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第三章 魔法道具店の開店迄のクエスト
第八話 後ろ盾になる人達 (今回の人達は登場人物紹介に追加されています。)
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その日、私はギルに連れられて…冒険者ギルドの隣にある酒場に来ていた。
目的は以前ギルが話していた、店を構えた時に後ろ盾になってくれる人を紹介するという話だった。
ギルは店員に断りを入れると、個室の方に案内された。
まぁ…後ろ盾云々の話になると、大ぴらには話せない内容だから個室で話すというのは有り難いんだけど…?
この狭い部屋に何人来るのかは分からないけど、ギルは私の隣に座っていた。
それも…かなり密着する位置で。
「ギル、近く無い?」
「これから来る奴らの人数を考えると、離れて座るには少し狭くなるからな。」
なら来てからでも良いのじゃ無いかと思ったんだけど、その人達が思ったより早くやって来た。
「待たせたなギル!」
「いや、予定通りの時間だから気にするな。」
最初に声を掛けて来た人は、ギルの知り合いで同じランクAのギャレッドさん。
「君がギルが言っていた嬢ちゃんか…」
「ギャレッド、お前の顔は恐いんだからあまり近くに寄るなよ…お嬢ちゃんが怯えるだろ。」
「んだとコラァ!」
次に声を掛けて来たのは、私より年下の女の子だった。
名前はパテットさんと言ってランクSSで…って、冒険者ギルドの最高ランクってSじゃないんだ?
Sランクも相当時間が掛かるという話なのに、SSだとどれくらいの時間が必要なんだろう…っていうか、見た通りの年齢では無いって事なのね。
「貴女がギルのお気に入りの子なのね?」
次に声を掛けて来たのはエルフの女性だった。
名前はメルーファさんと言って、ランクSらしい。
エルフに寿命という概念はないみたいで、病気や事故でもない限りは永遠に生きるという話らしいけど…今幾つなんだろう?
「済まないな、少し遅れた。」
「レイ兄、問題無いよ。」
えーっと…?
ギルと似た感じのイケメンが部屋に入って来た。
名前はレイヴンさんと言って、ランクはSなんだけどソロで活動しているという話らしい。
「思った以上に書類仕事が溜まっていてな、時間が間に合うかが微妙だった。」
「彼女が例の女の子だ。」
レイヴンは私をジッ…と見つめて来た。
ギルと同じく黒髪で長髪…なんだけど、何処となくギルと顔が似ている。
兄弟なのかな?
「リアは戸惑っているみたいだが、俺とレイ兄…レイヴンは従兄弟なんだ。 ガナーレル辺境伯だ。」
「従兄弟なら似ているのも納得ね…って辺境伯⁉︎ 辺境伯が冒険者の仕事をしていて平気なんですか?」
「魔王の時代ならともかく、今の世ではそれ程襲撃には遭わないからな。 たまにちょこっとあるくらいで、戦う事よりも事務的な仕事の方が多いんだよ。」
「はぁ…そうなのですか。」
全員かなりの高ランクの人達なんだけど…1人だけ私と歳が近そうな男の子がいるけど?
「あぁ、コイツはソーマと言って、訳あって一緒に行動しているんだ。」
「ソーマです、宜しくお願いします‼︎」
なんか礼儀正しいんだけど、少し力が入り過ぎている感じがする。
緊張しているのかな?
「改めまして紹介致しますね、私の名前はリアーナ・バーンシュタットと申します。」
「「バーンシュタット⁉︎」」
私が名乗ると、パテットさんとメルーファさんが私の名字に反応をした。
「どうしたんだ、二人とも?」
「あ~~~、君を見た時に懐かしい感じがしたのはそういう事か、君は緑園の魔女の血縁者なのか…」
「そう言われると…この子は彼女に雰囲気が似ているわね?」
「緑園の魔女って…もしかして曽祖母を御存知なのですか?」
「曽祖母って…アイツ幾つサバ読んでいるんだ?」
「緑園の魔女は私よりも年上です。 なので曽祖母と呼ばれる年齢ではありませんよ。」
私は曽祖母を知っている人に出会ったのは家族以外では初めてだった。
…っていうか、グランマって幾つなんだろう?
するとパテットさんが私の顔を見て言った。
「今回のギルから言われた後ろ盾の件はあまり乗り気ではなかったんだけど、アイツの血縁者という話なら喜んで手を貸すよ。」
「私も喜んで手を貸しましょう…それとブリオッシュはいつまで黙っている気ですか?」
「ブリオッシュ? 此処には俺達以外にいないが?」
メルーファさんはブリオッシュの事も知っているみたいだった。
ブリオッシュは普段は私としか会話しないんだけど、この時だけは皆に聞こえるように話し掛けた。
「お久しぶりですねメルーファさん、それとパテット様…」
「何だ! 杖が喋りやがったぞ⁉︎」
「リア、この杖は一体?」
「久しぶりね、最後に会話したのは70年前くらいだったかな?」
「よぉ、ブリオッシュ! ボクの前でいつまでシカトしているのかと思っていたよ。」
ギャレッドさんとギルは驚いたような表情をしていた。
まぁ、普通に考えれば杖は喋らないからね。
「パテットもメルーファも…リアの曽祖母様と知り合いなのか?」
「お二人は曽祖母とどういう関係なのですか?」
私はパテットさんとメルーファさんに聞いてみた。
「君はアイツの事を何も知らないんだな?」
「私が最後に会ったのは幼かった時くらいで、それ以降は全く会っていなくて…」
「アイツはな、魔王が世界を征服しようと企んでいる時に勇者と共に戦ったメンバーの一人だよ。 勇者とボクとグランマリーと聖女の四人でね。」
「えーっと…魔王が倒されたのは今から300年前ですよね? 曽祖母はそんな時代から生きていたんですか⁉︎」
「だから言ったろ、サバを読んでいるって…年齢的な事を考えると、曽祖母では無いんだよ。」
グランマの事を知ることは出来たけど、まさか勇者と共に魔王を倒したメンバーの1人だったなんて…?
するとレイヴンも話に加わって来た。
「なるほど、君は彼女の血縁者だったのか。 ギルが私に店を構えるのに後ろ盾になってくれと言われたが、正直言ってただの小娘なら断ろうとしていたのだが…彼女の血縁者というのなら喜んで名を貸そう。」
「俺はポーションが買えるという話だったから後ろ盾の件は賛成だったぜ‼︎」
「ギャレッドもそれなりの地位がある人物だから心強いと思うよ。」
「理不尽な要求をして来た貴族や悪党の根城を片っ端から潰すとして恐れられた破壊者だからな。 その道の人間にはギャレッドの名を聞くだけで震え上がるからね。」
パテットさんは面白おかしくギャレッドさんの事を説明してくれた。
「リア、安心して欲しい。 我々が後ろ盾になれば逆らおうとする者はまず現れない筈だ。」
そりゃあ、このメンバーなら逆らおうとする人はいないだろう。
破壊者の異名で恐れられているギャレッドさん、辺境伯のレイヴンさん、魔王を倒したパーティーメンバーの一人で最高ランクを所持するパテットさん、エルフの里の族長の娘…
こんな人達が後ろ盾になってくれるのなら、物凄く心強いわ!
「それと、リアに提案をしたいのだが良いか?」
「何かしらギル?」
「リアのランクやレベルを一定の位置までに上げる為に俺達のパーティーに入らないか?」
「ギルの話では結構な戦力になるみたいだしね。」
「ボクも問題は無いよ、アイツの血縁者なら寧ろ歓迎だよ。」
ソロ活動よりもパーティーの方が稼げるという話を聞いていたので、断る理由は無い。
「足手纏いにならないように頑張りますので、宜しくお願い致します!」
「良し決まりだ‼︎」
こうして私はギルのパーティーに入る事になったんだけど。
果たしてどんな感じなのかしら…?
目的は以前ギルが話していた、店を構えた時に後ろ盾になってくれる人を紹介するという話だった。
ギルは店員に断りを入れると、個室の方に案内された。
まぁ…後ろ盾云々の話になると、大ぴらには話せない内容だから個室で話すというのは有り難いんだけど…?
この狭い部屋に何人来るのかは分からないけど、ギルは私の隣に座っていた。
それも…かなり密着する位置で。
「ギル、近く無い?」
「これから来る奴らの人数を考えると、離れて座るには少し狭くなるからな。」
なら来てからでも良いのじゃ無いかと思ったんだけど、その人達が思ったより早くやって来た。
「待たせたなギル!」
「いや、予定通りの時間だから気にするな。」
最初に声を掛けて来た人は、ギルの知り合いで同じランクAのギャレッドさん。
「君がギルが言っていた嬢ちゃんか…」
「ギャレッド、お前の顔は恐いんだからあまり近くに寄るなよ…お嬢ちゃんが怯えるだろ。」
「んだとコラァ!」
次に声を掛けて来たのは、私より年下の女の子だった。
名前はパテットさんと言ってランクSSで…って、冒険者ギルドの最高ランクってSじゃないんだ?
Sランクも相当時間が掛かるという話なのに、SSだとどれくらいの時間が必要なんだろう…っていうか、見た通りの年齢では無いって事なのね。
「貴女がギルのお気に入りの子なのね?」
次に声を掛けて来たのはエルフの女性だった。
名前はメルーファさんと言って、ランクSらしい。
エルフに寿命という概念はないみたいで、病気や事故でもない限りは永遠に生きるという話らしいけど…今幾つなんだろう?
「済まないな、少し遅れた。」
「レイ兄、問題無いよ。」
えーっと…?
ギルと似た感じのイケメンが部屋に入って来た。
名前はレイヴンさんと言って、ランクはSなんだけどソロで活動しているという話らしい。
「思った以上に書類仕事が溜まっていてな、時間が間に合うかが微妙だった。」
「彼女が例の女の子だ。」
レイヴンは私をジッ…と見つめて来た。
ギルと同じく黒髪で長髪…なんだけど、何処となくギルと顔が似ている。
兄弟なのかな?
「リアは戸惑っているみたいだが、俺とレイ兄…レイヴンは従兄弟なんだ。 ガナーレル辺境伯だ。」
「従兄弟なら似ているのも納得ね…って辺境伯⁉︎ 辺境伯が冒険者の仕事をしていて平気なんですか?」
「魔王の時代ならともかく、今の世ではそれ程襲撃には遭わないからな。 たまにちょこっとあるくらいで、戦う事よりも事務的な仕事の方が多いんだよ。」
「はぁ…そうなのですか。」
全員かなりの高ランクの人達なんだけど…1人だけ私と歳が近そうな男の子がいるけど?
「あぁ、コイツはソーマと言って、訳あって一緒に行動しているんだ。」
「ソーマです、宜しくお願いします‼︎」
なんか礼儀正しいんだけど、少し力が入り過ぎている感じがする。
緊張しているのかな?
「改めまして紹介致しますね、私の名前はリアーナ・バーンシュタットと申します。」
「「バーンシュタット⁉︎」」
私が名乗ると、パテットさんとメルーファさんが私の名字に反応をした。
「どうしたんだ、二人とも?」
「あ~~~、君を見た時に懐かしい感じがしたのはそういう事か、君は緑園の魔女の血縁者なのか…」
「そう言われると…この子は彼女に雰囲気が似ているわね?」
「緑園の魔女って…もしかして曽祖母を御存知なのですか?」
「曽祖母って…アイツ幾つサバ読んでいるんだ?」
「緑園の魔女は私よりも年上です。 なので曽祖母と呼ばれる年齢ではありませんよ。」
私は曽祖母を知っている人に出会ったのは家族以外では初めてだった。
…っていうか、グランマって幾つなんだろう?
するとパテットさんが私の顔を見て言った。
「今回のギルから言われた後ろ盾の件はあまり乗り気ではなかったんだけど、アイツの血縁者という話なら喜んで手を貸すよ。」
「私も喜んで手を貸しましょう…それとブリオッシュはいつまで黙っている気ですか?」
「ブリオッシュ? 此処には俺達以外にいないが?」
メルーファさんはブリオッシュの事も知っているみたいだった。
ブリオッシュは普段は私としか会話しないんだけど、この時だけは皆に聞こえるように話し掛けた。
「お久しぶりですねメルーファさん、それとパテット様…」
「何だ! 杖が喋りやがったぞ⁉︎」
「リア、この杖は一体?」
「久しぶりね、最後に会話したのは70年前くらいだったかな?」
「よぉ、ブリオッシュ! ボクの前でいつまでシカトしているのかと思っていたよ。」
ギャレッドさんとギルは驚いたような表情をしていた。
まぁ、普通に考えれば杖は喋らないからね。
「パテットもメルーファも…リアの曽祖母様と知り合いなのか?」
「お二人は曽祖母とどういう関係なのですか?」
私はパテットさんとメルーファさんに聞いてみた。
「君はアイツの事を何も知らないんだな?」
「私が最後に会ったのは幼かった時くらいで、それ以降は全く会っていなくて…」
「アイツはな、魔王が世界を征服しようと企んでいる時に勇者と共に戦ったメンバーの一人だよ。 勇者とボクとグランマリーと聖女の四人でね。」
「えーっと…魔王が倒されたのは今から300年前ですよね? 曽祖母はそんな時代から生きていたんですか⁉︎」
「だから言ったろ、サバを読んでいるって…年齢的な事を考えると、曽祖母では無いんだよ。」
グランマの事を知ることは出来たけど、まさか勇者と共に魔王を倒したメンバーの1人だったなんて…?
するとレイヴンも話に加わって来た。
「なるほど、君は彼女の血縁者だったのか。 ギルが私に店を構えるのに後ろ盾になってくれと言われたが、正直言ってただの小娘なら断ろうとしていたのだが…彼女の血縁者というのなら喜んで名を貸そう。」
「俺はポーションが買えるという話だったから後ろ盾の件は賛成だったぜ‼︎」
「ギャレッドもそれなりの地位がある人物だから心強いと思うよ。」
「理不尽な要求をして来た貴族や悪党の根城を片っ端から潰すとして恐れられた破壊者だからな。 その道の人間にはギャレッドの名を聞くだけで震え上がるからね。」
パテットさんは面白おかしくギャレッドさんの事を説明してくれた。
「リア、安心して欲しい。 我々が後ろ盾になれば逆らおうとする者はまず現れない筈だ。」
そりゃあ、このメンバーなら逆らおうとする人はいないだろう。
破壊者の異名で恐れられているギャレッドさん、辺境伯のレイヴンさん、魔王を倒したパーティーメンバーの一人で最高ランクを所持するパテットさん、エルフの里の族長の娘…
こんな人達が後ろ盾になってくれるのなら、物凄く心強いわ!
「それと、リアに提案をしたいのだが良いか?」
「何かしらギル?」
「リアのランクやレベルを一定の位置までに上げる為に俺達のパーティーに入らないか?」
「ギルの話では結構な戦力になるみたいだしね。」
「ボクも問題は無いよ、アイツの血縁者なら寧ろ歓迎だよ。」
ソロ活動よりもパーティーの方が稼げるという話を聞いていたので、断る理由は無い。
「足手纏いにならないように頑張りますので、宜しくお願い致します!」
「良し決まりだ‼︎」
こうして私はギルのパーティーに入る事になったんだけど。
果たしてどんな感じなのかしら…?
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