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第五章 悲恋の章

第九話 ルーナリアの遺書…に対してレオナリアのツッコミ

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 《 》はレオナリアの心の声です。


 【レオナリアお姉様、この手紙がお姉様の元に届く頃には私は生きてはいないでしょう。

 都合の良い話に聞こえるかもしれませんが、私はお姉様が羨ましかった。
 《はぁ?》

 お姉様は全てを等しく兼ね揃えていて、私には何も無かった。
 《私は生まれてからすぐに両親から虐待を受けていたわよ!》

 私はそんなお姉様を羨ましいと思うと同時に、疎ましくも思いました。
 《羨ましいなんて絶対に嘘ね、疎ましく思われていたのは本当だったけど》

 そんなお姉様の悲しむ顔を見たくて、意地悪をする為にお姉様の大事な物を奪う行為をしました。
 《貴女は嬉々として色々奪っていったじゃない!》

 そうすれば、お姉様の表情が歪むだろうと思って…
 《ずっと悲しかったわよ》

 初めはお姉様も抵抗はしましたが、次からは元の表情のままで無関心みたいな顔が腹立ちました。
 《嘆いていても仕方ないから心を殺していたのよ。》

 その後も両親に捏造した罪を被せては、お姉様を甚振る両親の背後で泣く姿を見たいと思い実行をしました。
 《ルーナリアは両親の後ろで嘲笑っていたからね。》

 初めの頃は泣いていたお姉様も、いずれはいつもの通りの無表情になり、関心がない様に振る舞っていましたね?
 《ルーナリアの勝ち誇った顔が悔しくて泣いていたのよ。》

 他にも両親の愛を独り占めしたり、お姉様を置いて旅行に出かけたり…
 《両親の愛は初めっから期待してないし、でも…旅行は羨ましく思ったかも。》

 メイド達も操作してお姉様を陥れる様な真似も致しました。
 《両親から食事を与えられなかった時があってもメイド達がコッソリくれていたのに、それがバッタリと無くなったのはルーナリアの所為だったのね‼︎》

 今思えば…何て愚かな事をしたのだろうと深く反省致しております。
 《反省…なんてした事あったかな?》

 私は他の貴族の兄弟や姉妹の様に仲良く過ごして見たかった。
 《これは確かにあったかな? 両親に接触を禁止されていたけど。》

 …なんて今更こんな事を話しても、都合に良い話に聞こえますよね?
 《全く持ってその通りね》

 お姉様、今迄本当にごめんなさい。

 本当は手紙では無くて、直にお伝えしたかった。
 《私も直に会いたかったわ》

 だけど、私の命の灯火はもう間もなく尽きようとしております。

 今世では許しを乞う事も仲良くなる事も出来なかった。

 来世でもしもお姉様と出会う事ができたなら、今度は仲良くして下さいますか?
 《はい?》

 その時は、今世での罪は来世で償いたいと思います。
 《輪廻転生で前世の記憶が残っている訳がないでしょ‼︎》

 お姉様の妹のルーナリア・テールナールより】

 あの子…ポーション関連とか、婚約絡みの事は何も書いていないわね…

 ただ単に抜けていたのか、忘れているのか…?

 それに来世で罪を償うって…なるほど、そう言い訳して逃げるのね。

 今世の罪は今世で償って貰いましょう。

 私はグリモアールに書かれている禁術の項目を目を通した。

 反魂の魔法…膨大な魔力を必要とし、死者を蘇らせる大魔法だ。

 ただし、蘇らせる為には膨大な魔力以外に…その者に対する強い想いも必要だった。

 「待ってなさいルーナリア! 蘇生させてから罪を償わせて上げるわ‼︎」

 こうして…レオナリアはテルシェリア王国に向かう事になった。

 今この段階ではルーナリアに対して、強い憎しみの感情しかなかったのだが?

 ルーナリアの暴行された遺体を見た瞬間に、憐れむ感情が溢れ出して来たのだった。

 果たして…レオナリアの蘇生魔法は成功するのだろうか?
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