないという事になりますからね。」
「でもお姉ちゃん、その話は確実に決まった話ではないよね?」
「私は高い確率でその話が来ると思っている。 だからその為に前もって手を打ったのよ。」
「僕もそう思いますね。 グランマーザ様がいらっしゃる前ならその様な話はまずないでしょうけど、グランマーザ様がこの王国の国王に挨拶をする際に、恐らくリア師匠との関係を話されている事を考えると…ポーション製作者を留めさせる為とディスガルディア共和国とのパイプを繋ぐ為に行動を起こすでしょうから。」
「だからこのタイミングで召喚状が店に来たんだね。」
そんな話をしていると、扉がノックされる音がしたので私達の番が回って来た。
私達は待機室から出て謁見の間の扉が開くと、玉座まで続く赤い絨毯の上を通ってから跪いた。
「お初にお目に掛かります! バーンシュタット魔法道具店・店主のレオナリア・バーンシュタットです。」
「同じく、ルーナリア・バーンシュタットです。」
「魔皇国ヴァングランド・第四皇子のウルディラーン・テルド・グレイタスフィールドと申します。」
「面を上げよ!」
私達は宰相に言われて顔を上げると、そこには40代くらいで金髪の王冠を被った逞しい体格の男が座っていた。
年齢的に見れば、テルシェリア王国の国王陛下と同じ位だが…威厳の強さはベルシュナーデ王国の国王陛下の方が強く感じた。
「本来ならばもう少し早くに面会をしたいと思っていたのだが…」
「仕方ありません、ポーション販売をしている店とは言っても、大商会という訳ではなく小さなお店ですので…」
「そう言って貰えると有り難い。」
それからの話し合いは、グランマが国王に会いに来て話している内に私の店の事が話題に上がっていたという事だった。
そして私とルーナリアがグランマの血縁者という話も…
そこで国王はディスガルディア共和国との関係をより深く結ぶ為に、こうして私達に召喚状を寄越して会いに越させたと。
……ここまでは予想していた通りだった。
話題は次に移行して、思っていた展開の話に移ろうとしていた。
国王陛下は脇にいた第一王子と第二王子に挨拶をさせた。
「レオナリア殿、其方を我が息子達と…」
「申し訳ありませんが、謹んでお断りさせて致します!」
私は国王陛下の話を遮って断りを入れた所為で面を喰らった様な表情をしていた。
「まだ全てを話した訳では無いのだが…?」
「息子さん達を紹介するという時点で、私の婚約者に推したいという話でしょう?」
「まぁ、そういう訳なのだが…」
「私はウルディラーンと婚約をしている身です。 ですので、国王陛下のご期待には沿えません。」
「ふむ…ならば、妹君のルーナリア嬢は…」
「私もお断り致しますわ、私も姉同様にウルディラーン様の婚約者の1人でもありますので…」
「な、なんだと⁉」
国王陛下はかなり焦った表情をしていた。
ベルシュナーデ王国では、一夫一妻で側室などを貰い受けるのは禁止されているからだ。
一部の貴族の中では、愛人という形で囲っている者もいるらしいが…バレれば当然の如く罪となって罰せられる。
だから私が無理でも妹なら…と考えていたみたいだけど、事前に打ち合わせをしていたのが功を奏した。
「だが…妻以外の側室など、揉める原因に発展するとは思わないか?」
「そんな心配は一切ありません。 私とルーナリアはテルシェリア王国で子爵家にいた頃は、姉妹との接触を禁止されておりました。 数年後にある事が切っ掛けで両親の呪縛が解けて一緒に生活する事が出来ました。 ですがこのまま誰かの元に嫁ぐ事になると妹とは離れ離れになってしまうので、一夫多妻制が認められている魔皇国ヴァングランドの皇子であるウルディラーンに嫁ごうと決めたのです!」
「そ…そうなのか?」
「「はい!」」
私とルーナリアは元気良く返事をした。
「とはいえ…婚約しているからと言ってすぐに結婚をするという訳ではありません。 私とルーナリアはまだまだ研究をしたいとも思っていますし、ウルディラーンには待たせてしまう事になりますが…」
「研究というと、ポーションや化粧品の類か?」
「私自身ポーションを作っておりますが、納得出来た物はほんの一部でまだまだ改良の余地や新たなポーション作成が出来ると確信しております。」
「私もより良い化粧品の開発の為に縛られたくはありませんので…」
私とルーナリアはそう発言すると、国王陛下は頭を悩ませていた。
数分後に国王陛下は顔を上げると、私達に向かって笑みを浮かべた表情をしていた。
「そう言った事情があるのなら仕方がないだろう。」
そう言って話は終わり、私達は帰路に就く事になった。
これで全く問題は無くなった…と思っていたけど、国王陛下が私達に向けた笑みの意味が後になって分かる事になったのだった。
なんというか…諦めが悪いなぁ?
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