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最終章
第五話 狙われたリアーナ・後編
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「貴女は…テレサ?」
「どう? 自分が調子に乗って追い詰められてい行く様は?」
この人の名前はテレサと言って、女性冒険者でうちの客でもあるんだけど…?
自意識過剰で美意識が高く、自分をお嬢様か何かと勘違いしている系の迷惑な客だった。
テレサ曰く…全ての男性は自分の虜であり、テレサの許可がなく勝手に付き合う事が許されないと豪語している困った人だった。
まぁ…見掛けは、いえ…見掛けだけは良いんだけど、どこでそんな勘違いをしているのかが私には全く理解不能だった。
「私は再三に渡って注意して来たのに全て無視して…調子に乗っているみたいだから懲らしめてあげようと思ってね。」
私はテレサに注意された事は一度もない。
店に来る度に睨まれた事は何度かあったけど、注意を受けた事は一度もなかった。
この睨みは…貴族社会の中には良くある行為で、社交界で自分が狙った男性に対して気安く話しかけたりすると上位の貴族令嬢が下位の貴族令嬢に対して圧を掛けて睨むという行為をする事は良くあるという暗黙のルールが存在するんだけど、テレサはソレを実行しているんだろうか?
貴族社会ならいざ知らず…冒険者の世界では良くあるランク上げを阻止する為に他者を威嚇する行為なので、当人が気にしなければ何という事はなかった。
「私もそんなに暇ではないので、要件があるなら話して欲しいのですが…」
「その生意気な態度が鼻に付くと言っているのよ!」
…と言う様な感じで私が話しかけると取り付く島がない位な対応をしてくる。
「一体私の何が不満なんですか?」
「そんな事も分からないの? ねぇ、貴女は馬鹿なの?」
「はぁ…」
私はその場から別の場所に移動しようとすると、テレサはシカとされたと思ったみたいで文句を言いながら着いてきた。
「貴女の文句を聞いている限りだと、ギルの事やソーマの事を言っているのよね? あの2人はもう無関係だからどうでも良いわ…」
「まぁ、それは良いとして…次の問題は貴女の店にいるウルディラーン君よ。」
「ウルディ?」
「彼は明らかに私に好意を示しているのに、そんな彼と親しそうに話している貴女が気に入らないのよ!」
「親しそう…って、同じ店に働いている訳ですし別に普通ですよ、貴女が思っている様な事は何もありませんし?」
好意を示しているって…やっぱり自意識過剰なのかな?
ウルディラーンは接客の仕事をあまりやって来なかったから、愛想が悪くて色々指導した事があった。
それで笑みを作らせる事を教えていたら、クールなイケメンに笑みを浮かべるというスキルを得て女性客のファンが多く増えてリピーターが付いたんだけど…テレサみたいに勘違いする女性客が増えた事も事実なのよねぇ?
「それで結局は私にどうして欲しいのですか?」
「そんな事は決まっているわよ! 貴女にはそれ相応に痛い目に…キャッ!」
私は移動している際にテレサを罠に嵌める為にある場所に誘導した。
その場所は食人植物地帯に誘導したのだった。
その場所に辿り着いたのは良かったんだけど、どうやって食人植物に捕まえて貰うかと考えていたんだけど…テレサは私と話をする時に必ずマウントを取るべく私の前に立つ事をしていたので、その際に地面に伸びている蔦を踏んで絡み取られていったのだった。
「な、何よこれ⁉ ちょっと、見てないで私を助けなさいよ‼」
「何で?」
「何でって…貴女の所為でこんな事になっているのよ‼」
「私は別に何も…それにある程度のランクの冒険者なら、このエリアは足元に気付けないと命取りになるなんて常識でしょ? 馬鹿なの?」
「良いから早く助けなさいよ‼」
「私に痛い目に遭わすなんて言っている人を何故助けないと行けないんですか?」
「私に逆らうとどうなるか分かっているの⁉」
「どうなるかって…奴等に捕食されてドロドロに溶かされた後に養分になるだけで、貴女にそれを回避する術でもあるの?」
「それは嫌~~~~~!!!」
テレサはギャーギャー騒ぎながらも私を罵倒する事は一切やめなかった。
なので私も…傍観しながらテレサがウツボカズラの様な食人植物に捕食されるのを見守っていた。
ところがテレサはウツボカズラに捕食されまいと、口の近くで踏ん張って捕食されるのを拒んでいた。
「往生際が悪い悪いわね…」
「聞こえたわよ‼ 良いから早く助けなさいよ‼」
私は大火球を出現させた。
「ちょっと…何をする気なの⁉」
「貴女を助ける為にこの辺一帯を燃やし尽くそうかと…」
「そんな事をしたら私まで大火傷するでしょ‼」
「なら…」
私は大火球を解除して、大氷塊を出現させた。
「なら、この辺一帯を氷漬けに…」
「それも辞めなさい‼ 他に方法は無いの⁉」
「助ける気が無い人を助けようとしているんだから、少しは妥協してよ。」
「それもなしで…」
助けて貰おうとする相手に我儘だなぁ…?
このまま待っていればいずれは力尽きて捕食されるんだろうけど、私はそこまで待ってるのも面倒なのでツタに緑園流の加護を放った。
するとツタは力を手に入れたのか、力が上がってテレサの抵抗も虚しくウツボカズラに捕食されていった。
これで静かになった…と思っていたけど、捕食されているにも関わらず、中で騒いでいる声が聞こえていた。
私は付き合いきれないと思ってその場を後にした。
こうして一連のお騒がせ騒動は幕を閉じた。
私は本来の採取場所で素材を回収してから店に戻ると、数時間後にテレサが騎士を連れて店にやって来た…のだけれど?
服は半分以上溶けていて、髪もかなり短くなっていて坊主に近かった。
「貴女の所為でこんな姿になったのよ! 貴女には殺人未遂罪と慰謝料を請求するわ‼」
「なら私も…業務妨害罪と恐喝罪と傷害未遂を報告致しますけど?」
「私のこの姿を見て、貴女の主張は通るかしら?」
「私は貴女と違って実務や実績がありますからね、どっちの話を信じるかな?」
テレサが連れて来た騎士達は困惑した様な顔をしていた。
どうせ一方的な主張を言い捲っていたのでしょう。
すると焦りを感じたテレサは、ウルディラーンの元に駆け寄った。
「ウルディラーン君、貴女は私の言う事を信じてくれますわよね?」
「何がどうなっているかは分かりませんが…貴女の主張よりも店長の主張の方が正しいと思いますが?」
「何よ、貴方は愛する私の事よりもこの女の事を信じるっていうの⁉」
ウルディラーンは首を傾げながら不思議そうな顔で私を見て来た。
「僕は貴女の事をお客様以上の感情は持ち合わせてはおりませんが?」
「そんなの嘘よ! 貴方は私に微笑みかけてくれたじゃない‼」
「店長には接客の応対をする際に、相手の目を見て笑みを浮かべて対処しろ…と言われていたので、その通りに言われた接客をしているだけですが?」
「そう言えってあの女に言われたのね⁉」
頭痛くなってきた。
どこまで自分勝手な主張を並び立てるんだろう?
私は騎士達に言った。
「先程の罪状に営業妨害を加えてしょっ引いて貰えませんか?」
「分かりました。」
そうしてテレサは捕まって連行されて行ったのだが、テレサは連行されて行く間も騎士達に散々暴言を吐いていた。
余計な事を言わなければ罪も軽い筈だったのに…
その後…テレサは数々の罪状が明らかになり、冒険者剥奪と国外追放になった。
テレサは私だけではなく、他の冒険者にも同じ様な事をやっていて被害が報告されていたという話だった。
こうしてこのお騒がせな一件は、今度こそ幕を閉じたのだった。
「どう? 自分が調子に乗って追い詰められてい行く様は?」
この人の名前はテレサと言って、女性冒険者でうちの客でもあるんだけど…?
自意識過剰で美意識が高く、自分をお嬢様か何かと勘違いしている系の迷惑な客だった。
テレサ曰く…全ての男性は自分の虜であり、テレサの許可がなく勝手に付き合う事が許されないと豪語している困った人だった。
まぁ…見掛けは、いえ…見掛けだけは良いんだけど、どこでそんな勘違いをしているのかが私には全く理解不能だった。
「私は再三に渡って注意して来たのに全て無視して…調子に乗っているみたいだから懲らしめてあげようと思ってね。」
私はテレサに注意された事は一度もない。
店に来る度に睨まれた事は何度かあったけど、注意を受けた事は一度もなかった。
この睨みは…貴族社会の中には良くある行為で、社交界で自分が狙った男性に対して気安く話しかけたりすると上位の貴族令嬢が下位の貴族令嬢に対して圧を掛けて睨むという行為をする事は良くあるという暗黙のルールが存在するんだけど、テレサはソレを実行しているんだろうか?
貴族社会ならいざ知らず…冒険者の世界では良くあるランク上げを阻止する為に他者を威嚇する行為なので、当人が気にしなければ何という事はなかった。
「私もそんなに暇ではないので、要件があるなら話して欲しいのですが…」
「その生意気な態度が鼻に付くと言っているのよ!」
…と言う様な感じで私が話しかけると取り付く島がない位な対応をしてくる。
「一体私の何が不満なんですか?」
「そんな事も分からないの? ねぇ、貴女は馬鹿なの?」
「はぁ…」
私はその場から別の場所に移動しようとすると、テレサはシカとされたと思ったみたいで文句を言いながら着いてきた。
「貴女の文句を聞いている限りだと、ギルの事やソーマの事を言っているのよね? あの2人はもう無関係だからどうでも良いわ…」
「まぁ、それは良いとして…次の問題は貴女の店にいるウルディラーン君よ。」
「ウルディ?」
「彼は明らかに私に好意を示しているのに、そんな彼と親しそうに話している貴女が気に入らないのよ!」
「親しそう…って、同じ店に働いている訳ですし別に普通ですよ、貴女が思っている様な事は何もありませんし?」
好意を示しているって…やっぱり自意識過剰なのかな?
ウルディラーンは接客の仕事をあまりやって来なかったから、愛想が悪くて色々指導した事があった。
それで笑みを作らせる事を教えていたら、クールなイケメンに笑みを浮かべるというスキルを得て女性客のファンが多く増えてリピーターが付いたんだけど…テレサみたいに勘違いする女性客が増えた事も事実なのよねぇ?
「それで結局は私にどうして欲しいのですか?」
「そんな事は決まっているわよ! 貴女にはそれ相応に痛い目に…キャッ!」
私は移動している際にテレサを罠に嵌める為にある場所に誘導した。
その場所は食人植物地帯に誘導したのだった。
その場所に辿り着いたのは良かったんだけど、どうやって食人植物に捕まえて貰うかと考えていたんだけど…テレサは私と話をする時に必ずマウントを取るべく私の前に立つ事をしていたので、その際に地面に伸びている蔦を踏んで絡み取られていったのだった。
「な、何よこれ⁉ ちょっと、見てないで私を助けなさいよ‼」
「何で?」
「何でって…貴女の所為でこんな事になっているのよ‼」
「私は別に何も…それにある程度のランクの冒険者なら、このエリアは足元に気付けないと命取りになるなんて常識でしょ? 馬鹿なの?」
「良いから早く助けなさいよ‼」
「私に痛い目に遭わすなんて言っている人を何故助けないと行けないんですか?」
「私に逆らうとどうなるか分かっているの⁉」
「どうなるかって…奴等に捕食されてドロドロに溶かされた後に養分になるだけで、貴女にそれを回避する術でもあるの?」
「それは嫌~~~~~!!!」
テレサはギャーギャー騒ぎながらも私を罵倒する事は一切やめなかった。
なので私も…傍観しながらテレサがウツボカズラの様な食人植物に捕食されるのを見守っていた。
ところがテレサはウツボカズラに捕食されまいと、口の近くで踏ん張って捕食されるのを拒んでいた。
「往生際が悪い悪いわね…」
「聞こえたわよ‼ 良いから早く助けなさいよ‼」
私は大火球を出現させた。
「ちょっと…何をする気なの⁉」
「貴女を助ける為にこの辺一帯を燃やし尽くそうかと…」
「そんな事をしたら私まで大火傷するでしょ‼」
「なら…」
私は大火球を解除して、大氷塊を出現させた。
「なら、この辺一帯を氷漬けに…」
「それも辞めなさい‼ 他に方法は無いの⁉」
「助ける気が無い人を助けようとしているんだから、少しは妥協してよ。」
「それもなしで…」
助けて貰おうとする相手に我儘だなぁ…?
このまま待っていればいずれは力尽きて捕食されるんだろうけど、私はそこまで待ってるのも面倒なのでツタに緑園流の加護を放った。
するとツタは力を手に入れたのか、力が上がってテレサの抵抗も虚しくウツボカズラに捕食されていった。
これで静かになった…と思っていたけど、捕食されているにも関わらず、中で騒いでいる声が聞こえていた。
私は付き合いきれないと思ってその場を後にした。
こうして一連のお騒がせ騒動は幕を閉じた。
私は本来の採取場所で素材を回収してから店に戻ると、数時間後にテレサが騎士を連れて店にやって来た…のだけれど?
服は半分以上溶けていて、髪もかなり短くなっていて坊主に近かった。
「貴女の所為でこんな姿になったのよ! 貴女には殺人未遂罪と慰謝料を請求するわ‼」
「なら私も…業務妨害罪と恐喝罪と傷害未遂を報告致しますけど?」
「私のこの姿を見て、貴女の主張は通るかしら?」
「私は貴女と違って実務や実績がありますからね、どっちの話を信じるかな?」
テレサが連れて来た騎士達は困惑した様な顔をしていた。
どうせ一方的な主張を言い捲っていたのでしょう。
すると焦りを感じたテレサは、ウルディラーンの元に駆け寄った。
「ウルディラーン君、貴女は私の言う事を信じてくれますわよね?」
「何がどうなっているかは分かりませんが…貴女の主張よりも店長の主張の方が正しいと思いますが?」
「何よ、貴方は愛する私の事よりもこの女の事を信じるっていうの⁉」
ウルディラーンは首を傾げながら不思議そうな顔で私を見て来た。
「僕は貴女の事をお客様以上の感情は持ち合わせてはおりませんが?」
「そんなの嘘よ! 貴方は私に微笑みかけてくれたじゃない‼」
「店長には接客の応対をする際に、相手の目を見て笑みを浮かべて対処しろ…と言われていたので、その通りに言われた接客をしているだけですが?」
「そう言えってあの女に言われたのね⁉」
頭痛くなってきた。
どこまで自分勝手な主張を並び立てるんだろう?
私は騎士達に言った。
「先程の罪状に営業妨害を加えてしょっ引いて貰えませんか?」
「分かりました。」
そうしてテレサは捕まって連行されて行ったのだが、テレサは連行されて行く間も騎士達に散々暴言を吐いていた。
余計な事を言わなければ罪も軽い筈だったのに…
その後…テレサは数々の罪状が明らかになり、冒険者剥奪と国外追放になった。
テレサは私だけではなく、他の冒険者にも同じ様な事をやっていて被害が報告されていたという話だった。
こうしてこのお騒がせな一件は、今度こそ幕を閉じたのだった。
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