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第四章 バーンシュタット魔法道具店 開店
第十二話 久しぶりの何気ない日常
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ティファルさんが店員になってから、私は色々時間が増えた。
彼女が居なくてもディメンションガーデンの使用は出来るけど、魔道具を作る為にはディメンションガーデンの材料では足りず、外から入手をしなければならない。
そこで私はギャレッドさんのパーティーに一時戻って、魔道具用の材料を入手する為に手伝って貰う事にした。
「今回は何を入手するんだい?」
「火龍山の産卵地の…」
「まさか…火龍の子供を攫う気かい?」
「人聞きの悪い事を言わないでよパテット、私が欲しいのは子供じゃなくて卵の殻の方よ。」
私はグリモアールの魔道具の章でどうしても作ってみたい魔道具があったんだけど、それは龍の卵の殻なんだけど、簡単に入手出来るものでは無いし…頼むのも気が引けた。
私にはお店があったから長いこと閉めて冒険に出る事が出来なかった為に、今回のティファルさんが店員になってくれて凄く助かった。
私達は街を出ようと向かっていると、皆の注目を浴びていた。
ギルにレイヴンにソーマ、パテットにメルーファにギャレッドと…このメンバーは結構目立つ。
そんな中で私はというと…?
両脇にギルとレイヴンに挟まれる様な形になっていた。
「何故…こうなったの⁉︎」
右を見ても、左を見てもイケメン…そして周囲にいる女性達からは嫉妬のオーラが渦巻いているのが見えた。
私はギルの取り巻きみたいに1人で歩いていたらまた絡まれるんじゃ無いかと懸念しながら手で頭を押さえた。
するとギルが私が気分を悪くしたと勘違いをして、手袋を外して私の額に手を当てた。
「ギル、なんでも無いわ。」
「いや、明らかに体調が優れなさそうか顔をしていたからな。」
するとレイヴンがギルに手を取ってこう言った。
「ギリッシュ、私達の手は剣を握り戦いの所為で硬いだろう。 熱を測りたいのならこうする方が手っ取り早い。」
そう言ってレイヴンは私の額にレイヴンの額を当てた。
レイヴンの顔が近過ぎてドキッとする。
私は恥ずかしさのあまり…赤面してしまった。
「君達さぁ…リアは男に免疫が無いんだから、そんなに接近したら熱を上げてしまうでしょ。」
「いや私は、この方が手っ取り早いかと…」
「そういう事は建物の中でやりなよ、この場所をよく考えてみろよ。」
レイヴン離れて周囲を見渡した。
私は力が入らずに後ろに倒れそうになると、ギルが手で押さえてくれてから私を抱き上げた。
お姫様抱っこ…そんな感じで抱き抱えられた。
すると周囲の女性達からは、憎悪が混じった悲鳴が響いて来た。
「ギル、流石に恥ずかしいから下ろして欲しいんだけど…」
「体調が悪そうにしているのに下ろせるか! 皆、ここからだとリアの店が近いから一旦戻るぞ。」
皆は一度バーシュタット魔法道具店に戻った。
店に戻った私は部屋までギルが運ぼうとしたのだけど、そこはメルーファが止めた。
「ギル、仮にも女の子の部屋に婚約者でもない貴方が入るのはどうかと思うわよ。 ここは私に任せて下に行っていなさい。」
「あ、あぁ…」
ギルは私をメルーファに任せると階段を降りて行った。
「ごめんねリアーナ、ギルも悪気があった訳じゃ無いんだけど…あの子は天然だから。」
私は立ち上がろうとしたけど、力が入らなくてメルーファに支えられながらやっと立つことが出来た。
「全くギルもレイヴンも…もう少しリアーナに対する扱いを気を付けてほしいわね。」
「私が勝手に変な意識をしただけで…別にあの2人が悪いという訳じゃ。」
「仕方ないでしょう、リアーナは男性にあまり免疫が無さそうだし…」
私はルーナリアと違って男性相手にベタベタ出来る様な図太い神経は持ち合わせていない。
そう考えると私はルーナリアの性格が少し羨ましく感じた。
「リアーナ、本当に大丈夫?」
私はストレージから瓶を取り出すと中身を一気に飲み干した。
「何を飲んだの?」
「気付薬よ、これでもう大丈夫だから…ありがとうメルーファ。」
私は大丈夫と言っているんだけど、念の為という事でメルーファに支えられながら階段を降りた。
すると、パテットが正座させられているギルとレイヴンに大して説教をしていた。
「良いかい、リアーナは普段君達が相手にしている女性達ではなく、まだ子供なんだから…接し方を弁えないとダメじゃないか!」
「済まない…私は普段の女性と接する様に相手をしてしまったな。」
「俺も考え無しだったのは反省しているが…リアより幼い外見のパテットに子供と言われてもなぁ…」
「ほほぅ?」
パテットは一度目を閉じてから再び開けてギルの目を見ると、ギルは地面で丸くなって悶えていた。
私は何が起きたのかと2人に近寄ると、パテットは高笑いをしながらギルの頭を足で踏み出した。
流石に止めた方がいいかと思った…んだけど、ギルは嬉しそうな顔をして悶えていた。
私は何が起きているのか理解が出来なかった。
そしてギルを見ると、普段は見られない姿が信じられずにいた。
「一体ギルはどうしちゃったの⁉︎」
「パテットが魅了を使ったのよねぇ、あの力はこの世界の男やオスなら誰も逆らえないから…」
「魅了って…パテットってバンパネラなの?」
「いえ、サキュバスよ。 サキュバスって妖艶な姿をしていて男性を虜にするんだけど…あの体型だからあまり自分の種族名は言わないのよねぇ…」
そういえば以前にパテットに何の種族なのか聞いた時に、「笑われるから言わない!」って言っていたのはそういう事だったのね?
「あ…あ、あぁ…もっと強く踏み躙って下さい!」
「もっと…って、こんな感じかい‼︎」
「あ…もっと強くても構いません!」
私の知らない…というか、知りたくなかった姿のギルがいる。
こんな姿を他の女性達が見ていたら…一瞬で幻滅しそうだわ。
他の人達を見ると…レイヴンはギルを見ながら怯えた表情をしていたんだけど、やられた事があるのかなぁ?
ギャレッドはティファルさんが用意してくれた食事を何事もない様に食べていた。
ギャレッドの口元に付いたソースをティファルさんがハンカチで拭って見せると、ギャレッドは嬉しそうな表情をしていた。
見た感じ…中々のお似合いだと思った。
ソーマはカウンターでフリッツと話をしている。
私はパテットとギルのやり取りを見て言った。
「それにしても、これはいつまで続くんだろう?」
「パテットが飽きる迄続くわね…パテットって子供扱いをされるのを何よりも嫌うからね。」
実際の見た目が子供なのだから仕方が無いと思う。
こんな感じでやり取りはしばらく続き…龍の卵の殻を取りにいく予定が無くなってしまった。
まぁ、たまにはこんな日があっても良いかな?
~~~~~店から少し離れた場所~~~~~
そこにはフードを被って身を潜めていた者達が数人、バーンシュタット魔法道具店の様子を伺っていた。
「先程、瞬殺の男に抱き上げられていた赤い髪の女が今回のターゲットだ。」
「あの女を拉致すれば良いんだな?」
「あぁ、無事に連れて来たら報酬は約束しよう。」
何やらリアーナの知らない所でこんな話がされていたのだけれど、これから何が起きるのか?
そしてリアーナはどうなってしまうのだろうか?
物語は第五章に続きます。
彼女が居なくてもディメンションガーデンの使用は出来るけど、魔道具を作る為にはディメンションガーデンの材料では足りず、外から入手をしなければならない。
そこで私はギャレッドさんのパーティーに一時戻って、魔道具用の材料を入手する為に手伝って貰う事にした。
「今回は何を入手するんだい?」
「火龍山の産卵地の…」
「まさか…火龍の子供を攫う気かい?」
「人聞きの悪い事を言わないでよパテット、私が欲しいのは子供じゃなくて卵の殻の方よ。」
私はグリモアールの魔道具の章でどうしても作ってみたい魔道具があったんだけど、それは龍の卵の殻なんだけど、簡単に入手出来るものでは無いし…頼むのも気が引けた。
私にはお店があったから長いこと閉めて冒険に出る事が出来なかった為に、今回のティファルさんが店員になってくれて凄く助かった。
私達は街を出ようと向かっていると、皆の注目を浴びていた。
ギルにレイヴンにソーマ、パテットにメルーファにギャレッドと…このメンバーは結構目立つ。
そんな中で私はというと…?
両脇にギルとレイヴンに挟まれる様な形になっていた。
「何故…こうなったの⁉︎」
右を見ても、左を見てもイケメン…そして周囲にいる女性達からは嫉妬のオーラが渦巻いているのが見えた。
私はギルの取り巻きみたいに1人で歩いていたらまた絡まれるんじゃ無いかと懸念しながら手で頭を押さえた。
するとギルが私が気分を悪くしたと勘違いをして、手袋を外して私の額に手を当てた。
「ギル、なんでも無いわ。」
「いや、明らかに体調が優れなさそうか顔をしていたからな。」
するとレイヴンがギルに手を取ってこう言った。
「ギリッシュ、私達の手は剣を握り戦いの所為で硬いだろう。 熱を測りたいのならこうする方が手っ取り早い。」
そう言ってレイヴンは私の額にレイヴンの額を当てた。
レイヴンの顔が近過ぎてドキッとする。
私は恥ずかしさのあまり…赤面してしまった。
「君達さぁ…リアは男に免疫が無いんだから、そんなに接近したら熱を上げてしまうでしょ。」
「いや私は、この方が手っ取り早いかと…」
「そういう事は建物の中でやりなよ、この場所をよく考えてみろよ。」
レイヴン離れて周囲を見渡した。
私は力が入らずに後ろに倒れそうになると、ギルが手で押さえてくれてから私を抱き上げた。
お姫様抱っこ…そんな感じで抱き抱えられた。
すると周囲の女性達からは、憎悪が混じった悲鳴が響いて来た。
「ギル、流石に恥ずかしいから下ろして欲しいんだけど…」
「体調が悪そうにしているのに下ろせるか! 皆、ここからだとリアの店が近いから一旦戻るぞ。」
皆は一度バーシュタット魔法道具店に戻った。
店に戻った私は部屋までギルが運ぼうとしたのだけど、そこはメルーファが止めた。
「ギル、仮にも女の子の部屋に婚約者でもない貴方が入るのはどうかと思うわよ。 ここは私に任せて下に行っていなさい。」
「あ、あぁ…」
ギルは私をメルーファに任せると階段を降りて行った。
「ごめんねリアーナ、ギルも悪気があった訳じゃ無いんだけど…あの子は天然だから。」
私は立ち上がろうとしたけど、力が入らなくてメルーファに支えられながらやっと立つことが出来た。
「全くギルもレイヴンも…もう少しリアーナに対する扱いを気を付けてほしいわね。」
「私が勝手に変な意識をしただけで…別にあの2人が悪いという訳じゃ。」
「仕方ないでしょう、リアーナは男性にあまり免疫が無さそうだし…」
私はルーナリアと違って男性相手にベタベタ出来る様な図太い神経は持ち合わせていない。
そう考えると私はルーナリアの性格が少し羨ましく感じた。
「リアーナ、本当に大丈夫?」
私はストレージから瓶を取り出すと中身を一気に飲み干した。
「何を飲んだの?」
「気付薬よ、これでもう大丈夫だから…ありがとうメルーファ。」
私は大丈夫と言っているんだけど、念の為という事でメルーファに支えられながら階段を降りた。
すると、パテットが正座させられているギルとレイヴンに大して説教をしていた。
「良いかい、リアーナは普段君達が相手にしている女性達ではなく、まだ子供なんだから…接し方を弁えないとダメじゃないか!」
「済まない…私は普段の女性と接する様に相手をしてしまったな。」
「俺も考え無しだったのは反省しているが…リアより幼い外見のパテットに子供と言われてもなぁ…」
「ほほぅ?」
パテットは一度目を閉じてから再び開けてギルの目を見ると、ギルは地面で丸くなって悶えていた。
私は何が起きたのかと2人に近寄ると、パテットは高笑いをしながらギルの頭を足で踏み出した。
流石に止めた方がいいかと思った…んだけど、ギルは嬉しそうな顔をして悶えていた。
私は何が起きているのか理解が出来なかった。
そしてギルを見ると、普段は見られない姿が信じられずにいた。
「一体ギルはどうしちゃったの⁉︎」
「パテットが魅了を使ったのよねぇ、あの力はこの世界の男やオスなら誰も逆らえないから…」
「魅了って…パテットってバンパネラなの?」
「いえ、サキュバスよ。 サキュバスって妖艶な姿をしていて男性を虜にするんだけど…あの体型だからあまり自分の種族名は言わないのよねぇ…」
そういえば以前にパテットに何の種族なのか聞いた時に、「笑われるから言わない!」って言っていたのはそういう事だったのね?
「あ…あ、あぁ…もっと強く踏み躙って下さい!」
「もっと…って、こんな感じかい‼︎」
「あ…もっと強くても構いません!」
私の知らない…というか、知りたくなかった姿のギルがいる。
こんな姿を他の女性達が見ていたら…一瞬で幻滅しそうだわ。
他の人達を見ると…レイヴンはギルを見ながら怯えた表情をしていたんだけど、やられた事があるのかなぁ?
ギャレッドはティファルさんが用意してくれた食事を何事もない様に食べていた。
ギャレッドの口元に付いたソースをティファルさんがハンカチで拭って見せると、ギャレッドは嬉しそうな表情をしていた。
見た感じ…中々のお似合いだと思った。
ソーマはカウンターでフリッツと話をしている。
私はパテットとギルのやり取りを見て言った。
「それにしても、これはいつまで続くんだろう?」
「パテットが飽きる迄続くわね…パテットって子供扱いをされるのを何よりも嫌うからね。」
実際の見た目が子供なのだから仕方が無いと思う。
こんな感じでやり取りはしばらく続き…龍の卵の殻を取りにいく予定が無くなってしまった。
まぁ、たまにはこんな日があっても良いかな?
~~~~~店から少し離れた場所~~~~~
そこにはフードを被って身を潜めていた者達が数人、バーンシュタット魔法道具店の様子を伺っていた。
「先程、瞬殺の男に抱き上げられていた赤い髪の女が今回のターゲットだ。」
「あの女を拉致すれば良いんだな?」
「あぁ、無事に連れて来たら報酬は約束しよう。」
何やらリアーナの知らない所でこんな話がされていたのだけれど、これから何が起きるのか?
そしてリアーナはどうなってしまうのだろうか?
物語は第五章に続きます。
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