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第四章 バーンシュタット魔法道具店 開店
第六話 招かれざる客(文章を一部変更致しました。)
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その日は穏やかな日だった。
バーンシュタット魔法道具店は開店してから忙しい日々を過ごしていたが、ここ数日はお客の数もそれほど多く無く、静かな日を過ごしていた。
まぁ、お店的にはお客様が訪れないのはあまり好ましい事ではないのだけれど、今迄の目の回る様な忙しさに比べればこんな日があっても良いと思っていた。
そしてブリオッシュの軽食コーナーにもお客様がやって来て、料理に舌鼓を打っていた。
…まぁ、お客様はほとんど女性客ばかりで…お目当ては食事と配膳をするフリッツが目当てだった様だ。
フリッツの可愛さは女性客には人気があるみたいで…最近はあまり売れなくなったポーションの代わりにお金を落として行ってくれているので、お店側では別な儲けで利益が出ていた。
…ところが翌日の事だった。
本日も開店する為に看板を外に設置しようと扉を開けると、貴族の馬車が店の前に停車した。
そこから出て来たのは、貴族服に身を包んだ痩せ型の男が馬車から降りて言ってきた。
「ここがポーションを販売している店だな?」
「そうですが…」
「ふむ、ならこの店にあるポーションを全て寄越せ! そして以後入荷する分も全て此方に納入! 値段は4割引で支払ってやる!」
「お断りします!」
「そうか、ならとりあえず今ある分を………って、何⁉︎」
この貴族は一体何を言っているんだろうか?
値引き交渉なら取引の一環で行われたりするけど強制はダメだし、他の者達に顔向け出来なくなる。
貴族の中には平民よりも身分が高いのは確かだけど、それをカサにして無理難題が通ると思って勘違いする輩が多い。
「何を言っていやがる、この平民が! 私に逆らってタダで済むと…」
「だからなんです?」
「平民如きが貴族に逆らうという事がどういう事か分かっているのか⁉︎」
「店長はこのお店をオープンするにあたって、数名の貴族と高ランク冒険者の方々が後ろ盾になって下さいました。 その貴族の中には…ベルシュナーデ王国・辺境伯のレイヴン・シュナイダー侯もいらっしゃいますが…そちらの方々を敵に回したいというのであれば構いませんが?」
「何だと⁉︎」
「それに貴方は私の事を平民と仰いましたが、私は冒険者ランクAで店長は伯爵位とディスガルディア共和国の大統領であるグランマリー・バーンシュタットの血縁者でもあるのですが、貴方はどの爵位の貴族でしょうか?」
レオナリアは本来は子爵令嬢という立場なのだけれど、テルシェリア王国ではテールナール子爵家は無くなった。
だけど、ポーション製作者が平民に落とされたなんていう話が国民に知れ渡ると色々と弊害が起きるという話なので、爵位で伯爵位を与えられる事になった。
お店を構えるのに爵位があっても邪魔になるだけだと思っていたけど、こうして役に立つ事もある事もあるのなら別に良いか。
ちなみに私も冒険者ランクBだったのだけれど、特殊依頼を達成してランクAになった。
高位ランクの冒険者は特定の地位の貴族階級と同じ権限を与えられる為に、下位貴族では歯が立たない場合がある。
それにこの男だけど、貴族を名乗っていたけど爵位はそれほど高くはないだろう。
下位貴族でも平民相手なら圧力を掛ければいう事を聞かせるとか思っていたんだろうけど…?
「わ、私はデォディルダス男爵…」
「男爵風情が伯爵位を持つ店長の店とランクAを持つ私に対して平民呼ばわりをして脅しを掛けますか…不敬罪で王国に進言しても構わないのですよ!」
「そ…それだけは‼︎」
デォディルダス男爵は急いで馬車に飛び乗ってその場を去って行った。
外で逃げる様に去って行ったデォディルダス男爵を見ていた商店街の各店主達から歓声が上がっていた。
そして近くで不安そうに見ていたパン屋のマリグレーテさんがお店に入って来た。
「大丈夫だった、リアーナちゃん?」
「えぇ、私は全然。」
「あの貴族はその店が繁盛をすると無理難題を吹っ掛けて…」
「今後はその様な事は起こりませんので、もしも何かあった場合はいつでも私に言ってきてくださいね。」
今回の件で懲りてデォディルダス男爵は今後この様な事を起こす事はないと思ったけど、一応後から尋ねて来たレイヴンに経緯を全て話しておいた。
するとレイヴンは素早く行動を起こして、今回商店街で起きた事を全て王国に報告をした。
数ヶ月後にはデォディルダス男爵家は、廃れて行ったという話を風の噂で聞いた。
これで商店街も平和になったのかな?
バーンシュタット魔法道具店は開店してから忙しい日々を過ごしていたが、ここ数日はお客の数もそれほど多く無く、静かな日を過ごしていた。
まぁ、お店的にはお客様が訪れないのはあまり好ましい事ではないのだけれど、今迄の目の回る様な忙しさに比べればこんな日があっても良いと思っていた。
そしてブリオッシュの軽食コーナーにもお客様がやって来て、料理に舌鼓を打っていた。
…まぁ、お客様はほとんど女性客ばかりで…お目当ては食事と配膳をするフリッツが目当てだった様だ。
フリッツの可愛さは女性客には人気があるみたいで…最近はあまり売れなくなったポーションの代わりにお金を落として行ってくれているので、お店側では別な儲けで利益が出ていた。
…ところが翌日の事だった。
本日も開店する為に看板を外に設置しようと扉を開けると、貴族の馬車が店の前に停車した。
そこから出て来たのは、貴族服に身を包んだ痩せ型の男が馬車から降りて言ってきた。
「ここがポーションを販売している店だな?」
「そうですが…」
「ふむ、ならこの店にあるポーションを全て寄越せ! そして以後入荷する分も全て此方に納入! 値段は4割引で支払ってやる!」
「お断りします!」
「そうか、ならとりあえず今ある分を………って、何⁉︎」
この貴族は一体何を言っているんだろうか?
値引き交渉なら取引の一環で行われたりするけど強制はダメだし、他の者達に顔向け出来なくなる。
貴族の中には平民よりも身分が高いのは確かだけど、それをカサにして無理難題が通ると思って勘違いする輩が多い。
「何を言っていやがる、この平民が! 私に逆らってタダで済むと…」
「だからなんです?」
「平民如きが貴族に逆らうという事がどういう事か分かっているのか⁉︎」
「店長はこのお店をオープンするにあたって、数名の貴族と高ランク冒険者の方々が後ろ盾になって下さいました。 その貴族の中には…ベルシュナーデ王国・辺境伯のレイヴン・シュナイダー侯もいらっしゃいますが…そちらの方々を敵に回したいというのであれば構いませんが?」
「何だと⁉︎」
「それに貴方は私の事を平民と仰いましたが、私は冒険者ランクAで店長は伯爵位とディスガルディア共和国の大統領であるグランマリー・バーンシュタットの血縁者でもあるのですが、貴方はどの爵位の貴族でしょうか?」
レオナリアは本来は子爵令嬢という立場なのだけれど、テルシェリア王国ではテールナール子爵家は無くなった。
だけど、ポーション製作者が平民に落とされたなんていう話が国民に知れ渡ると色々と弊害が起きるという話なので、爵位で伯爵位を与えられる事になった。
お店を構えるのに爵位があっても邪魔になるだけだと思っていたけど、こうして役に立つ事もある事もあるのなら別に良いか。
ちなみに私も冒険者ランクBだったのだけれど、特殊依頼を達成してランクAになった。
高位ランクの冒険者は特定の地位の貴族階級と同じ権限を与えられる為に、下位貴族では歯が立たない場合がある。
それにこの男だけど、貴族を名乗っていたけど爵位はそれほど高くはないだろう。
下位貴族でも平民相手なら圧力を掛ければいう事を聞かせるとか思っていたんだろうけど…?
「わ、私はデォディルダス男爵…」
「男爵風情が伯爵位を持つ店長の店とランクAを持つ私に対して平民呼ばわりをして脅しを掛けますか…不敬罪で王国に進言しても構わないのですよ!」
「そ…それだけは‼︎」
デォディルダス男爵は急いで馬車に飛び乗ってその場を去って行った。
外で逃げる様に去って行ったデォディルダス男爵を見ていた商店街の各店主達から歓声が上がっていた。
そして近くで不安そうに見ていたパン屋のマリグレーテさんがお店に入って来た。
「大丈夫だった、リアーナちゃん?」
「えぇ、私は全然。」
「あの貴族はその店が繁盛をすると無理難題を吹っ掛けて…」
「今後はその様な事は起こりませんので、もしも何かあった場合はいつでも私に言ってきてくださいね。」
今回の件で懲りてデォディルダス男爵は今後この様な事を起こす事はないと思ったけど、一応後から尋ねて来たレイヴンに経緯を全て話しておいた。
するとレイヴンは素早く行動を起こして、今回商店街で起きた事を全て王国に報告をした。
数ヶ月後にはデォディルダス男爵家は、廃れて行ったという話を風の噂で聞いた。
これで商店街も平和になったのかな?
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