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第三章 魔法道具店の開店迄のクエスト

第一話 新天地・ベルシュナーデ王国

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 バーンシュタット魔法道具店を開店する1年前…私は曽祖母のグランマの部屋で最後の書物を読み終えた。

 「やっと…読み終えたわ。」

 「お疲れ様です。」

 ブリオッシュは私に新たな紅茶を入れ直してくれた。

 ブリオッシュについては…もうツッコむのは辞めた。

 手が無いのに炊事洗濯も完璧にこなしてくれるのだけれど、気が付いたり…振り向けば用意が出来ていたりする。

 本を読むフリをしながら観察をしていたりしていたが、私の視線に気付いて話を振って視線を別の方向に反らした一瞬で仕事を終わらせていたりする。

 だからどうやって仕事を終わらせられるのかが全く分からなかった。

 まぁ、グランマが創り出した物だから普通の箒ではないというのは分かり切っているんだけど、全てが全くの謎だった。

 「レオナリア様、言葉遣いが戻っておりますよ。」

 「あ…そうね、長年の習慣は簡単に変えられないものね。」

 新天地で新たなスタートをする為に、私はブリオッシュから日常生活で必要な事を学んでいた。

 その中には話し方や立ち振る舞い等があった。

 話し方はあまり丁寧な言葉で応対すると、周りから舐められたり、下に見られる傾向があるみたい。

 私の話し方は貴族に嗜みで身に付けた…訳ではなく、少しでも口答えをしようものなら暴力を振るわれる為に…常に顔色を伺いながら身に付いた物だった。

 言葉遣いや丁寧語を全くしてこなかったルーナリアが羨ましいと初めて思った。

 立ち振る舞いに関しては、堂々と胸を張るものであって…小さく畏まる様な立ち振る舞いはダメだという話だった。

 これも…常に暴力を振るう両親の所為で横柄な態度というのは出来なかった。

 屋敷や部屋ではあまり目立たず、身を縮こませて物静かにやり過ごすという風に生活をしていたので、これも治るまでに結構な時間が掛かった。

 「だいぶ良くなったと思いますが…今はこれで良いでしょう。 後は街や冒険者ギルド内で他の者達を見て学ぶとしましょう。」

 ブリオッシュは…結構スパルタだった。

 今では私もかなり出来る様になっていたのでこんな風に軽い感じになったけど、初めの頃は…思い出したく無いのでいずれ話す事にします。

 私は準備を整えてから箒に乗ってベルシュナーデ王国に向かった。

 そしてベルシュナーデ王国の門番が見える位置から離れた場所に降り立って、歩いて王国に向かって行った。

 ブリオッシュは箒から杖の形に変化して貰った。

 流石に街中でも無いのに箒を持っているのはおかしいと思うからだった。

 私は門を通る際に通行税を支払った。

 「通行税で銀貨2枚は痛いなぁ…」

 「冒険者ギルドに登録して、ギルドカードを発行されれば通行時は免除されるんですけどね。」

 この世界の通貨は銅貨→銀貨→金貨→白金貨の順になっており、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨1000枚で金貨1枚、金貨10枚で白金貨1枚になる。

 銅貨1枚で平民が食べる硬いパンが買える。

 安い宿なら銅貨20枚から40枚弱で泊まれるんだけど、食事は別になる。

 「宿屋を決める方が先かなぁ?」

 「いえ、先に冒険者ギルドで登録を済ませましょう。 その後で雑貨屋に行って品物を売れば少しは路銀の足しになると思います。」

 私が屋敷から持ち出せた金額はあまり無い。

 残りは銀貨2枚と銅貨が50枚程度だった。

 依頼を達成して早く稼がないと…私はそう思って街中で割と大きな建物の冒険者ギルドに入るのだった。

 だけど…登録する前にちょっとしたアクシデントが発生するのだった。
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