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第三章 魔法道具店の開店迄のクエスト
第十八話 昔話
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「あ…あ…あ…あふぅ~~~~~」
「あ~~~久々に来たけど、やっぱり良いなぁ…これ!」
私とパテットは、テルシェリア王国からかなり離れた山の中にある温泉に入っていた。
この場所はパテットがまだ勇者パーティーにいた頃に、旅で立ち寄った場所だという。
この付近には聖なる結界というのが施されていて、魔物もこの場所には近寄らないという。
それとこの場所の温泉に入る為には、ちょっとした仕掛けを見抜けないと入れない仕組みになっているので、普通の人がここを通ってもセーフゾーンくらいにしか思っておらずに、温泉の存在は分からないという話だった。
「この場所はね、セレスティア…かつての聖女が見つけた場所なんだよ。 彼女には聖なる加護があったからこの場所の特定が出来たんだろうね。」
パテットは温泉から上がって涼んでいた。
私は適温…ではあるんだけど、もう少し熱くても平気だった。
だけど子供の体のパテットには熱すぎるのかな?
「リア、君さぁ…本当に失礼な事を考えているよね?」
「いつも思うんだけど、心でも読めるの?」
「表情で分かる…リアの場合は顔に出やすいから尚更だね。」
私はポーカーフェイスに自信があったんだけどなぁ?
「でもまぁ仕方ないよ、ボクの体は13歳で止まったままだからね。」
「13歳⁉︎」
「そそ、魔王を倒した時は12歳だった。」
「あ…だから勇者パーティーで魔法使いでもない子供が後世に伝わる肖像画で美化されていたんだね。」
「流石に12歳で魔王を倒した一員なんて…普通に人は思わないでしょ?」
パテットの強さはスカウトとは思えない強さで、ギルやレイヴンよりも遥かに強い。
「パテットのジョブって何なの?」
「何、急に?」
「いや…あまりにも強いから。」
「ボクのジョブは忍者だよ。 東方の国の出身でね…今は忍者はもう居ないけど、侍というジョブに変わっていったね。」
「忍者って忍ぶもの…っていう意味だよね? 普段の格好を見ると、伝承の忍者と似ても似つかないんだけど…」
東方の国の忍者は漆黒の衣を纏った諜報活動を生業にする者達で、たまに暗殺も…という話だったけど?
そんな事を考えていると、パテットは再び温泉に浸かりだした。
「時代なのかなぁ? 諜報活動部隊はまだいるけど、忍者はもういないね。」
「だから色々詳しかったのね、勇者パーティー時代もそんな感じ?」
「そうだね、主に諜報活動と斥候の仕事が主だったよ…たまに戦闘もね。 でも、インフェリアが…勇者が優秀だったから戦いは楽だったけどね。」
「勇者インフェリア、聖女セレスティア、忍者パテットと…グランマってなんて呼ばれていたの?」
「緑園は普通に緑園の魔女だったよ。 その当時は魔女ってあまり良い印象がなくてね、緑園は魔女のイメージを払拭する為に自ら魔女を名乗っていたんだ。 悪い魔女もいたけど、魔女は基本的に無害だからね。」
この時代でも魔女はあまり良い印象は持たれなかったりする。
グランマの時代では魔女狩りがあったという話だし、苦労したのかな?
「勇者インフェリアって、やっぱりイケメンだったの?」
「いや、全然…魔王に挑む者として勇者なんて呼ばれていたけど、元々は聖女を護衛していた聖騎士でね、不細工では無かったけど…普通かな?」
「肖像画では…」
「あぁ、ボクの肖像画から分かる通り…神殿からの本の出版の肖像画では8割が捏造されているからね。 インフェリアはあんな美形では無かったし、ボクは長身の美女でも無かったし、セレスティアも女神の様な美しさ…なんて書かれているけど結構我儘な性格だったし、緑園なんか顔が描かれてなかったりしていたからね。」
「神殿から…って事は、他にも出版されていた本もあるの?」
「あったよ、その本の肖像画にはボク達の姿はちゃんと描かれていた。 後に神殿が圧力を掛けて神殿から出版された本以外は全て回収されて燃やされていたけどね。」
「なんでそんな事を?」
「神殿は神に選ばれた勇者と聖女を推していたからね。 別に勇者も聖女も神に選ばれた訳じゃないし、神殿の出版された本なんかボクと緑園は足手纏い扱いされていたからね。」
結構…良い加減なんだね。
神殿の教えだと魔は悪だと教えられていたという話だから、魔女だったグランマは相当苦労したのかな?
「そう言えば…勇者と聖女が結婚して国を治めたけど今はないっていう話は?」
「勇者と聖女が国を治めたんだけど、実権は神殿側が握っていてね…勇者と聖女は御飾り国王と王妃だったんだよ。 魔王は倒した…けど、人望のあった魔王を倒した者達を許さないという魔族の派閥が勇者と聖女の国を攻め込んで滅ぼしたんだよ。 だから今はその国はもう無いんだ。」
「仮にも勇者だったんだよね? 魔族が攻めて来たら抵抗しなかったの?」
「神殿側が実権を握って支配していた為に、長年の戦いの無い日々にすっかり衰えてしまってね、最後は抵抗も虚しく滅んだよ。 勇者だからと言って鍛錬をしていなければ特別な力があったって発動なんかしないからね。」
「なら…その魔族達は?」
「ボクと緑園が片付けておいた。 あの2人の仇打ちも兼ねてね。」
なら…もう魔族に怯える必要もないんだね。
それにしても凄い話だわ。
「ところでリアに聞きたいんだけど、リアは今のパーティーで気になっている奴はいるのかい?」
「え…?」
私はパテットから急に話を振られた。
今迄はそんな事を気にした事もないから全く分からなかった。
「ギルもレイヴンも良い男だし、ソーマもこれからの成長に期待という感じだし…まぁ、ギャレッドは流石にないか?」
「ギャレッドは顔が怖いだけで話すと普通だよ。」
「まさか…リアはギャレッド狙い⁉︎」
「いやいや、皆をそんな目で見た事ないし…今はお店の方を優先したいから恋愛にかまけている事はないかな。」
「チェッ…つまんないなぁ。」
今はまだそんな事を思っている余裕は無いかなぁ。
まだパーティー組んで日も浅いしね。
私にもそんな相手が現れるのかなぁ?
「あ~~~久々に来たけど、やっぱり良いなぁ…これ!」
私とパテットは、テルシェリア王国からかなり離れた山の中にある温泉に入っていた。
この場所はパテットがまだ勇者パーティーにいた頃に、旅で立ち寄った場所だという。
この付近には聖なる結界というのが施されていて、魔物もこの場所には近寄らないという。
それとこの場所の温泉に入る為には、ちょっとした仕掛けを見抜けないと入れない仕組みになっているので、普通の人がここを通ってもセーフゾーンくらいにしか思っておらずに、温泉の存在は分からないという話だった。
「この場所はね、セレスティア…かつての聖女が見つけた場所なんだよ。 彼女には聖なる加護があったからこの場所の特定が出来たんだろうね。」
パテットは温泉から上がって涼んでいた。
私は適温…ではあるんだけど、もう少し熱くても平気だった。
だけど子供の体のパテットには熱すぎるのかな?
「リア、君さぁ…本当に失礼な事を考えているよね?」
「いつも思うんだけど、心でも読めるの?」
「表情で分かる…リアの場合は顔に出やすいから尚更だね。」
私はポーカーフェイスに自信があったんだけどなぁ?
「でもまぁ仕方ないよ、ボクの体は13歳で止まったままだからね。」
「13歳⁉︎」
「そそ、魔王を倒した時は12歳だった。」
「あ…だから勇者パーティーで魔法使いでもない子供が後世に伝わる肖像画で美化されていたんだね。」
「流石に12歳で魔王を倒した一員なんて…普通に人は思わないでしょ?」
パテットの強さはスカウトとは思えない強さで、ギルやレイヴンよりも遥かに強い。
「パテットのジョブって何なの?」
「何、急に?」
「いや…あまりにも強いから。」
「ボクのジョブは忍者だよ。 東方の国の出身でね…今は忍者はもう居ないけど、侍というジョブに変わっていったね。」
「忍者って忍ぶもの…っていう意味だよね? 普段の格好を見ると、伝承の忍者と似ても似つかないんだけど…」
東方の国の忍者は漆黒の衣を纏った諜報活動を生業にする者達で、たまに暗殺も…という話だったけど?
そんな事を考えていると、パテットは再び温泉に浸かりだした。
「時代なのかなぁ? 諜報活動部隊はまだいるけど、忍者はもういないね。」
「だから色々詳しかったのね、勇者パーティー時代もそんな感じ?」
「そうだね、主に諜報活動と斥候の仕事が主だったよ…たまに戦闘もね。 でも、インフェリアが…勇者が優秀だったから戦いは楽だったけどね。」
「勇者インフェリア、聖女セレスティア、忍者パテットと…グランマってなんて呼ばれていたの?」
「緑園は普通に緑園の魔女だったよ。 その当時は魔女ってあまり良い印象がなくてね、緑園は魔女のイメージを払拭する為に自ら魔女を名乗っていたんだ。 悪い魔女もいたけど、魔女は基本的に無害だからね。」
この時代でも魔女はあまり良い印象は持たれなかったりする。
グランマの時代では魔女狩りがあったという話だし、苦労したのかな?
「勇者インフェリアって、やっぱりイケメンだったの?」
「いや、全然…魔王に挑む者として勇者なんて呼ばれていたけど、元々は聖女を護衛していた聖騎士でね、不細工では無かったけど…普通かな?」
「肖像画では…」
「あぁ、ボクの肖像画から分かる通り…神殿からの本の出版の肖像画では8割が捏造されているからね。 インフェリアはあんな美形では無かったし、ボクは長身の美女でも無かったし、セレスティアも女神の様な美しさ…なんて書かれているけど結構我儘な性格だったし、緑園なんか顔が描かれてなかったりしていたからね。」
「神殿から…って事は、他にも出版されていた本もあるの?」
「あったよ、その本の肖像画にはボク達の姿はちゃんと描かれていた。 後に神殿が圧力を掛けて神殿から出版された本以外は全て回収されて燃やされていたけどね。」
「なんでそんな事を?」
「神殿は神に選ばれた勇者と聖女を推していたからね。 別に勇者も聖女も神に選ばれた訳じゃないし、神殿の出版された本なんかボクと緑園は足手纏い扱いされていたからね。」
結構…良い加減なんだね。
神殿の教えだと魔は悪だと教えられていたという話だから、魔女だったグランマは相当苦労したのかな?
「そう言えば…勇者と聖女が結婚して国を治めたけど今はないっていう話は?」
「勇者と聖女が国を治めたんだけど、実権は神殿側が握っていてね…勇者と聖女は御飾り国王と王妃だったんだよ。 魔王は倒した…けど、人望のあった魔王を倒した者達を許さないという魔族の派閥が勇者と聖女の国を攻め込んで滅ぼしたんだよ。 だから今はその国はもう無いんだ。」
「仮にも勇者だったんだよね? 魔族が攻めて来たら抵抗しなかったの?」
「神殿側が実権を握って支配していた為に、長年の戦いの無い日々にすっかり衰えてしまってね、最後は抵抗も虚しく滅んだよ。 勇者だからと言って鍛錬をしていなければ特別な力があったって発動なんかしないからね。」
「なら…その魔族達は?」
「ボクと緑園が片付けておいた。 あの2人の仇打ちも兼ねてね。」
なら…もう魔族に怯える必要もないんだね。
それにしても凄い話だわ。
「ところでリアに聞きたいんだけど、リアは今のパーティーで気になっている奴はいるのかい?」
「え…?」
私はパテットから急に話を振られた。
今迄はそんな事を気にした事もないから全く分からなかった。
「ギルもレイヴンも良い男だし、ソーマもこれからの成長に期待という感じだし…まぁ、ギャレッドは流石にないか?」
「ギャレッドは顔が怖いだけで話すと普通だよ。」
「まさか…リアはギャレッド狙い⁉︎」
「いやいや、皆をそんな目で見た事ないし…今はお店の方を優先したいから恋愛にかまけている事はないかな。」
「チェッ…つまんないなぁ。」
今はまだそんな事を思っている余裕は無いかなぁ。
まだパーティー組んで日も浅いしね。
私にもそんな相手が現れるのかなぁ?
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